成功ニュータウンの不気味さ
限界ニュータウンが密かに世間を賑わせているが、新興ニュータウンである越谷レイクタウンに訪れてみた。駅前に莫大な威力を放つイオンモールが聳えており、機能性を重視した侘び寂びもない姿は凄まじい圧力を感じた。日本最大らしくちゃんと都市性を維持している点でも田舎の田園に突如現れる魔城とはワケが違う。そして自治体名が「レイクタウン」なのも凄い。
ド田舎から23区貧民街に華麗なる転身を遂げた身分としては、首都圏近郊のベッドタウンというのは実はこの年まで体感したことがなく、知らない人生が覗けるという意味で非常にカルチャーショックであった。デザインされた街に棲みつく人間たちを観測していると、企業が「ファミリー層をターゲットにしてます!」と宣うその対象が具現化しており、マジでこういう人々が存在しているんだと感動できる。
土着性のない比較的新しめの規格的な物件が整列している様は改めて異様であるし、関東圏で家を買うという発想が現実的でない自分にとっては、知らない人生はまだまだあるんだなと土地というか世の中の面白さを発見できた。創作物から未知の日本を摂取し、そのニュアンスを自己流に希釈して味わうだけではやはり本物には勝てない。フィールドワークこそ五感全てで感動を引き起こすことが可能なのだ。
ネット越しの探索というのは結局その真髄の上澄みも体感出来ない。直で観測するからこそ得られる種類の脳汁というのは存在する。そしてここで生まれ育つことを考えると、今の自分には辿り付かなかったと思える。江戸時代や中世ヨーロッパぐらいの異世界が電車で行ける範囲に存在していたのである。
正直ここまで規格化され「ハイソサエティさはないけど便利でしょ?」を堂々と押し付けられるとテーマパークに居るような感覚になり、そこのキャストが実存しているという事実が謎にゾクゾクする。街の良し悪しではなく、自分の人生に関連しないところである種の閉鎖性を維持しながら伸びゆく地域の国家感というかパラレルさが食らいまくるのである。
田舎のベッドタウンというのは人工流入の少なさもあってか作られた都市というのが定着しきらないイナタさがあり、何かハリボテニュアンスが否めないのが安心感を逆に覚えていたが、都会のそれはちゃんと計画実現しているハイパーリアルさが超絶怖いのだ。ネットで宇宙について調べている時のような虚構さがあるというか、確かにそれは実在するという現在との地続き感が更なる恐怖を引き立てる。とても良い街!大好き越谷!
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