イスラム教文化を描いたエキゾチックな画集、『オリエンタリズム絵画集』全2巻!
◉ 幻想的なイスラムの世界を堪能
オリエンタリストの画家たちが描く、イスラム教文化圏の絵を蒐集した『オリエンタリズムの絵画集』全2巻のご紹介です!
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広義のオリエンタリズム絵画には、ジャポニスム、プリミティヴィズム、シノワズリ、というものも含まれますが、今回の画集では主に中近東のイスラム教文化圏を描く、一般的なオリエンタリズム絵画に絞っております。
ヨーロッパでは19世紀後半から、絵画に文学にお芝居にと、異国情緒溢れるオリエンタリズムの作品が大流行しておりました。
当時のアーティストにしてみれば、お決まりのテーマばかりであきあきしていたところへ、煌びやかな異世界テーマが現れたわけですから、そりゃまぁ飛びつきますよねー。
◉ Chapter1 「戦い」
第1章は「戦い」の絵画です。
馬に乗りながら、シャムシールやジャンビーヤなどの曲刀をふるう兵士の姿がめちゃカッコいいです!
馬上では曲った剣が使いやすいとも。
上はドラクロワの影響大の画家、テオドール・シャセリオー作『アラブ騎手の戦い』。荒々しいタッチがドラクロワにそっくりです。
オリエンタリズム絵画の開祖、ウジェーヌ・ドラクロワ作の『異端者とハッサンの戦い』。緊張感のある一騎打ちですが、地面には馬の足を斬りつけようする兵士の姿が!
ロシア画家、フランス・ルボー作『ブズカシゲーム』。
これはヤギや子牛などの死骸を奪い合う、中央アジアの地域で現在も行われている遊戯です。厳密にいうと戦いではないですが、模擬戦といってもよいでしょう。
19世紀には、イスラム圏にもマスケット銃が普及していたので、美しい装飾を施した銃を手にした絵画も多いです。持ち手の部分がくるんとカーブしているのが可愛らしいです。
そのほか、ヨーロッパ人と戦ったり、ライオン狩りをしたり、逆に虎に食われたりと、イスラム世界ならではのバトルシーンが満載です!
◉ Chapter2 「暮らし」
第2章は「暮らし」の絵画です。
路地に店を出す壺売りや靴職人やカーペット売り、なかには散髪屋なんてのもあります。礼拝をする男たちや蛇使いなども、イスラム世界ではお馴染みの風景です。
現代にも残る青タイルが美しいリュステム・パシャ・モスクです。2020年にはアメリカのポンペオ国務長官が訪れています。
こちらは壺売りのお店です。店主が職人を兼ねているようで、煙草を吹かしながら壺に美しい模様を描いています。
富裕層のマダムに絨毯を売るカーペット商人の絵も多いです。細部まで稠密に描かれた絨毯の模様が美しいですねー。
◉ Chapter3 「セクシャル」
第3章は「セクシャル」の絵画です。
西洋絵画の世界では、身近な世界のヌード作品を描くことはまだまだタブー視されていた時代で、ヌードといえばもっぱらギリシャ神話の女神たちか、裸である必然性のある聖書の登場人物に限られていました。
そこにもうひとつ「イスラム世界の女たち」という新機軸が加わったので、これは画家の間で流行らないわけありません。
水煙管を燻らせた高級娼婦のオダリスクや、トルコ風呂に横たわる裸の女たちなど、官能的な絵画をたくさん収録しています。
ジョセフ・ヒンメル作『ハーレムの余暇』。
高級娼婦のオダリスクだけあって、従者たちをしたがえて優雅な余暇をすごしております。
ジュリオ・ロサーティ作『お気に入りの選択』。
奴隷商人が、直接スルタンに女奴隷を売りに来ているのでしょう。腰布も脱がせて品定めの最中といったところ。
ジャン=レオン・ジェローム作の大浴場シリーズ。
風呂場の美しい模様のタイルと女体のマッチングが最高です。
◉ Chapter4 「動物」
第4章は「動物」の絵画です。
インドの街中を闊歩する巨大な象、移動手段に使っていた駱駝や馬、モスクの宮殿を守護する虎などの絵画を収録しています。
カルナティックのヴェロール砦の前を通過するインド象。(インド東海岸南部にあった地名)
ジャン=レオン・ジェローム作『穀物脱穀』。
おそらく、ソリの下にある丸い器具が回転式の脱穀機ではないかと思われます。
宮殿の中で飼われている虎たち。きっと番犬がわりなのでしょう。
◉ Chapter5 「風景」
第5章は「風景」の絵画です。
ここでは、美しいイスラム建築が描かれた絵画をご紹介します。モスク、ミナレット、ミフラーブなど、現存する宗教施設も多いです。
ジャン=レオン・ジェローム作『キオスクのハーレム』。
キオスクは、海沿いに建てられた吹き抜けの小さな休憩所のことなんですが、JRのホームにあるキヨスクの語源でもあります。
ヴァシーリー・ヴェレシチャーギン作『パールモスク』。
インドの首都デリーに現存しています。
少し話はズレますが、ぼくの住む東京の阿佐ヶ谷には『阿佐谷パールセンター』という商店街があるんですが、モスクの天蓋のような入り口は、さてはパールモスクを意識したのかとふと思いました。
◉ Chapter6 「女たち」
第6章は「女たち」の絵画です。
第1巻のセクシャルなものとは違い、ひとりで部屋で寝てたり、他の女たちとゲームして遊んだり、歌ったり、踊ったりしているようなものを収めています。
ジャン=バプテスト・ユイスマンス作『チェッカーゲーム』。
煙草を吹かしながら真剣勝負。調度品が美しいですねー。
エドウィン・ロード・ウィークス作『ナッチ』。
ナッチとは、インドの少女が演じる宮廷舞踊のことです。
ヒジャブ(ヴェール)に包まれた女たち。上の絵では布が薄くて美しいお顔が見えておりますが、実際のヒジャブはここまで薄くはありません。
◉ Chapter7 「旅」
第7章は「旅」の絵画です。
馬やロバに揺られている絵もありますが、ラクダの絵が大半です。
レオン・ベリー作『メッカに行く巡礼者』。
ラクダや徒歩で旅する巡礼者たちの姿が、画面の後ろの方までぎっしりと描かれています。
ジャン=レオン・ジェローム作『ナポレオンと彼の参謀』。
おそらく、エジプトに戦争しに向かう途中のナポレオン率いるフランス軍なのでしょう。馬と勝手がちがうのか、座りにくそうですね。
ラクダに乗る美女と護衛の男の絵です。右の絵は、遠くに敵の姿が見えたようで、慌ててマスケット銃に玉を押し込んでいます。
◉ Chapter8 「男たち」
第8章は「男たち」の絵画です。
オリエンタリズム絵画集、全2巻の最後を飾るのは、むさ苦しい男たちの絵画です。門番をする衛兵や、部屋で水煙管を吸う男、蛇使いの男など、いろいろ揃えています。
ジャン=レオン・ジェローム作『マルコス・ボタリス』。
上の老人はギリシャ独立戦争で活躍した国民的英雄、マルコス・ボタリス将軍です。壁のタイルや椅子の模様まで細かく描かれています。
その他、奴隷兵のバシ=バズークや、宮殿の門番をする近衛兵など、勇ましい姿の男たちを盛りだくさんに収めてあります。
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以上、『オリエンタリズムの絵画集』全2巻のご紹介でした。
上下巻で1800ページ。見ごたえ充分ですよー。
読み放題にも登録していますので、ぜひお手にとってご覧ください。
著者=渋谷獏 出版社=TAPIRUS
発売日=2022/2/18と3/9 ページ数=900×2=1800頁
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