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【テキスト】仮タイトルによせて|2024.2.10|大内伸輔

リサーチの中からいくつか言葉を整理する中で公演の仮タイトルをつけてみました。

取手アートプロジェクト25周年記念公演
「あしたの郊外/あたしの郊外」(仮)

取手アートプロジェクト(TAP)の25年は、郊外のくらしとそのありように向き合い続けた時間の層、とも言えるということがわかってきました。いまここ、に至る25年。あるいは、関わる人々のそれ以前のライフストーリーから成り立っている25年目があります。

TAPでは2015年から「あしたの郊外」というキャッチコピーを冠して活動しています。アートプロジェクトという実験を重ねて、郊外のあしたの姿を模索する。街に仕掛けられるさまざまなプロジェクトはそのテーマに紐づいて展開しています。取手という土地であること、アートプロジェクトであるということから紡がれた普遍的なテーマです。

関与者の語りに触れたこの1年で、それぞれの関わり方から総じて「自分ごととして捉えている」ことがわかりました。「取手市・東京芸術大学・市民の三者が協働して実践しています。」という座組みは当初から変わらないものの、関与のバランスであったり、その時々に立つ人であったりが様々に交差、更新して今があります。

当事者となる人々が、その時々に「あたしはこうがいい」「いや、あたしはこうがいい」と発する。小さな思いの積み重ねの体現がアートプロジェクトの姿だと思います。それは、公共事業における「みんな平等」(なんかつまんない)でもなく、誰かの意志を唯一とする「トップダウン」(なんかやらされてる)でもない、当事者の意志のある対話から紡がれる姿です。まちなかで人と人が対話を続けることで、「つくること」の練習をしている。現代に必要な営みであるとあらためて考えています。

そこに住んでいても住んでいなくても、関わることができるまち。未来を考えることができるまちは、わたしのまち。「あしたは、あたしはこうがいい」を続けてきた25年。それらが感じられる公演にしていければと思います。


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