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ラスト・チャンス(19) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり)

第19話 ゲームパッケージの面々

 入学当日のオリエンテーションは午前中で終了し、本格的な授業は週明けからとなった。そのまま解散してしまうのももったいないので三国の王子たちを誘い、改めて挨拶をすることに。アカデミーの多目的室を借りられたのでそこに集合する。

「改めまして、この度は私の提案に賛同頂き感謝致します」
「俺は母親の療養も兼ねているからな。是非一度王女様にもお会いしたいと言ってた」
「光栄ですわ。私も是非アナスタシア様にはお会いしたいと考えておりました」

 レジナルド王子は一人で入学となったけれど、他の二人の王子は身近な人物を連れての入学。前の扉の中でエマを殺害した二人だから、その顔は忘れてない。

「俺の連れはカーラ・グッドール。彼女はラッシュブルックの宰相の娘で、俺の幼馴染なんだ」
「はじめまして、カーラ様。よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ」

 少し緊張した面持ちのカーラ嬢。ここでは初対面だけど、こうやって落ち着いた環境で会うと何となく親近感も感じる。この中で女性は私と彼女だけだからだろうか。確か私よりも二つ年上だったかしら?

「こちらはサイモン・ダウニング。彼も僕の幼馴染で護衛として入学してもらったんだよ」
「よろしくお願いします、マシュー様、サイモン様。最後に私の隣にいるのはレオ・アシュクロフト。彼も私の幼馴染で普段から私の護衛を務めてくれています。今日は初顔合わせですが、また皆様とはゆっくりお話しできると嬉しいですわ」

 その後、友好の印とかなんとか言って、先日占い師にもらったお守りを全員に配る。お守りは私とレオの分も入れて丁度七個。そう言えばあの占い師の女性は、どうして七個って分かったのかしら……また疑問が一つ増えてしまった。

 世間話やアカデミーで学習してみたいことなどを話しつつ、それぞれの王子の様子を観察する。それぞれの王子の性格は以前の扉内で知ったのと同様で、私は彼らが何を学んでどうなりたいかも大体知っている。面白いのはパートナーのいるユージーン王子とマシュー王子。皆が徐々に打ち解けてくると、ユージーン王子はカーラさんと、マシュー王子はサイモンと普段道理に接し始めた。なるほど、この感じだとエマが割って入れば何かしら問題が起こるのも頷ける。

「皆様にご提案なのですが折角クラスメイトになったのですから、お互いに名前で呼び合うのはいかがでしょうか? カーラ様は年上でいらっしゃいますが、よろしいかしら?」
「もちろん。むしろ私が姫様を名前で呼ぶなんて恐れ多いです」
「それは遠慮なさらず。アカデミーの中でも外でも、エマと気軽にお呼びくださると嬉しいです」
「分かったわ、エマ」

 彼女に名前で呼ばれると、私も姉ができたような気分になって少しテンションが上がる。前世でも一人っ子だったからなあ。よしよし、これで初日にやるべきことは全部やったかな? 名前で呼び合えば親近感も増すと言うもの。後はより詳しく皆のことを知っておくこと……そう言えば調査を依頼した結果がまだ来てないわね。結構時間が経ってるし、そろそろ分かる頃かしら?

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