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【完結】ラスト・チャンス(全46話)

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2024年7月の記事一覧

ラスト・チャンス(1) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

目次: 第 1話 振り出しに戻る(目次の下に本文あり) 第 2話 かりん 第 3話 この世界 第 4話 エマ 第 5話 乗り物 第 6話 インファンテ王国 第 7話 告白と結末 第 8話 回想1 第 9話 フォーセット王国 第10話 回想2 第11話 ラッシュブルック王国 第12話 回想3 第13話 四枚目の扉 第14話 対面 第15話 レオ 第16話 入学に向けて 第17話 占い 第18話 入学 第19話 ゲームパッケージの面々 第20話 調査結果 第21話 アカデミー 第

ラスト・チャンス(2) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第2話 かりん 改めまして私は勝間かりん、だった者と言うべきかな? いや、まだ死んだわけではないし、ここではベースが私なんだからかりんでいいや。なんで私がこういうことになっているかと言うと、話は私が前世で大学生だった時まで遡る。所謂『リケジョ』だった私だけど、その実態は超絶オタク女子で、大学受験のために勉強勉強だった高校時代の反動か、大学に入ってからは趣味に全力投球だった。リアルな恋愛なんてそっちのけで、オタ友たちと楽しい日々を送

ラスト・チャンス(3) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第3話 この世界 エマ王女の恋愛ストーリーを振り返る前に、こちらの世界のことを簡単に紹介しておこうかしら。そもそもゲームのマニュアルでは国名ぐらいしか載ってなかったんだけど、当然ながら現実世界としての歴史であるとか文化であるとかは存在している。ゲームでは全然関係なかったけれど、こちらの世界で現実に王子と付き合うとなると歴史や国の立地なんかが結構影響してくるのよね。  エマ王女は中央国と呼ばれるイグレシアス王国にいて、それを取り囲

ラスト・チャンス(4) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第4話 エマ エマはとても明るく活発な女性で、私、勝間かりんの性格とは少し違っていた。私はオタクながら根暗ではなかったけど、エマほどお転婆ってわけじゃなかったからね。もっとも外見はもう雲泥の差。エマは母親譲りの整った顔立ちに鮮やかなピンクゴールドの髪。クソゲーとは言え流石主人公だ。更に社交の場では王女然とした気品漂うお姫様として振る舞うものだから国内外の人気も上々で、恋愛するにしてもこれ以上ないぐらい勝ち組だ。  ゲームには一切

ラスト・チャンス(5) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第5話 乗り物 ここでこの世界の乗り物についてちょっと触れておこうかしら。隣国に行くとなると移動手段は馬車などになるんだけど、イーサリズムの産物として『宙に浮く』乗り物がある。形は馬車から車輪を取った様な形で、それがイーサラムで浮いている。前世からしたら夢の様な乗り物だわ。  ただそれ単体で動かすことができず、結局それを引く動力が必要。それは馬だったり、これまたイーサラムで浮き動く駆動体だったりする。この駆動体、『浮く』ことと『

ラスト・チャンス(6) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第6話 インファンテ王国 レジナルド王子に招待されてインファンテ王国に行くことになり、諸々の準備をして国を出発できたのは一ヶ月後。流石に王女が他国に訪問するとなると、フラッと一人旅と言うわけにはいかないわけで、エマが初めて国を出るということもあって大層な一団になってしまった。エマの乗る馬車と言うか浮遊車は浮遊駆動体を使っているけれど、その他は馬車。エマの乗り込んだものの他に十台近い馬車が前後に配置され、そこに護衛の騎士やらなんやら

ラスト・チャンス(7) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第7話 告白と結末 アナスタシア妃殿下はゲームでも鍵となる人物で、彼女を攻略することがレジナルド王子との恋愛を成就させる重要なファクターとなっている。こちらの世界のエマはゲームのことなど知らないけれど、私がベースになっているせいか最善の選択肢をちゃんと選択してくれるのよね。だから後から思い起こしてみても、何が悪かったのかイマイチ分からない。実際この時も最適なプレゼントを持参して彼女に気に入られていた……はずだった。 「アナスタシ

ラスト・チャンス(8) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第8話 回想1「うーむ」  白い空間の四枚目の扉の前。かりんの姿で胡座をかき、一つ目の扉の向こうで起こったことを思い出す。案内人はニコニコしながらこちらの様子を伺っていた。 「なんでエマは殺されてしまったんだろう。しかも王妃に……あなた、理由を知ってるんじゃないの?」 「もちろん知っているさ」 「ホント!? じゃあ教えて!」 「それは条件だったヒントってことでいいかな?」 「うっ……」  そうだった。『ヒントを一つ』って言っ

ラスト・チャンス(9) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第9話 フォーセット王国 二枚目の扉の先、三人の王子を前にしてエマが手を取ったのはフォーセット王国のマシュー第三王子。他の二人に比べて少し体が小さく、エマと同じぐらいな感じかしら? サラサラの金髪にグリーンの瞳が印象的だけど、色白で少しひ弱な雰囲気もする。控えめと言うかオドオドしていると言うか、女性からするととにかく守ってあげたくなるタイプ。 「本日はわざわざお越しいただき有り難うございます、マシュー様。あまり緊張なさらず、寛い

ラスト・チャンス(10) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第10話 回想2 正直、二回目も同じ様な理由で殺害されてしまった後は『マジかーっ』って気分で、三枚目の扉にトライするかどうかかなり迷ったわね。死んでこの白い空間に戻ってきたら案内人はいなかったから、三枚目の扉を開けるしか先に進む選択肢はなかったんだけど。それにしてもなんなの、あの護衛の騎士は! 今思い返しても腹が立つ。 「彼はサイモン・ダウニング。マシュー王子の幼馴染で、体の弱い王子をずっと支えてきた人物だよ」  今まで黙って

ラスト・チャンス(11) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第11話 ラッシュブルック王国 三枚目の扉の先でエマが手を取ったのはラッシュブルック王国のユージーン第二王子。すらっと背の高い黒髪のイケメンで、どんな物語でも主人公としてやっていけそうなキャラ。外見から想像できる通りちょっとキザでナルシスト気味なんだけど、そのブルーの瞳に見つめられたらその辺の女性ならイチコロだろう。恋愛経験皆無のエマも例外ではなかった。 「私を選んで頂き光栄です、姫様。今宵のあなたは誰よりも美しい」 「まあ、お

ラスト・チャンス(12) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第12話 回想3 もうここまで来たら、エマは何やってもバッドエンドを迎える運命だったのでは!? とすら思ってしまうわね。王子の姉的存在の女性にまで刺されてしまうとは。 「三人の王子はエマと婚約して、まんざらでもない感じだったのになあ」 「フォーセット王国のマシュー王子とは婚約してなかったのでは?」 「まあそうだけど、ゲーム通りの展開ならあの後すぐに婚約できたはずなんだもん」  案内役にツッコミを入れられるけど、この案内役だって

ラスト・チャンス(13) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第13話 四枚目の扉 はっ! 扉をくぐって一瞬意識が遠のき、気がつくと私は鏡の前に座っていた。鏡に映る整った顔の美しい女性と、豪華な中世風の部屋の様子。紛れもなくイグレシアス王国の王女、エマの姿だ。このドレスは……成人を祝う誕生日パーティーに着ていた衣装。どうやらパーティー直前に自室にいたエマに入り込んだみたい。記憶を辿ってみるとエマとしてのコレまでの記憶、そして私、勝間かりんとしての記憶が両方ある。二重になってて若干気持ち悪いけ

ラスト・チャンス(14) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり) 第14話 対面 パーティはそれはそれは豪華なもので、芸能人の結婚式でもここまで華やかではないだろうと思えるほど。中央国の王家ともなれば、その権力も財力もレベルが違うことを実感する。庶民の私のままだったら完全に気後れしてしまいそうだけど、ここは王女たるエマの記憶があることに大いに助けられたわね。  会場に入る前に王と王妃、つまり両親に会ってドレス姿をべた褒めされる。そうだ、特に父親はエマに甘々だったんだよなー。しかしそんな父親に紹