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MMTへの誤解と財政破綻論の嘘

その1 〜誤解上等のMMTの雑な解説(多分、その2に続く予定)

既視感のあるタイトルである事を願います。
既に解説する良書、良記事が沢山出ていますので。

ネットでは、わかりやすい部分を摘み食いする広がり方をしたため、誤解した批判も量産されてしまった感のあるMMTです。

しかし敢えてここでは、更に誤解を恐れない解り易い言い方から(雑、とも言う)始めたいと思います。

一応、この記事を読むより、読んで欲しいMMT関連本を先に上げておきます。

MMT[現代貨幣論]がよくわかる本
望月慎 著
これはある程度金融や経済学の知識があると、より楽しめる本です。無くても、コンパクトなので読み切るのは楽です。MMTについてまわる誤解への回答としても秀逸です。

MMTのポイントがよくわかる本
中野明 著
基礎知識なくても解りやすいと思います。入門の入門にオススメ。

MMT現代貨幣理論入門
ランダル ・レイ 著
分厚くて、入門と言うにはやや読みづらいですが、MMTの公式本です。

※追記
財政赤字の神話
ステファニー・ケルトン 著
こちらを書いてしばらくして邦訳されました。わかり易さはこれが一番ですね。
以下、日本人の書いたMMT本は、応用、アレンジ、摘み食いと思う方が良いかもです。

知識ゼロからわかるMMT(現代貨幣理論)入門
三橋貴明 著
こちらも読みやすく、MMTに至る貨幣の歴史的背景も描かれ、日本経済の分析や指針としても良書です。

奇跡の経済教室【基礎知識編】【戦略編】
中野剛志 著
大変読み易く良書ですが、MMTの解説というより、日本経済のマクロ的分析にMMTを一部援用した、応用書と言えます。

バランスシートでゼロから分かる財政破綻論の誤り
朴勝俊 シェイブテイル 著
MMTを援用する本の一つで、バランスシートからの解説を重視しています。財政破綻論への反論テンプレとしても良いです。

マンガでわかるこんなにヤバイコロナ大不況 消費税凍結とMMTが日本経済を救う!
消費税反対botちゃん 著
マンガですが、侮れません。

他にも沢山ありますので、是非手に取ってみてください。
また、ネットでMMT四天王と称される方々のブログやnote記事も大変参考になりますが、コアな人向けかも知れません。

ちなみに、MMTを批判的に書いている本や記事も多いですが、その批判ポイントは、MMTの詳細部分で既に答えられているものを知らずに書いていたり、批判の論拠が誤っている事が多いですので、まずはMMTを肯定する本から読むのが良いでしょう。

それでは、本編です。

●三行で語るMMT(現代貨幣理論)

誤解を覚悟でMMTを3行で言うと、、、

①商品が作れるならお金も作ればいい

②働きたい人がいるなら仕事も作ればいい

③物も人も足りないのにお金だけ作ると詰むよ

と、なります。

すればいいって、そりゃ出来ればいいけどそんなの無理でしょ、という方。
出来るんです。

お手許のお札や硬貨を見てみましょう。
作られた物であることが分かりますね。
誰が作ったのかも明記されていますね。

仕事も、人が行うことは人が作っている事です。
神から与えられた仕事もあるかも知れませんが。
政府が作る仕事としては、公務員の仕事や、公共事業などがあります。

MMTの雑解説をもう少し詳し目に言うと、、、

自国通貨を発行する政府に、財政的な制約は無い(国債が自国通貨建てで、変動相場制ならば)

通貨の発行を制約するのは、商品の供給能力である(資源や労働力の限界、インフレ率が制約)

政府の赤字は、家計や企業等、民間の黒字(政府は赤字であるのが普通で、政府の黒字は危険)

金融政策は民間の債務に期待し不確実(財政政策は政府の負債で雇用や貯蓄を作るので直接的)

物価や為替の安定や、財政均衡の為に失業を許容しなくていい(インフレ無き完全雇用は可能)

等等、ザックリのつもりが、挙げるとキリがなくなるので、一旦置きます。

●キーワードのザックリ解説

多分この後使うだろう言葉の定義を、緩めに示しておきたいと思います。
と言うのも、分かってるつもりで使ってる言葉が、用語として見ると、意外と意味を誤解していたりするので。

貨幣:貸し借りの記録が譲渡性を得た、計数単位。通貨は流通、通用する貨幣。

現金:政府発行の硬貨と、日銀発行の紙幣。

預金:民間の銀行が発行する金融商品で準通貨。銀行のバランスシートの負債。

日銀当座預金:政府と日銀と銀行の間だけで使われる、日銀が発行するお金。

国債:政府の発行する負債。又は定期預金や、利付の通貨のような物。

信用創造:銀行の預金生成のプロセス。銀行の負債に預金発行。資産に貸出金。

財政破綻:元本返済や利払いが出来ない事。貸してもらえない事。

PB黒字化:プライマリーバランスの黒字化。収入が支出より多い。

インフレ:商品の値上がり。売れ過ぎと、仕入れ高騰の二通りある。

デフレ:商品の値下がり。作り過ぎと、ケチり過ぎの二通りある。

商品:物やサービス。物は在庫にできるが、サービスは生産と消費が同時。

供給能力:物やサービスを作り出し、届ける力。必要を満たす能力。

JGP:政府が失業者を誰でも雇用する制度。供給能力の遊水地的機能。ジョブギャランティプログラム。

BI:ベーシックインカム。国民への配当金。

等等、これも挙げだすとキリがないので取り敢えずこの辺にします。

●ありがちな誤解

最後に、ありがちな誤解(わかり易さ優先で敢えて誤解を放置してきたケースもあるかも)をいくつか。

誤解①MMTはインフレを目標とする
これはMMTでなく、どちらかというとリフレ派の考え方でしょう。
MMTはインフレを出来るだけ起こさずに、完全雇用を達成する事を提案します。

誤解②MMTは量的緩和の事だ
これもリフレ派との混同でしょう。
量的緩和は、ザックリ言うと、期待に期待する構造です。
笛を吹けば、人々がお祭りがあると期待して出歩き、それを客と見込んで屋台がでて通りが賑わい、お祭りではないが、お金は落ちると期待できる。と言う感じです。笛は金融政策、量的緩和の比喩です。
財政政策は、お祭りそのものを催す事や、商店街を整備する事に似ています。
MMTは財政政策を重視します。
金融政策と財政政策の関係は、次号以降に譲ります。

誤解③MMTはお金のばら撒きだ
これはヘリコプターマネーとの混同です。
MMTは供給能力(資源の量や、その回復の時間。環境要因やインフラの整備状況。労働力としての人やロボット等、生産設備の量や稼働できる時間)が、支出を制約すると考えますので、供給能力の維持や引き上げに資さない支出は、支出の上限を下げ、財政政策を継続不能にしてしまうと考える為、否定的となります。
MMTの財政政策の主眼は、完全雇用と生活所得を保障しつつ、供給能力の維持によってインフレをマイルドな水準に抑制する事です。

誤解④MMTはインフレになったら増税や予算削減で調整
MMTは裁量的な財政政策を嫌い、ビルトインスタビライザー(自動安定化機構)を好みます。
消費税率を適宜上げ下げするなどの政策でなく、所得税等の累進性の強化で景気や物価の亢進を抑制します。
雇用はJGPにより、不況で失業率が増えると政府雇用増による政府支出増。
好景気で人手不足になるとJGPから労働者が民間に移り、政府雇用減で政府支出減。
これらは政策当事者の能動的な裁量でなく、経済状況に対して受動的かつ自動的です。

他にも、MMTの理論というより、銀行や中央銀行や財務省の実務についての誤解を元にして、MMTを誤解(国債発行し過ぎると預金が減る、等)している物も多々ありますが、長くなるのでので取り敢えず次回以降に譲ります。

次回は、MMTが解説する、お金の生まれ方、流し方、消し方の仕組みに触れたいと思います。

その後は、MMTの視点に気づくと見えてくる視界、出来ないと思い込んでいた事が、やれると気付くあれこれについて、触れたいと思います。

#MMT  #財政破綻 #ベーシックインカム #JGP

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