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なぜ日本人はクソまじめに働くのか?

こんばんは🌙

私は今、コテコテのJTC(Japanese Traditional Company)で、自社クラウドサービスの開発マネージャーをしております。

直属の部下はいま6名です。20代の若手から50代のベテランまで幅広い年齢層がいます。開発組織なのでジョブとしては全員「開発者」になります。そこそこ利用者の多いサービスなので6名ではとても現場が回らず、パートナー会社にも多くの業務を委託しています。サーバアプリケーション、モバイルアプリケーション、インフラ(クラウド)、運用、顧客サポート等、それぞれの役割は違えどもトータルで40名ほどがこのサービスを維持運営していくために毎日仕事をしています。

で、開発マネージャーの立場からこの40名の人たちを観察してみると、全員に「漏れなく共通する一つの素養」があることに気づきます。

それは

(仕事に対して)「まじめ」であるということです。言葉を換えるなら「勤勉」ですかね。

皆さん例外なく、が付くほど仕事に対してまじめです。真剣に自分の仕事に向き合っています。タスクが割り当てられ納期が設定されたならば、その納期までに求められた水準まできっちりと仕上げます。体調不良等の不測の事態が起きても可能な限りそれを挽回しようとします。タスクを遂行する中で自分なりの工夫や改善点が入って来ることもあります。これは直属の部下だけの特性ではありません。パートナー会社から参画されている方達も皆そうなのです。

まじめ」という言葉は、必ずしもポジティブな表現とは限りません。「馬鹿正直」とか「融通が利かない」とかネガティブな意味でも使われます。実際、私がここで言う「まじめ」はその両方を含んでいます。私から見ると「もっと効率のいいやり方があっただろうに…」とか「もっと肩の力を抜いてやってもいいんだけど」と思うこともしばしばあるのですが、皆さん本当に全力で仕事に取り組もうとしてくれるというのが伝わり、しみじみとその有難さを実感しています。いつもホント感謝しています。

かくいう私自身も数年前までは「真面目にタスクに向き合う一人」でした。当時は「こんなものだろう」と思っていたのですが、仕事を振る側の立場になって見方が変わり、一つの大きな問いが出てきました。

「ていうかなんで皆、仕事に対してこんなに真面目なの?」

で、趣味で学んでいる東洋思想の中から、その答えの一端が分かったので共有します😉

明治のお雇い外国人が驚嘆したこと

いきなりですが、話は現代から明治時代に移ります。

明治維新を機に日本は近代化への道を歩み始めたました。

その象徴の一つが、富岡製糸場のような工業化インフラの整備です。日本各地に工場が作られました。欧米で製造された機械を持ち込んで生糸や紙などの工業製品をジャンジャン作るようになったわけです。

富岡製糸場の女工 (画像引用元:https://www.silkmill.iihana.com/koujoentry.php)

工場が建てられると、そこに現地の日本人が労働者として大量に雇用されるのですが、同時に欧米から技術者(エンジニア)も雇います。この外国人エンジニアの役割は、労働者に機械の使い方を教え、仕事を覚えさせることです。当時の西欧列強は世界各地に植民地を広げていました。この技術者達はアフリカ、南米、東南アジアなど世界中の植民地に欧米式の工業化を進めるため、本国からの要請で色んな国に派遣され技術指導をしてきた人たちです。その実績を見込んで明治政府が招聘したわけですね。

そんなお雇い外国人エンジニア達は、日本で技術指導を始めた途端にこうなりました👇

何に驚嘆したかというと

・機械の使い方をわずか数日で覚えてしまう(自分でメモをとっている)。
・休み時間中にも機械の操作を練習している。
・作業場所は常に整理整頓され、道具も使ったら元の場所に戻すが徹底されている。
・仕事が終わったら、道具、機械、作業場所をキレイにしてから帰る。

このような勤務態度を全員が当たり前のようにやっていたことに、です。

これまで世界中の植民地で同じように技術指導をしてきた外国人エンジニアにとって、日本人労働者のこの勤務態度は「賞賛する」というよりむしろ「クレイジー」に映っていました。なぜなら、これまで技術指導してきた国では

・何回教えても仕事を覚えない(識字率が低くメモ取らないし、教えたこともすぐ忘れる)
・スキあれば作業から抜け出す(サボろうとする)
・機械も道具も使っいっぱなし、作業場所は汚れ放題。

というのが当たり前でした(もちろん中には勤勉な人・優秀な人もいたでしょうけど)。別にプラスで給金を払っているわけでもなく、そもそも対価に見合わない安い報酬で長時間の過酷な労働をさせているのに、なぜ日本人の労働者はこんなに前向きに仕事に向き合うのかと。

「ちょっと理解できない…。こいつらドMなの??」
「もし自分がこの条件で同じ仕事をさせられたら、とてもこんな態度はとれないんだけど?」

と思ったことでしょう。

なかなか給料が上がらない中で「ライフワークバランス」や「コンプライアンス」を強く求められる現代の価値観に照らすと、この外国人エンジニアの感想も理解できます(現代だったら速攻で労基署が入るでしょうし笑)。

日本人の勤労観の源流にあるもの

この日本人独特ともいえる勤労観には明確にルーツがあります。

そのルーツは単一の何かによるというより、複数の思想哲学が混ざっているように思いますが、大別するとそれは「仏教、儒教、神道」です。

その中でも、多くの職業において日本人の勤労観に強い影響を与えているのは仏教(とくに禅)です。

と言われると

「え?まじめに仕事するかどうかに宗教が関係しているの?」
「たしかに実家は仏教のナントカ宗派だったような気もするけど、自分自身は別に仏教徒になったつもりはないし、そもそも宗教とか興味ないんだけど?」

と感じる方も多いと思います。(とくに私たち日本人は「宗教」という概念が苦手ですよね)。

次回は、日本人の勤労観と仏教(禅)がどのように関係しているのかを紹介します!



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