思い出は匂いとともに。あの懐かしい香り。
実家は埼玉だけど、両親の実家は岩手県。子供の頃の旅行といえば、両親の実家に行くことだった。
おばあちゃんの家はとても田舎で、周りは畑、コンビニはもちろんなく、スーパーは車で20分ほど走らないとなかった。
あのころは牛も数頭育てていて、時々餌となるワラや、トウモロコシの皮などあげるのがとても楽しかった。実に美味しそうに食べるのだ。
いつの頃からか、おばあちゃんの家に行くたびに「あ、懐かしい匂い」と思うようになった。
それは、埼玉とは違う外の空気の匂いだったり、小さな換気扇しかない、燻されたような台所の匂いだったり、生活の染み込んだ廊下の匂い、または牛小屋の匂いだったり。
唯一歩いて行ける駄菓子やさんがあったので、おばあちゃんと手をつないで時々散歩に行った。あの駄菓子やさんも独特の匂いがした。
これら全てが懐かしく、子供の頃の楽しい思い出とともに、それらの匂いも大好きなものとして記憶に刻まれている。
ときどき、旅先などでそれらの匂いに出会うと、なんともいえない郷愁にかられる。そして「ああ懐かしいなあ」と嬉しくなる。
住んだことはないけれど、とてつもなく素敵な場所。それがおばあちゃんの家。
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