耳コピはした方が良い
今宵の担当:noriです。
どんなジャンルであれ楽器であれ、耳コピはあらゆる講師や学習法において推奨されないことはありません。
それにも関わらず耳コピのやり方って余り教えてないように感じます、それぞれ各自好きな音源からコピーしておいてねってことですかね。まぁ、スケールやコードや理論が分からなくても聞こえた通りにやっておけば良いのですからフレーズが速くて指が周らないと言うことでもない限り大体は出来るっしょってことなんでしょうね。
ただ現実はそうでもない。
ワタシも耳コピは大変苦手でした、相当長いこと、10年くらい前まで?
ワタシは(今でもですが)音感がよろしくありません、コードもフレーズも全然採譜できませんでした。
絶対音感のある子供がピアノで複数音を鳴らして、全ての音を正確に言い当てるってのがありますが、あぁ言うのが全くできません。
そこで理論を学習して、普通ならそこに居るであろう音を理解し絞り込んで音を確定する、という理論と耳の挟み撃ちにしてはどうかと考えました
どのように耳コピするのが良いのか
つまりワタシが音楽理論を学習した最大の理由は理論と耳の挟み撃ちだったのです。理論による候補となるコードやスケールから「ありえる音」を限定すれば、12音全てから探るより効率が良いのです。その他には、
1. 耳コピアプリなどを使う
今は便利な時代になりました。
解らなければば解るまで音源を聴く、と言うのは今も昔も変わりませんが機材は大幅に進化しました。
それこそ昔はカセットテープをデッキが壊れるぞ!ってくらい何回も巻き戻して聴いて、また巻き戻して聴いてってやっていました(笑)
その後に耳コピ専用のCDプレイヤーが登場し、同じ箇所を何度もループしたり、音程を変えずにテンポだけを遅くするなどが可能となりました。MP3プレイヤー版も出ましたね。
しかし、どちらとも速度を遅くすればするほど音質が低下するという弱点がありました。速いから遅くしているのに音質が劣化して別の意味で聞き取りづらくなるのですが、それでも当時はそれしかないのでありがたく利用させて戴きました。
機能的にありがたかったのは速度コントロールよりも、設定した場所を何度もループできる機能でした。
電車でヘッドフォンステレオ聴きながら五線紙片手に楽器を用いず耳コピが出来ちゃう人って、絶対音感だけではなくフレーズの記憶力が高いんですね、何がどの音か分かってもフレーズが記憶できなければ楽譜は書けませんから。
ワタシの場合、音数の多いソロなんて4小節も覚えられなくてもっと細かくコピーしてって継ぎ合わせていたのですが、次をやっているうちにその前を忘れたりして、たった4小節がいつまでもコピーできない!なんてことがザラでした。
で、今はスマホのアプリで耳コピできちゃいます。
これが優秀で速度を落としても音質が殆ど劣化しないのですね。
もちろん指定場所のループも可能、「こんなのが学生時代にあったら」なんて嘆く方がいるのも致し方ない処でしょう。
最近の若者に名手が多いのは、こういうアプリや機材、そして忘れてならないYouTubeの影響とは無縁ではないです。
2.ひたすら耳コピし続ける
耳コピも楽器と一緒でやっていくうちに上達するんですね。
これって絶対音感的な能力が上がるってことではないので、どのようなメカニズムで上達するのかは確定しづらいのですが・・・
まぁみんな、大体は好きなジャンルの音楽をコピーし続けているのでしょうから、そのジャンルの特性とかやりくちが知識の中にデータとして蓄積されて処理が速くなるのでしょうね・・・くらいにしか言えません、あとは単に慣れですかね。
以前に書いた話に関係しますが、以前は既成曲のソロをやるときに原曲のソロをそのままコピーせず、理論的にあっているスケールなどでアドリブでやるということが多かったのです。
「自分のフレーズで吹いたほうが良いだろう」って大義名分でやっていたと思いますしが、今になって思えば「ソロをコピーするのが難儀だった」のが最大の理由ですね。あとは耳コピできても技術的に演奏できないってこともあります。
U2がバンド結成時よりオリジナルしか演奏しなかった理由は「人の曲は難しくて演奏できない」だったそうですが、それに近いものがあったのかな・・・なんてU2と一緒にするのも憚れますが(汗)
もっとも、プロが吹いたレコードに残っているものより良いフレーズになんかにならないので、コピーしたソロを演奏した方がウケが良いのは当然でしたね。
あと、ワタシは「暗譜」と言う言葉が好きではありません。
書いて文字のごとく、譜面を暗記するってことですが、音楽は譜面から始まっているのではありません。むしろ譜面で書き表せる情報は限界があって、正確に音楽を再現するにはやはり原本を聴くしかないのです。
ミュージック・コンクレートは、当時まだ業務用として登場したばかりのテープレコーダーを使用し、作曲家がテープレコーダーを使用することにより自ら音楽を表現しようとしたムーヴメントでした。
ムーヴメントはすぐに廃れたのですが、ミュージック・コンクレートが登場した理由は、作曲家と演奏家が明確に分離されているクラシック業界において、「楽曲が演奏家によって改竄されている」という作曲家側の不満が発端でした。「楽譜通り演奏している」はずのクラシック業界でもこんな事になる程、楽譜は完全ではなく、書き表せない部分において、演奏者個人の解釈が入り込む余地があるのです。
音符や譜面を暗記するんじゃありません。
「音楽」をカラダに記憶させるんです。
かつてワタシが担当したあるアーティストが、「耳コピは譜面に書かず、耳→指とダイレクトな方が良い」と言っていました。
何も書かないとコピーしても忘れちゃうので、次回はまた1からコピーするのですが、1回目より早くコピーできます。
で、また忘れちゃうので1からコピーするのですが、2回目より早く出来るのですね。これを繰り返すうち、何も見なくても演奏できるようになります。
また譜面に書き表せない細かいアーティキュレーションなんかも何度も聴くうちに刷り込まれていくので、サキソフォン奏者的には一石二鳥なのです。
この場合、譜面が存在しないので「暗譜」とは言わせねーぞってことですね(笑)
今日の一曲:Grover Washington Jr. / Just The Two Of Us (1980/Elektra)
スムース・ジャズの元祖にして、フリーソウル・クラシック、かつマーカス・ミラー初期プロデュース作品、数え役満なキラーチューン!
3'03"からのグローヴァーによるテナーサックスソロを、譜面に書かずに耳コピしたことがあります。
殆どペンタトニックで構成されるのですが、メロディアスで素晴らしいソロです!
改めてサックスソロにご注目下さい!
しばらくコレを吹いていないので今は忘れているかとは思いますが、再度コピーしたら速くできるような気がしています。
今宵の担当:nori
追記:そういえば昨日の「上海蟹」と同じコード進行だな(笑)