寺尾聰が好き!
今宵の担当 noriです。
松本隆オデッセイの武道館公演で盛り上がってますね、ワタシは6年前の45周年に観に行きました。
はっぴぃえんどは別として、松本作品の演目は時代順に演奏されたのですが、レコード大賞受賞曲であり、ある意味のターニングポイントだった「ルビーの指環」は順番関係なく本編のトリでした。
つまり寺尾聰が本編のトリでした。
ギターの今剛、ベースの高水健司を助さん格さんのように従え、ほぼパラシュートをバックに歌ったのですが、(自身の最大のヒット曲にも関わらず歌詞を間違えても気にしない)圧倒的な存在感は、トリ前の水谷豊(松本隆縛りなので「カリフォルニア・コネクション」ではなく「やさしさ紙芝居」を歌った右京さんも大好きなのですが)をも凌駕していました。
昨年の「Covers 2020」でレジェンドゲストとして登場した際、ミュージシャンとして呼ばれたにも関わらず、「俳優の寺尾聰です」と自己紹介するほど本業は俳優ですが、そもそも芸能界デビューはカレッジ・フォーク・グループ、ザ・サベージのベーシスト。
昭和の名優、宇野重吉の息子ということで2世タレントでもありましたが、田村正和同様ワタシの世代でも1世の方を余り存じ上げない「親の七光り」無縁の存在です。
日本レコード業界史上二枚目のミリオンセラーアルバムであるかの「Reflections」をリリースする前にもソロアルバムをリリースしているようで、厳密にはあれはセカンド・アルバムだったようです。
ベーシストだったにも関わらず、「ルビーの指環」でブレイクした際のテレビ出演ではギター、しかも後年気付いたのですが(その時は中1だったので気づかなかったのですが)アイバニーズの12弦を弾いていました。
「ルビーの指環」ブレイク時は石原軍団所属で「西部警察」の松田刑事(ニックネームはリキでしたっけ)役で人気を博していましたが、昨今の老生した俳優業も良いのです。
岡田准一主演でリメイクした「白い巨塔」での、教え子に裏切られる東教授。
「白日の鴉」での半分引退したけど正義感を焚き付けられる五味弁護士。
原作では主役設定だった「ようこそ、わが家へ」での相葉ちゃんの父親役。
そして最近の極め付けは日曜劇場で主演を務めた「仰げば尊し」の樋熊先生、元サックス奏者という設定もグッときました。
現在の処、日本レコード大賞と日本アカデミー賞の両方を受賞している唯一の存在で名実ともにミュージシャンと役者の二足の草鞋の最高峰と言って良いでしょう。
ここ10年ほどは往年のヒット曲を一切演奏せず、自身が影響を受けた洋楽のカバーばかりを演奏するバンドで(コロナ前まで)定期的にライヴをやってます。ギター3人、キーボード3人を擁する8人編成で、寺尾さんはヴォーカル&ベースという・・・そんなにメンバーがいるのにわざわざベースも弾くという、ベーシストとしてのアイデンティティに回帰したバンドです。
ぜひ一度観に行って見たい。
一方、前述の「Covers」出演時のような往年のヒット曲の場合は、なんの楽器も持たず歌う感じも良いんですよね。「Habana Express」での歌詞に合わせた手振りは良かったです。
今日の一曲:寺尾聰 / Stolen Memories (1987 / TOSHIBA EMI)
東芝EMIに移籍してからのサード・アルバム、「 Standard」より。
「Reflections」以降、作曲は全て自身が手がけていましたが、このアルバムではいわゆる職業作曲家の作品も歌ってます。
今やMr.City Popとの称号で語られる林哲司先生による一曲。英語歌詞、フレットレスベース、長尺のソロ、などなどグッとくるポイント満載の名曲です。
今宵の担当: nori