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サキソフォンはジャズのみにあらず

こんばんは、今宵の担当noriです。

ちょいと前の記事に続き、サキソフォンでもう一つ書きます。

サキソフォンはそもそも所謂クラシック音楽の演奏用に、クラリネットを元ネタとして発明されたものでジャズの為に発明されたものではないです。もっとも発明者のアドフル・サックスがこの楽器を考案した時代、ジャズもブルースもファンクもありませんでしたが。
その後クラシックよりもジャズの花形楽器となったのはご承知の通りですが、個人的にジャズ以外での印象に残るサキソフォン奏者をご紹介したいと思います。


私が最初にサキソフォンという楽器を意識したのは、スネークマンショー(ご存知かな?)の1stアルバム、「急いで口で吸え」(ALFA / 1981)収録の、「ストップ・ザ・ニューウェーブ」と言うトラックでした。その後俳優として不動の位置を築く、伊武雅刀氏とThe Spoilなるバンドによるリハーサル風景のコントなのですが、やたら仕切りたがる伊武氏のヴォーカルをサキソフォンが逐次邪魔しまくると言うネタです。「サックス、俺より出しゃばるな」という伊武氏のセリフでサックス=サキソフォンという楽器を認識しました。

その時サキソフォンを演奏していたのはThe Spoilの中心人物にして現在は画家の横山忠正なる人物でした。横山氏やThe Spoilについてはその後1枚だけアルバムをリリースし、The Spoilは今世紀になって横山氏抜きで再結成していたらしい、くらいしか知らないのですが、この「急いで口で吸え」は大分話題になった作品なのでこのコントは有名なようです。(ちなみに「Smoke on The Water 」のイントロリフもこのコントで初めて聞いたものでした。)
そんな「サキソフォン、カッコいいかも」なタイミングで登場したサキソフォン・ヒーローが立花ハジメ。立花氏に関しては当時何の知識もなかったのですが、ファーストソロ「H」(ALFA / 1982)はかの高橋幸宏氏プロデュース、かの坂本龍一氏もドラム(!)で参加だったのでYMO周辺のヒトとして認識したワケです。内容は(本人をして)「玩具版現代音楽」風のニューウェーブだったのですが、立花をはじめとするサキソフォン奏者が全面にフィーチュアされたサウンドは、当時中学生の私が虜になるにはうってつけなものでした。
しかし立花氏がそもそもプラスティックスというバンドのギタリストであり(というか本業はグラフィックデザイナー、ギターも別に上手くない)、サキソフォン歴3ヶ月でALFAと契約、歴5ヶ月目でこの作品をレコーディングしたことは知らなかったのです。ですが、サキソフォンの上手い下手もよく分からなかった当時、テクニックを重視しないニューウェーブというジャンルだったことは、立花をサキソフォン・ヒーローと認識させるに十分でしたね、なにより見た目がファッショナブルだったし。
また1982年、6名中3名が立花氏を含めたサキソフォン奏者という、B2-Unitsなるリーダーバンドを坂本龍一氏が結成したことも印象深かったです。(このバンドはツアーのみの活動でスタジオ音源はない。現在までNHKでのスタジオライブの4曲のみしか公式リリースされていない。)

さらに立花は、同年の高橋幸宏氏のファーストソロツアーにもメンバーとして同行、サキソフォン奏者として大活躍だった。(ラッキーにもその公演は観ることができました。)立花は2ndの「Hm」(ALFA / 1983)をリリースすると、その後サキソフォンを中心とした作品を発表しなくなってしまいました。
同じくYMO周辺のイギリスのバンド、ジャパンのミック・カーンも当時注目したサキソフォン奏者。カーンは基本的にはフレットレス・ベーシストなのでステージでサキソフォンを演奏することはないが、初期のMV、「I Second That Emotion」(スモーキー・ロビンソンのカバー)などではベース以上にサキソフォンを演奏する姿がフィーチュアされています。一風堂の土屋昌巳氏のソロ、「Rice Music」では、同じ変態フレットレス・ベーシストのパーシー・ジョーンズと1曲共演していますが、その際はベースではなくサキソフォンでの参加でした。
ちなみに前述の立花は、ジャパンのラストツアーを海外取材した際にステージにシットインしていますが、その際のサキソフォンはカーンより借用したというエピソードもあります。
かくして私の最初の「サキソフォンかっこえぇ」という印象はジャズではなく、80年前後のニューウェーブによって植え付けられたのでした。
ジェームス・チャンスしかり、ラウンジ・リザースのサキソフォン奏者、ジョン・ルーリー(ジム・ジャームッシュ作品で俳優としても知られる)しかり、ニューウェーブとサキソフォンの取り合わせが好きだった。楽器のフォルムも、あの様なロックバンドに合っている気がします。

写真は発明者であるアドルフ・サックスが製作した最初期のサキソフォン、だいぶ前に楽器フェアに展示されていたものです。

今宵の一曲   高橋幸宏/ Flashback (1983)

イントロ部分が当時「中華三昧」と言うラーメンのCMに使用された楽曲です。前述のファーストツアーよりサキソフォン&ギターの立花氏を除きメンバーを替えた翌年の演奏です。2'47"と4'38"よりアルト・サキソフォンによるソロがあります。

今宵の担当 nori

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