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Komainu と「なんでもおまんこ」

『新・狛犬学』の英訳本作成作業がいちおう終了して、昨日(2024年11月19日)めでたく入稿した。
一晩寝て、起きたらもう発売開始されていた。
11月9日あたりから着手したと思うので、10日くらいこれにかかりっきりになっていた。
感覚的にはもっとずっと長いことやっていた気がする。
英訳作業も大変なのだが、レイアウトの修正とかも大変だった。日本語版のレイアウトをそのまま使えればいいのだが、英文と和文では文章量が違ってくるので、結局頭から全部レイアウトをやり直さないといけない。しかも写真がいっぱい。540点くらい写真画像が含まれていて、そのすべてが同じ寸法ではない。
一般の書籍でもなかなかこういうものはないんじゃないかな。

特殊な用語や、「左近の桜、右近の橘」とか「獅子狛犬」とか「廃仏毀釈」とか、日本独自の文化や歴史の説明を英訳するだけでも難しいのに、500点を超えるカラー写真のレイアウト調整が細かすぎて、気が遠くなりそうな作業だった。毎日、何度も「こんなことをして意味があるのか?」と自問していた。
ともかく、これで、米、英、独、仏、西、伊、加、豪、ニュージーランド、スウェーデン、ポーランド、日本のAmazonで売られる、つまり、その地域のAmazonを使える人は誰でも買えるようになった。

↑アメリカのamazon.comでの表示

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しかし、どれだけの人がこの本に興味を持つのか、いや、この本の存在に気がつくのかと考えると、ほとんど絶望的な数字だろう。
しかも、円安のせいなのか、製造ラインの違いなのかは分からないが、日本のAmazonでは1980円+税で売っても十分に利益が出るのに、アメリカでは20ドルではほとんど利益が出ない。悩んだ末に21.8ドルという価格にした
現在のレートで21.8ドルは3,368円。日本で3400円の本を買おうというのは相当な気合いが必要になるだろう。日本語版は1980円+税で販売しているのだが、利益はアメリカの21.8ドルよりも大きい。
今、アメリカ国内でこの手の本に興味を持ちそうな人(インテリ層)が、A5判、156ページ、全ページカラーの本に21.8ドルを高いと思うのかどうか、感覚が分からない。
ちなみに、現在、アメリカ国内でのビッグマックの価格は5.69ドルらしい。日本円換算だと880円くらい。日本は480円。この本の価格21.8ドルはビッグマック3.83個分か。日本のビッグマック3.83個分は1840円くらいだから、まあまあ、感覚的には合っているのかな?

……まぁ、そういう貧乏くさいことを考えるのはよそう。「こんな凄い内容の本が、ビッグマック4個より安いんだぜ。分かんない? まぁ、そうだろな」くらいの気持ちでいよう。

江戸時代、名もない村石工が彫った狛犬が、21世紀になって紹介され、ファンができて、遠方から見に来る……そんなこともあるのだから、この本も、なんとか生き延びればいつかは誰かが見つけて、夢中になってページをめくるかもしれない。

表紙の画像は日本語版の岡部市三郎から小林和平の古殿神社の狛犬に変えた

谷川俊太郎氏、死す

92歳だったそうだ。
老衰とされている。90超えたら、まあ、それでいいんだろうね。
彼はきっと、よけいなものを身体に入れたりしなかったんじゃないかと想像する。

彼がこんな詩を書いていることを、今日初めて知った。

おれのからだ
おれの気持ち
溶けてなくなっちゃいそうだよ
おれ地面掘るよ
土の匂いだよ
水もじゅくじゅく湧いてくるよ
おれに土かけてくれよお
草も葉っぱも虫もいっしょくたによお
でもこれじゃまるで死んだみたいだなあ
笑っちゃうよ

「なんでもおまんこ」より、一部抜粋)

いくつのときに書いたんだろう。
あたしも、『奇跡の星』に書いた一節があるんだけど(2番の歌詞ね。まともすぎて凡庸なんだけど)、その部分を歌うとき、思わず涙が出てしまうくらい歳を取った。


二階の窓から見下ろす

ああ、これから一気に冬だわ。
寒くて血圧は上がるし、風呂に入るのも億劫になるし、日が短くて外にもあまり出なくなるし、ズボラ苑の野菜は大根と白菜くらいしか期待できないし……いいこと一つもない。
ま、家にこもる時間が増える分、創作にいそしめばいいのかな。
社会的な意味はないけど、自分的にはそれしかないからね。


『新・狛犬学』

狛犬のことならなんでも分かる「狛犬本」決定版。収録写真画像は約540点、すべてカラー。
第一章 狛犬とは何か 100万人の狛犬学
第二章 狛犬の種類
第三章 歴史に翻弄された狛犬文化
……それぞれ約50ページ構成で、狛犬の知識だけでなく、狛犬という不思議な文化が誕生した背景や、狛犬から見えてくる日本の近現代史の課題にも迫っていく。「庶民文化」としての狛犬を追求し、今までの視点では言及されなかった深層まで探ろうとする「」狛犬学。もちろん、画像を見ているだけでも単純に楽しめる。狛犬ファン必携の1冊。
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Tanupack
こんなご時世ですが、残りの人生、やれる限り何か意味のあることを残したいと思って執筆・創作活動を続けています。応援していただければこの上ない喜びです。