タラビッチの「クレムナ予言」 その内容と信憑性(4)
前々回、「次回はいよいよプーチンや第三次世界大戦のことを述べていると思われる箇所を読み解いてみたい」と書いたのだが、前回は結局そこまではいかず、石油文明や新コロ詐欺の話で終わってしまった。
今回は、いよいよプーチンと世界最終戦争のことを語っているのではないかと思われる部分を取り上げてみたい。
「北の国から出現する賢い男」は妄言を吐く女たちに悩まされる
まずは、問題の箇所をセルビア語で書かれている「原文」のまま抜き出してみる。
これを翻訳ソフトで英文に直してみるのだが、ソフトによって結果が結構違う。
Google翻訳ではこうなった↓
一方、Simple Translate 経由ではこうなった↓ 同じGoogle翻訳のエンジンを使っているはずなのだが……
北のある国に重要な男が現れて同胞愛を説く、という内容は同じだが、原文の「mali coek」という言葉を、Simple Translate は「one little boy(一人の小さな少年)」と訳し、Google翻訳では「a small coek」と、原文の「coak」を敢えて訳さずにそのまま残している。
この coak という言葉は本書の中では何度も出てくるのだが、予言者や軍師などを指して「賢い人物」という意味で使われている。なのでここでは「boy」とするのは間違いで、「一人の賢い男」くらいでいい。
多くの人がこの「北の国に現れる賢い男」がプーチンを指しているのではないかと指摘しているが、私もそう感じる。
上の文章全体をなるべく意味が通るように日本語にしてみると、こんな感じではないだろうか↓。
これでも意味がよく分からないままだが、タラビッチは別に謎かけをしているつもりはないはずだ(そのへんがノストラダムスの予言とはまったく性格を異にする)。近未来のことはかなりはっきりと説明できるが、遠い未来のことになればなるほど、彼の知っている限られた語彙で説明するのが困難なのだろう。
そうした状況を想像しながら、こちらもひらめきクイズを解くような気持ちで解読してみたい。
まず、英訳にあるlove and camaraderie や love and companionshipだが、camaraderieは「仲間意識」「同士愛」という意味で、ただのloveよりも民族意識や同士としての絆を強調する言葉だ。
また、detaineesという単語も独特で、これは主に外国人抑留者、政治的理由で捕らえられた者を指す。
外国から侵入したスパイともとれるが、目下、ロシアの収容所が戦闘で捕虜になった外国人傭兵やネオナチで溢れていることなども想起される。
Judaはもちろん聖書に出てくる「ユダ」で、裏切り者という意味で使われている。
これらの言葉選びの独特さを考えると、まさにプーチンにあてはまると思えてくる。
プーチンは間違いなく「賢い」男で、しかもスラブ系の男としては大柄ではない。彼の政治姿勢の背景にあるのはロシアという国の独立性とロシア人、ロシア文化への愛であり、ロシア民族を守り抜くという強い意思であろう。
しかし、その彼の周りには面従腹背の人物や外国からのスパイ、汚職官僚、悪徳財閥らが常に存在し、そうした勢力を冷徹な手法で排除し、投獄することも重ねてきた。
彼は冷戦後のロシアが不当に西側諸国から敵視され、NATOによって安全を脅かされ続けてきたことに対して抵抗してきた。
彼が世界に向けて演説した内容は、自国の論理に貫かれているとはいえ、大筋では間違っていない。
大規模なメディアプロパガンダにより、西側諸国の多くの庶民の間では、彼はとんでもない悪魔のように思われている。
しかし、アメリカの保守層を代表するような退役軍人たちの間でも、戦争を起こしたい、引き伸ばしたいのはアメリカで、ロシアが他国を侵略しようとか戦闘を拡大させたいなどと思っているわけではないという論を堂々と表明している者は少なくない。戦争の実態を知っている者たちは、政治思想に関係なく、メディアの大胆な嘘、プロパガンダには瞞されないということだろう。
タラビッチの予言通りなら、プーチンが語った言葉は本(記録)に残り、やがて彼を悪魔のように思いこんでいた人々も、自分たちがとんだ思い違いをしていたことを知る、ということだろうか。
最後に付け足しのように語られる「Vidjece da su se ko zene svadjali ni oko sta i ni za sta.」という部分も気になる。
唐突に「言い争う女たち」(the women argued about nothing and nothing. For what?)というのが出てくる。
タラビッチが男尊女卑的な思考を持っていたからともとれるが、私には、この「女たち」に関しては、ナンシー・ペロシやビクトリア・ヌーランド、さらにはリュドミラ・デニソワやグレータ・トゥーンベリらの顔が思い浮かぶ。まさに「中身のない妄想やでっち上げを声高に叫んで世界を狂わせた女たち」……考えすぎだろうか。
世界は真っ二つに割れる
これに続く記述は、さらに解読が難しい。
タラビッチ自身もどう言っていいのか分からず、表現に苦慮し、それを書き留めているザハリヘ司祭はさらに困惑しながら、ただただ単語を並べていた様子が想像できる。
英文に直し、それをなんとか少しでも意味が通るようにしてみた↓
ザハリヘが語った言葉を記した文章は、あちこち途中が途切れたり、最後を「...」と曖昧に終わらせていたりする。ザハリヘがタラビッチの発言を理解しきれず、半ばお手上げ状態だったことを示している。
伝承の内容がすでに意味不明なのだから、当然、それを他言語話者が解釈するのはさらに困難だ。
タラビッチの時代には想像もできない石油文明、デジタル革命後の世界のことを透視し、なんとか表現しようとしている文章なのだと理解した上で、いろいろ想像しながら読み解いていくしかない。
最初の1行はまどろっこしい修飾がついているが、とにかく「史上最大の全面戦争」が起きると言っている。第一次大戦や第二次大戦のことはすでに詳細に述べた後なので、この戦争はそれよりも大規模で全世界を巻き込むものだろう。
2行目では、世界がきれいに二分されることを「りんごが真っ二つに切られるように」と言っている。
これは今、既に起きていることだ。世界はまさに、アメリカが主導する西側諸国と、それに対抗してロシアと中国がインドやアフリカ諸国、南米諸国の多くを引きつけて形成するBRICS+のグループに二分された。
中東唯一の親米国と思われていたサウジアラビアも、今はもうロシア・中国との関係を大っぴらに深めている。
この東西対立構造は冷戦時代にも顕著だったが、今のほうが深刻度は深い。
2022年、ロシアがウクライナでの「特別軍事作戦」を開始した後、アメリカを中心とした西側諸国はロシアへの経済制裁を呼びかけ、いわゆる「西側諸国」がそれに応じた。
これに呼応した48の国と地域を、ロシアは「非友好国リスト」として公表したが、その内訳は以下の通りだ。
アメリカ、カナダ、イギリス、ウクライナ、EU全加盟国(アイルランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ルクセンブルク、モンテネグロ、スイス、アルバニア、アンドラ、アイスランド、リヒテンシュタイン、モナコ、ノルウェー、サンマリノ、北マケドニア、日本、韓国、オーストラリア、ミクロネシア、ニュージーランド、シンガポール、台湾。
これ以外の国々はロシア制裁に同調しなかった。
それから半年以上が経過し、今はさらにこの色分けが濃くなっている。また、西欧諸国でも、ウクライナのゼレンスキー政権にこれ以上肩入れして自分たちの生存権が脅かされる理不尽さに憤り、大規模デモなどが起きている。
「ウォッカは二度と完全に目覚めることはできない」という表現の中の「ウォッカ」は間違いなくロシアのことだが、これがスターリン時代の旧ソ連のような体制が復活しないという意味なら、すでにその通りだ。あるいはソ連崩壊後にやりたい放題の利益独占を図ったオリガルヒ(新興財閥)の悪行や、経済崩壊で犯罪が急増し、人々の倫理観や勤労意欲が低下していったことなどを「ウォッカ」という言葉に込めているのかもしれない。
4行目の「第三世界」というのは、英訳文では、
となったので、このthird party を「第三世界」と和訳した。
これはまさに現在の世界情勢にあてはまる。インドやサウジアラビア、アフリカ諸国などはロシア制裁を訴える米英に同調せず、中立の立場をとり、それ以上に、アメリカ主導の従来の世界構造からの離脱、ロシア・中国・インドなどを中心とした新しい強固な世界経済の枠組み作りを視野に入れている。
そしてそれはまさに「愛や欲望のため」ではなく、単に自国の安全を守り、世界を少しでもまともな状況に戻したいという冷徹な計算からのことだ。
では、次に進もう。
いよいよ謎解きの様相が深まってきた。
まず、ここに出てくる「王」「彼」「国」が何を指しているのか推測するのが難しい。
1行目に出てくる「世界大帝国の王位をめぐるこの戦争」は、WEFが提唱するグレート・リセットのことだろうか。
それが引き起こす(核兵器使用も含む)第三次世界大戦ということであれば、まだ起きていないが、人工ウイルスや遺伝子製剤を使った情報戦、認知戦という意味なら、すでに起きていて、今はまさに「戦時中」だ。
「かの賢人」が前の文を受けていてプーチンのことなのであれば、世界統一政府を目論むグループが起こす戦争が起きる前に、プーチンはロシアの大統領となり、改革を遂行し、農民たちもそれに従ったので、この文の通りということになる。
次の「彼はもはや赤い帝王が権力を拡大させ、金持ちになることを許さないが、その権力と富を使ってひたすら戦い抜く」というのも、プーチンがソ連崩壊後に生まれた腐敗政商らが不当に富を蓄積することを許さなかったという意味で、一方、手にした強大な権力を使い、ロシアの莫大な資源と人力を背景に現在の対米英NATO勢力との戦いを忍耐強く続けていることだと読み解けば合致はする。
「その後、大変動が起こり、彼が王位に就く今までの方法、常識がもはや通用しなくなります」も、「大変動」がシュワブらが企む「グレート・リセット」のことなら、確かに「それまでの方法が通用しなくなる」。
その次の「その新しい王は銃を手にするでしょうが、彼は赤い帝国を撃ちません。ただ、空に向かって発射された弾丸が当たった外れたの騒ぎを冷ややかに見ているだけです。そしてもう1人の赤い皇帝という役者を選出します」という部分には、さらにハッとさせられる。 ここまで読んで、実はこの「赤い帝国」はアメリカのことなのではないかと思い当たったからだ。
「赤い帝国」という言葉からは、赤=共産主義=ソ連=その後のロシア……という連想が普通だが、「彼」がプーチンであるなら、「赤い帝国」はロシアではない。
では、中国だろうか。中国ならまさに「赤い帝国」だし、ロシアが中国を撃たないのはその通りだ。
しかし、ロシアが「もはや権力を拡大させ、金持ちになることを許さない」帝国、プーチンが握る権力とロシアの国力(富)を使って戦い抜く相手は中国ではない。……と考えると、この「赤い帝国」はロシアを執拗に敵対視する大国・アメリカなのではないか。
タラビッチにとって「赤」=「共産主義」ではなく、邪悪なものというイメージなのかもしれない。
しかし、アメリカも今は真っ二つに分かれている状態であり、世界を最終戦争に引きずり込んでいる正体はそのアメリカをも動かしている者たちだ。
そう考えていくと、ロスチャイルドはドイツ語でロートシルト=赤い盾という意味だということに思い当たる。タラビッチが言う「赤い帝国」がロスチャイルド帝国のことならば、さらに驚くべき予言といえる。
次の「ただ空に向かって発射された弾丸が当たった外れたの騒ぎを冷ややかに見ている」というのは、原文は、
となっている。
このsenlucitiという単語がよく分からなくて調べたら、こんな解説が出てきた。
さらにはこんな解説も見つけた。
つまり、空に向かって銃をぶっ放して鬱憤晴らしや馬鹿騒ぎをするというような意味らしい。少なくともいい意味では使われていないようだ。
これぞまさに、今、ウクライナで行われていることではないか。
「もう1人の赤い皇帝という役者を選出します」というのも、現代の戦争がゼレンスキーのような「役者」を立てた傀儡政権を使って行われていることを想起させる。
ザハリヘのメモはさらにこう続く。
これが「最終大戦」についてタラビッチが予言した部分といわれていて、メモの最後にあたるのだが、どうにもごちゃごちゃしていて読み解きにくい。
最後の行の「空から光り輝く人々が地上に落ちてきます」というのは、「人」ではなく戦闘機やミサイルのような金属製の兵器のことではないか。そういうものをタラビッチは見たことがないわけで、「光り輝く人々」と表現したとしてもおかしくはない。
また、内容があちこち前後している印象がある。タラビッチが語った順番で記述されたのかどうかも怪しい。タラビッチ自身、自分の想像を超えた光景や状況を説明しているため、うまく伝えられないのは仕方がない。
上記1行目の「果てしない海の向こうの国の王が皇后と共に生じさせた王子たち」というのが何を指しているのかをまず考えてみる。
これだけでは想像もつかないのだが、「果てしない海の向こうの国」がアメリカを指しているなら、皇后はその国の皇后ではなく、同盟国のイギリスのことかもしれない。イギリスはつい最近まで長いこと女王の国だったし。
であれば、米英が生じさせた王子たちは米英の同盟諸国のことだろうか。
米英が主導する西側諸国が怒りに満ちた殺人鬼のように戦争を仕掛ける、ということか。
次の1行は、予言と言うよりはセルビア正教信徒としての気持ちというか祈りだろう。
ドキッとするのはその次だ。
「この戦争を起こした人々には学者や賢人がついていて、彼らが大砲に代わるありとあらゆるトリックを生み出す」
これもまさに現代の戦争を言い当てている。
現代の戦争は、兵器による戦闘よりも、人を瞞し、扇動するプロパガンダや洗脳技術に重きが置かれるということだ。
「その魔術は彼らを眠りにつかせ、彼らは戦う魔術の代わりに眠り、その後、ようやく我に返る」も、武器を使った従来型の戦闘に駆り出される代わりに洗脳され、思考停止することで、実質、戦争に巻き込まれているという状態を「眠りにつかせる」と表現したのかもしれない。
クレムナ予言を読み解く際の注意点
さて、セルビア語で書かれたクレムナの予言本をここまで読み解いてきて改めて分かったことは、
メモの内容は時系列通りに並んでいるわけではない
テーマもあちこちに分散しているので、繰り返しが多かったり、違う話を挟んで分かれていたりする
タラビッチにとっての近未来のことはかなりはっきりと書かれているが、第二次大戦後の世界像はタラビッチにもザハリヘにも想像を超えたハイテク世界なので、うまく言い表せていない
タラビッチもザハリヘも敬虔なセルビア正教徒なので、予言の表現には彼らの宗教観、世界観が色濃く反映されている
本にはミタールの父・ミロスの予言や、ザハリヘ司祭が直接書いた解説や状況説明、さらには他の著者が書いたことの紹介など、様々な材料が混在しているので、よほど注意しないと予言そのものとそれ以外の記述をしっかり区別できない
……といったことだ。
こうした注意点を踏まえた上で読み解いていかないと、タラビッチが「見た」ものの正体、実像を知ることは難しい。
アメリカで出版されたというペーパーバックはおそらくそうした余分な記述を省いて、ミタール・タラビッチが実際に司祭に語った言葉だけを抽出し、原文の不備や乱れも「こういうことであろう」と修正・補足しながら英文にしていったものだろう。
「ヨーロッパと同じくらいの広さの楽園」はミタールの言葉ではない
ここでひとつ重要な指摘をしておきたい。
あちこちのタラビッチ予言に関するサイトで、第三次世界大戦後に生き残る「ヨーロッパと同じくらいの大きさで、人口が1億くらいで、1年中春と夏のような気候の楽園で、人々は愛と調和に結ばれて平和に暮らす国」云々という予言が述べられているが、これはミタール・タラビッチの言葉ではない。
本の後半に確かにこうした記述が出てくるのだが、この章の最初にははっきりと、「タラビッチの子孫、ブディミール・ミロサヴリェヴィッチとの対話」というタイトルが付いている。
この本をまとめた著者(もしくは別の人物)がタラビッチの子孫にあたるブディミール・ミロサヴリェヴィッチと会って話を聞いた記録であり、そこに述べられている言葉はすべてブディミール(通称・Budo)のものだ。
対話というよりもインタビューの形になっているが、その内容全体は、彼の先祖であるミタールの予言から飛躍して、ブディミール自身の願望、理想の世界像を語っているようだ。
その中で、この話題はこのように始まっている。
多くのサイトで、この部分をミタールが直接話した言葉のように勘違いして、他の予言と同列に解説している。
繰り返しになるが、この部分はタラビッチが言った言葉ではなく、彼の子孫のブディミール・ミロサヴリェヴィッチが言った言葉なのだ。
その章の最後にもはっきりとこう書かれている。
現代を生きる我々は「クレムナの予言」をどう扱うべきか
「予言」というと、多くの人にとっては単に未来の出来事を教えてくれるもので、それが当たった外れたと言ってワイワイ楽しむ(あるいは不安に陥る)エンターテインメントだろう。
かつて五島勉氏が書いた『ノストラダムスの大予言』などはまさにその典型だった。
彼が書いたノストラダムス本は、最初の本だけで累計200万部超、その後に何冊も続いたシリーズ全体では軽く500万部を超えるヒットとなったそうだが、社会現象にまでなったのは「1999、7の月に空から恐怖の大王が来る」という一節を「1999年7月に世界が滅亡する」とした解釈が一人歩きしたからだ。
タラビッチのクレムナの予言も、その手の「衝撃の予言書」として取り上げれば世間受けするのかもしれないが、ここまで読んできて、私はそうした扱いはタラビッチやクレムナの人たちに対して失礼極まりないと感じる。
真面目に読み解こうとすればするほど、原文の解釈は地味にならざるをえないし、読み手の思想や知識によって解釈が異なっていくことも避けられない。そういうものだ、ということを事前にしっかり念押ししておく必要がある。
私としては、ここまで読んでみて、私自身は「クレムナの予言」に収められたミタール・タラビッチ語録が後世のでっち上げだとは思わなくなってきた。この本がセルビアでは聖書のように一家に1冊あるというのも、オブレノヴィッチ王朝時代(1815~1842年と1858~1903年)にはクレムナの予言者関連のものはすべて禁止され、取り締まられたというのも本当だろう。
英訳を試みたジュラ・セーバーらも、可能な限り真摯に向き合って翻訳作業をしたと思う。
それでも、この手のものは広まっていくにつれ、「想定読者」の興味をそそるように都合よく切り取られ、あるいは読み手の思考傾向を強く反映して意訳されていく。今これを書いている私の解釈も、そうした「自分好みの」解釈だと言われても仕方がない。
それを承知の上でここまでWEB上に「解読日記」を綴ってきたのは、読めば読むほど、当たった外れたの占いレベルのエンターテインメントを超えた哲学とでもいえる深みを随所に感じ取ったからだ。
言い換えれば、ミタールが幻視した未来(予言)そのものよりも、彼が限られた知識と語彙力で表現したものから感じ取れる世界観、宇宙観のようなものに自然と共鳴する。
「人は本当の自分を知らない、本当の力を知らない、真実は極めて単純なことなのに……」
彼の言葉の根底にはこうした思想というか「信仰」があることは間違いない。
ミタールの言う「神」はセルビア正教の宗教観における神だろうが、私がミタールの言葉から感じ取る「神」は、私という肉体が感じ取れる現世を包み込む、はるかに巨大で深い、多次元世界全体というような「神」だ。
ミタールやミロシュは、「現世」を超えた次元を垣間見られるような特殊能力を持っていたのだろう。それを一旦受け入れてみた上で、私は私なりに、彼らが言う「真実」「本当の力」といったものへ想像を飛ばしてみたいのだ。
私はまだ「クレムナの予言」の原文の半分くらいしか読めていない。著者による、どうでもいいような美辞麗句が連なっている予言文化礼賛やタラビッチへの礼賛部分がかなりを占めていて、そのあたりは読み飛ばしたからだ。
また、複数の人物が時系列が乱れたままいろいろなことを発言していたり、著者によるまとめや解説も混じっているので、それらを整理しながら読み進めるだけでも大変な苦労をする。
もし、私の気力と興味がもう少し持続して、本書全部を解読し、自分なりに整理できたら、近いうちに1冊の本にまとめるかもしれない。
しかし、その作業に真面目に取り組めば取り組むほど、一般には「ウケない」、地味な読み物になりそうな気もする。
少なくとも、一般ウケ狙いで世紀末感を過剰に演出したり、都合のいい切り取り操作はしない。
★そうした「読解書」の出版に興味のある編集者がいらっしゃったら、ご連絡お待ちしております。
★(追記)結局、版元が見つからないまま、タヌパックでオンデマンド書籍として先行出版しました↓
(この本に限らず、タヌパックのオンデマンド書籍はすべて、基本的には常時、一般流通での版元様を求めております。出版をご検討いただける版元様はたくきに直接メールでご連絡ください。)
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『新釈・クレムナの予言 タラビッチが見た「世界最終戦争」』
19世紀セルビアのクレムナ村に生きた農夫、ミロシュ・タラビッチとその甥ミタールタラビッチが残した「クレムナの予言」は、あまりにも詳細な部分まで実現したので偽書ではないかという議論が起きた。多くはセルビアの未来についての予言だが、現代、そしてこれから起きることを述べていると思われるものも含まれ、注目度が高まっている。コロナやウクライナのこと、グレート・リセットのことを予言したかのような内容もある。
謎に満ちたクレムナの予言をセルビア語の原文にあたって全容解読を試みつつ、我々はそこから何を学べばいいかという視点も提示した意欲作。
★ご注文が多いため、A5判に改訂し、Amazon KDP ペーパーバック判としました。Amazon版のほうがお安く、かつ、早く届きますので、Amazonをご利用のかたは⇒アマゾン版をご注文ください。
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こんなご時世ですが、残りの人生、やれる限り何か意味のあることを残したいと思って執筆・創作活動を続けています。応援していただければこの上ない喜びです。