日本家屋といえば「引き戸」
伝統的な日本家屋である我が家には扉式のドアがほほぼない。あるのは「引き戸」である。近年バリアフリーなどを意識した家では引き戸が活用され、その便利さは改めて認められているようだけど、新しくというかちょっと前に建てられた家でも玄関を含めそのほとんどが引き戸という家は、珍しいのではと思う。
以前に住んでいたマンションも実家もドアのみ(どちらも押し入れがあったので押し入れ以外)、子供の頃に住んでいた家は引き戸があったが、トイレや風呂場、玄関はドア。唯一、おばあちゃんの家がすべて引き戸だ。
で、ドアがない家に住んでみて強く思った。引き戸はほ〜んとに快適!
一人暮らしをしていた頃のマンションは、狭い部屋なのに内開きのドアだったからなかなか使い辛く、ドアに足をぶつけること数えきれず。一度思い出したくないくらいの結構な怪我をしたこともあった。引き戸は、そんなストレスが一切ないし、頻繁に通るときは開けっぱなしにしておいても邪魔にならない。
それから日本建築でよく言われていることだが、日本家屋は部屋の仕切りは可動式取り外し可能な形態で、それが大きな特徴でもある。冬は暖房効率を上げるために閉めておくけど、それ以外の季節は、廊下や隣の部屋との仕切りである襖や縁側と仕切られている障子をなどを開け放っておくと、広々開放的な空間に変わるのも便利かつ快適だ。
それに、日本家屋の引き戸は、見た目も美しい。襖は、だいたいどこの家でも素敵な模様が描かれているし、障子は木目と和紙のあたたかみが良いだけでなく、ほんのり照明のあかりや屋外のあかりを取り入れてくれる。板戸は一枚板でつくられたものも木目がおしゃれだし軽くて使いやすい。木枠でかつ模様が入ったガラス戸なんて、レトロでとてもおしゃれだ。
こんなに使いやすくて便利で見た目も素敵なのに、なぜ、なくなってしまったんだろう。と思ってちょっと調べてみたが、これはやはり引き戸だけの問題ではないのだろう。
伝統的な日本家屋が激減したのは、戦後。復興にたくさん家を建てなくてはならず、その頃に輸入材や海外の安価ですぐに建てられる家が圧倒的に増えたことが要因らしい。
今は、一般的な住宅において畳や障子はかざり程度。おまけのような存在になってしまった。というか、おまけでもあるならそれはまだマシかもしれない。
百歩譲って、現代建築の中でもなるべく引き戸にしたらいいのに。日本の家はそう大きくないのだからドアでは非効率だと思う。子供や高齢者の怪我も防げる。
少し前に、建具(引き戸やドアの部類を含めた名称)について調べていたら、なんと「全国建具組合連合会」なるものを見つけて、驚いた。いろいろな団体があるものだ。
HPによると、
とし、建具類に関する技術の研究や教育・継承、出版物の発行、展覧会やフェアの実施や参加などの事業を行っているとのこと。HPには作品などものっていたのでみてみたら、技術が集大成されたおしゃれな引き戸の画像が多くあった。間近で見たい。全国建具展示会(全国建具フェア)というものもあるそうで、これは行ってみたい! と思ったが、見つけたときは終わったばかりというタイミングで残念。
ということで、私は引き戸がかなり好きだということが判明したので、古い建築物の見学をする際は、今後ますます引き戸に注目してみようと思う。
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