シリコンバレーバンクの顛末
備忘録として・・・
アメリカのカリフォルニア州に本拠を置く銀行業のシリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻し、3月10日付でカリフォルニア州金融規制当局により閉鎖され、連邦預金保険公社が管財人となり事後処理に当たることが明らかになりました。同公社は20日、経営破綻したSVBの引き受け手を探す入札の締め切りを24日まで延長することを発表しましたが、当初候補に挙がっていた地銀も難色を示しており、引き受け手を探すのは苦労しそうです。
なぜ破綻したのか
1983年に設立の同行は、カリフォルニア州およびマサチューセッツ州に17店舗を構え、IT関連企業を中心に融資を行い、2022年末時点の総資産は2090億ドル(約28兆2000億円)、預金残高は1754億ドル(約23兆9000億円)の規模にまで事業を拡大していました。しかし、アメリカ中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が実施を決めた利上げの局面において、運用していた債券の価格下落により多額の損失が発生すると、財務状況が悪化したことで信用不安に陥ったため、当局による閉鎖の決定となったようです。
同社の総資産は2022年末時点で約2090億ドル(約28兆円)、全米16位の資産規模となっており、アメリカの銀行の経営破綻としては、2008年に貯蓄金融の「ワシントン・ミューチュアル」が破綻して以来の史上2番目の規模となる見込みです。
SVBは米国内のスタートアップへの積極的な融資で知られており、同行の資料によれば、米国のスタートアップの約半数、2022年に新規株式公開(IPO)したテック企業の44%と銀行取引があったそうで、シリコンバレーでは「ベンチャーなら何かしらの取引があるような存在の銀行だ」ということです。そんな銀行が破綻してしまったことで、アメリカのITハイテク株もさらに値を下げることになりました…。
壮大なマネーゲーム
またSVBの破綻は欧州にも飛び火し、スイスの大手銀行クレディスイスは経営不安の問題が再燃し、こちらも大きく株価を下げています。
SVBの破綻は必然だったのかもしれませんが、筆頭株主が3月頭には持ち株を売却していたりと、所々でマネーゲームの匂いがしており、資本主義というのは数人の大金持ちのお金の動きに庶民が振り回されて養分にされるという現実を思い知らせてくれる機会となりました