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ビーチでBBQ

 夏、みんなでビーチBBQに行った。

 メンバーはあーちゃん、もこ、わたしのくいしん坊万歳三人組。
 わたしも含めてこの3人は食べることと飲むことが大好きで、アンテナの張り巡らせ方は尋常じゃない。それ以外のアンテナはポンコツなのは内緒だ。
 
  早速もこが持ってきたパンフレットを3人そろって覗き込む。
「飲み放題2時間、食材は一人分ずつセットで用意されていて、持ち込みも出来るんだって」
 と、くいしん坊参謀のもこ。
「サンセットビーチのアレでしょう ? 良さそうだよね」
 あーちゃんの説明によると、ビーチにテント群が設営されてて、その下でBBQをするらしい。
「いつもビーチでビールを買ってるあの小屋でドリンクは注文するんだね」
「へー、よさげではないか」
 まあパンフレットが持ち込まれた時点で行く気まんまん。
 わたしは素早くスケジュール確認をしたら、運よく週末にみんなの予定が会いそうだった。
「もこさん、予約してくれるかね ? 」
「おーきーどーきー !!」
 と、元気よく返事をした彼女。実はすでに皆のスケジュール確認も終えていて予約していたのだった。
 恐るべし、溢れ出る食い意地。

「これ、どう? 」
「あっ、バーベキューのたれも買ってゆく ? 飽きが来ないように」
 当日、予約時間より早めに近くの巨大スーパー・イ〇ンに行き、生鮮売り場で追加持ち込みの食材を吟味する。さすがBBQ天国の沖縄、BBQ用の食材パックの豊富さは目を見張る、いや腹を鳴らすほどだ。食材はひとり1セットづつ用意されているのに、さらに追加しようという食い意地の張った3人は次々にショッピングカートに肉やらなにやら追加してゆく。

 ところで、わたしは焼き肉といえばジンギスカンも食べたいなぁと思って、こっちに来てから食べていないし、ラム肉を探したのだが、無い。ラム肉のカテゴリー自体が無いのだ。
「ねぇ、ラムって無いよ ? 」
 きょとんとする二人。
 東京に居る時はよくジンギスカンを好んで食べていたので何も疑問は無かったのだが、沖縄ではあまりポピュラーではないらしい。まあ、ジンギスカンは北海道が有名だものなぁ、はるか離れた沖縄までは届かないのかもしれぬ。同じ島なの・・・。
 いまネットで検索してみたら、ジンギスカンのお店は何件か見つかったけど、まあ、自宅でラム肉を焼くことはあまり無かったかもしれない。
 こどものころ夕飯にマトン ( ラムが育ったものです ) のたれ漬け焼きが出てくることが多かったが、あれは今みたいに羊肉がポピュラーではなく、かつ安価だったためのようだ。おかあさん、苦労をおかけししました、ありがとう。

「うわぁ、盛況だねぇ ! 」
 ビーチに着くと離れた距離からも煙がもうもうと上がっているのが見えた。週末と言う事もあってビーチに居る人、BBQを楽しむ人はほとんどが軍関係と思しき外国の方々ばかり。ここは海外 ? と間違えそうな雰囲気だ。海水浴を楽しむ女性たちも、日本人なら絶対着ないし似合わないであろう水着姿だ。どこで売ってるんだ ? PX で水着も売っているのかしら。

 ひとしきり場の雰囲気にのまれた後、係のお兄さんが食材を用意してくれながら説明をしてくれた。
 食材は一人分がひとパックになっていてかなりのボリュームだ。一瞬、食べ切れるか ? と疑問が浮かんだけれど、そこははいつものみんなの行動からすると杞憂であることで即座に打ち消される。
 沖縄はステーキ王国である。いつもその肉の質、量とも驚かされる。

「かんぱ~い !! 」
 肉はどんどん焼ける、そして三人の胃袋へと消えてゆく。ドリンクのピッチも超高速。
「次はモコさんの番だね」
 ドリンクを頂きに行くのも超高速。
「わたしジントニック」
「わたしはもう一回、オリオンで」

 良い感じに出来上がって来て、周囲を眺める余裕が出来ると、隣のグループは男女混合の外国の方だった。見るからに軍関係という感じでみんなムキムキ。合間にテントの骨組みで懸垂をしているひとも居る。
 ワイワイ言いながら時に輪になってビーチボールで遊んでる。なんか手でやる蹴鞠みたいだな。映画でよくこんなシーンを見かける。そのあと大惨事が起こるんだよな、映画だと。( すまん、サスペンス映画の見すぎだ )

 最初の内ははっちゃけていたお山の大将的男子、年かさの男性があとから来て加わると、ちょっとおとなしくなった。場の雰囲気がピリッと締まる。
「きっと上官だね」とあーちゃん。

 場所が違えばこんなとき、お隣さんとも自然に仲良くなることが多いと思うが、ここでは違う。
 まるでお互いの間に薄い透明な壁があるように感じる。
 たぶん規則なのだろう。
 こちら側もそれを察して対応する。お互いの存在を意識しない。たどり着いた作法なのだろう。
 そういえばバーとかで飲んでいるときもそんな感じだったな。


「見て ! 陽が沈むよ ! 」
「うわぁー、きれい ! 」
 周囲のみんなも一様に沈む夕日を眺めてる。この一瞬、嬌声も止み、静かな一体感が生まれた感じがした。
 たぶん気のせいだと思う。
 
 いい休日だったな。
 また来よっと。
 

 


 


 

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