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ニューホライズン読解「1991年、夏~新たなる地平~」2
レッスン5
ついにマイク、日本の学校へ。
由美やルーシーだけではあきたらず、マブい娘を物色するためだろう。
マイクが凄いのは自己紹介のこのくだり。
「僕にはここに素晴らしい友達がいるんだ。彼の名は健」
ここで、由美の名を出さずに、あえて健の名を出すところがあざとい。
ガールフレンドなんていないよ、とでも言いたげではないか。
しかもマイク、スポーツマンを演出するために「basketball」とか書いてある、エアジョーダンのパチモノマークが入ったTシャツを着てきやがった。
エアジョーダンのマークってダンクシュートしてるシルエットやんか。でもマイクの着てるシャツはレイアップシュートなわけよ。
どこで買ってきたのやら。
しかし舞台が整えばもうマイクの独壇場。
生徒A「中学生ですか?」
マイク「そうさ。中1だよ」
生徒B「バスケットボールはお好きですか?」
マイク「好きだよ。君は?」
生徒B「あんまりかな。僕は野球が好き。でもヘタなんだ…」
マイクからの返答は無し。生徒B(男子)になど、まったく興味ないようだ。
生徒C「音楽は好きですか?」
マイク「まあね」
生徒C「ポップスが好き?それともクラシックかい?」
マイク「ポップスだね。僕はドラムを叩くよ」
生徒C「ワオ!!かっこいい~!」
マイクの思う壺だ。
レッスン6
マイクの野郎、いい気になって今度は由美をデートに誘いやがるんだ。
しかしこれがこの後マイクの首をしめることになる。
アメリカ人らしく、デートプランはマクドナルドだ。
ハンバーガーとオレンジジュース(小)をふたつずつ。しめて720円。
クールに財布からお金を出すマイク。
中1の由美は、そんな彼の経済力にもう夢中だ。
1991年、やっぱりドルは強い。
マイクのペースでそんな甘い時間を過ごしてたら…、来たぜ来たぜ~!嵐の予感!
「ハイ、マイク!」
ん?と振り向くマイク。
その顔から血の気が失せる。
「ハ、ハイ!ルーシー!!」
なんでルーシーが日本に!?
やややややばい!
「あ、こ、こちらが由美。由美、こちらがルーシー。ア、ア、ハハハ…」
「ハイ、由美!」
だんだん雰囲気悪くなってきます。
「ハイ、ルーシー。この店、よく来るの?」
「ええ、私この店好きなの」
不機嫌そうに店員に呼び掛けるルーシー。
「チーズバーガー2個ちょうだい!」
チーズバーガー2個というおおよそ中1女子に似つかわしくない注文がこれからの修羅場を物語る。
「ルーシー、どんな日本食が好き?」
ジャンクフード食いながら日本食を語り出す由美。どうやらはらわたが煮えくり返ってるようだ。
「私は寿司と天ぷらが好きよ」
「あなたはどうなのよ、マイク!」
鬼の形相で突然マイクに詰め寄る由美。無論マイクの好きな日本食を知りたいわけじゃないだろう。
「あ、ボ、ボクも日本食好きだよ。ときどき夕食に豆腐を食べるんだ。けっこうアメリカ人って豆腐好きだよ…。は、ははは…」
マイク汗だく。
レッスン7
もはや、由美をめぐってのライバルとしてなど捉えられなくなってしまった感のある健。めっきりマイクの舎弟だ。
昨日の修羅場でマイクの機嫌も著しく悪い。
「おい健、十円持ってねぇ?飛んでみ?」
「も、持ってないよ。あ、でもテレホンカードなら…。これ使っていいよ。ハハ…」
「ありがとよ。ん?これマブいな」
「う、うん。京都の古いお寺なんだ」
マイクに渡した金閣寺のテレホンカード、もう戻ってこないだろう…。
「ぼ、ぼくテレカ好きなんだ」
健のコレクションを見ながらマイク、
「こいつらカワイイな。日本の歌手かい?」
「うん。CDもいくつか持ってるんだよ」
やや得意気。
時期的にCoCoかC.C.ガールズあたりだろうか。
ますます健に勝ち目がないような気がしてくる。
「で、おめー結局何枚くらいテレホンカード持ってんのよ」
「えーと、20枚くらいかな?」
「20枚!すげーたくさん持ってんのな…」
マイクの中で、健オタク認定されてしまいました。
つづく。
このように、少しずつ四人の関係が変化していきます。
さぁ、我らが健に、逆転の秘策はあるのか!?