目玉妬き
裏も表も混ぜちゃうなんてズルいじゃない。ヘッズ・オア・テイル。選びなさい。
「おはよう、よく眠れた?」
「嘘。だからベッドにスマホは持ち込まないでって言ったじゃない」
「まぁ、良いわ。座って。今日は目玉焼きよ」
「ふふ、良かった。ところで一つ聞きたいんだけど、たまごやきと目玉焼き、どっちが美味しいと思う?」
「そうね。違う料理だわ。でも同じ卵なの」
「質問を変えましょう、ダーリン。私が作った目玉焼きとお料理がお上手な同僚ちゃんの卵焼き、どっちが美味しい?」
「あぁ勘違いしないで。この話が『妻から大目玉を食らった』なんてオチになることは絶対にないから。今のあなたには怒られる資格がない。で?どうなの?」
「まぁそう答えるでしょうね。正直言ってあなたへの心象は黒コゲだけど、 あなたは違うと否定する。挙証責任は私にあるけど、証拠は無い。平行線ね」
「じゃあコインで決めましょう。互いに有力な主張ができず、妥協点も見出せない。ならフィフティ・フィフティに委ねるのが最も冴えたやり方よ」
「あなたが勝ったら私が聞いた話は深く考えない。でももし私が勝ったら」
「容疑が固まるまで、どんな手を使ってでも調べるわ」
「私、器量には自信があるの。何にかけられても、何をかけられてもごちそうさまって言わせてみせる」
「どんなあなたでも愛してあげる」
「でもね、それは私があなたのメイン・ディッシュであることが大前提よ」
「それに私、甘くはなれないから」
「ヘッズ・オア・テイル?」
「そう。じゃあ私は裏」
「おめでとう。あなたにとって幸か不幸か分からないけど、コインは表よ。聞いた話はたまたま、黄身が割れちゃった、という事にしてあげる。でもね、火遊びはほどほどにして」
焼けちゃうわ。