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第五回偽物川主催者ピックアップその1


ハーイ!チャーン!バブー!はいどーも毎度ご好評をいただいております(自分で言う)偽物川小説大賞、主催の偽教授です。偽物川小説大賞というのはアマチュアの小説賞の企画です。詳しくはこちらをどうぞ。いちばん重要なことだけここにも引き写しますが、今回のテーマは「ニセモノ」です。具体的にニセモノについてなにをどうしろという指定はなく、漠然と「ニセモノ」に関する小説を書けばなんでもありです。

で、ピックアップというのは、今回(第五回)のここまで(3月19日現在)の参加作品の中から、何らかの理由で選ばれた作品を主催者みずからご紹介してしまう企画です。ガッテンしていただけましたでしょうか。ちなみに、必ずしも「優れた作品を優れた順に」選んで紹介するわけではありませんので念のため。では早速、今回の一作品目から。

偽物彼女系怪異ユウリさん ぎざぎざ様

人間のドッペルゲンガー、という種類の怪異。だからニセモノ。そういう解釈の作品です。ドッペルゲンガーとは何かといえば、「ホンモノと遭遇し、死に追いやる」という性質を持った怪異ですが、この話ではホンモノは最初から死んでおり、ニセモノであるユウリさんは宙に浮いたような存在です。で、結局「私は何なのか」という問いかけが物語の根底をなしてくる。ホンモノが存在しないとき、「ニセモノであるはずのドッペルゲンガー」はどうあればよいのか。あるいは、どう滅びればよいのか。そういう主題の、切なくも儚い物語です。

ぼくの化けの皮 尾八原ジュージ様

人間を食って擬態するタイプの怪物に家族を食われた少年の話。ニセモノなのは家族の方で、語り手である少年はホンモノであるわけですが、家族の中で「ホンモノ」なのは彼だけなので、逆に「自分こそニセモノの家族なのではないか?」という逆説的な苦悩が少年を襲います。そして、彼が最後に選んだ選択は……。これ以上はネタバレしませんのであとは読んでみてください。

銀の父 紫陽_凛様

かぞくがふえるよ!やったねたえちゃん!泉に憎い父親を突き落としたら、金の憎い父親と銀の憎い父親になって返されてきた、というところから始まる、呪われた家族の物語です。銀の父はとても善良な人物で、一面としては主人公も彼のことを気に入るのだけど、やはりなんというか殺しきれない違和感のようなものが残って……物語はうすら寒い「いやな予感」のようなものが消えないまま進み、そして破局を迎えます。ハッピーエンドは待ってません。しかし、であるが故に文学でした。


さて。ここまででお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、今回は「あえて同じような構造を持っている作品を三作品」選んでピックアップしました。なにがどう同じような構造であるかは読み手の解釈に委ねることにいたしますが、事前に既出作品を読んでから参加するタイプの方は、この三つの持っている共通構造のようなものはいったん踏まえてみられることをおススメいたします。別に「共通構造になっているからダメ」というわけでも「共通構造になっている方がいい」というものでもなく、まあ例えば「死」がテーマなら「誰かが死ぬ話」、「愛」がテーマなら「人と人が出会う話」みたいな、そういうアーキタイプが見い出せるという次元の話だと思うので。

で、今回のピックアップはその1ですので、最低でも「2」はやります。「3」はどうだか分かりません。でも多分そんなこと言っといて突然やるから油断はするな。それじゃ。



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