相手も自分も人だから~映画「ほどけそうな、息」「一瞬の楽園」~

 ポレポレ東中野の最終日(アンコール上映あります!)に、やっと観てきました。上演期間中、ほぼ、満席だったそうです。

 児童相談所児童福祉司が主役の映画です。
児童相談所って、一般的にはどんなイメージなのでしょう?
虐待を扱うところ?
子供と親を引き離すイメージ?
場合によっては非行少年を扱うところ?
刑務所みたいなイメージかしら?
私も実際に児童福祉司の方たちと仕事するまでは、
「困ってる子供を魔法のように助けてくれる人」のイメージしかなくて、
助けられたこともはもれなく正しくピカピカに幸せになるんだろうとぼんやりと思っていました。子供の幸せのイメージが貧困だった。
実際には子ども親も人なので、迷ったり悩んだり決められなかったりするし、状況もコロコロ変わる。(それは自分もまたしかりで)想定しなかった感じになったりもする。と、まあ前置きは置いといて。


「ほどけそうな、息」で2年目の児童福祉司を演じる小野花梨さんが、
もうめっちゃ可愛いんです。ちゃんと今時の若者なんですよ。可愛いお部屋に住んで、彼氏もいて。私服は可愛い系なのに仕事になるとお団子ヘアでカーディガンになるところが個人的にはツボ。そう、支援するのはスーパーマンではなく、普通の人なのです。そして、支援される側もいろいろあっても「人」。支援される側の母親を演じる月船さららさんの演技がまた素晴らしいんです。最初と最後で別人くらい佇まいが違うの!そして、この二人の関係が変わっていくきっかけが「片付け」なんですが、これがまたいいんですよね。家が清潔に片付いていることって、当たり前のようでいて実は心身の健康に影響の深いことだと思うのです。魔法のような手立てじゃ無くて、地道な関係作りと普通の生活への手助け。児童福祉司日々を、過剰に演出することなく、でも物語としてきちんと観せる、そんな誠実な映画でした。


カップリングはこちら。これも観たことなかったので観たかったのです。

これがまたね、よかったんです。何がいいって主人公、いわゆるイケメンじゃないんですよ。(いや、いい意味で)どこにでもいそうな男の子が、ギャンブル依存を抱えて、ひょんなことから留学生の子たちと仲良くなって、でもそこに居続けることなくもう一度自分を見つめようと決意する、そんな映画です。留学生の子たちがね、本当に可愛いんです。共同生活をしながら日本語を学んでバイトで生活している。ああ、日本はすでに豊かな国ではないかもしれないのに、、、とか思うと、本筋じゃないところで泣けてきたりします。最初は主人公にとっての一瞬の楽園は、ギャンブルなのかな、と思ったのだけど、留学生たちとサッカーして笑い合う、あの時間だったのだろうな。ギャンブル依存症と聞くと、自分達とは全く考え方も生活も違う人たちのような気がしてしまうけど、こちらもどこにでもいる普通の人なのだろうし、立ち直ろうとするきっかけも目の前の日々の中にあるのかもしれないなと感じました。

「ほどけそうな、息」は9月24日からポレポレ東中野でのアンコール上映が決定しています。よかったら劇場でご観覧ください。ちなみに、ネットから事前予約した方が安心かと思います。

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