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農産物の価格は不思議なのだ その1

米の価格高騰いつまで続く?
猛暑で夏野菜高騰!
仕事柄なのか、このようなニュースに敏感に反応してしまう。
そして、何か違和感を感じる。


違和感の理由

農産物の価格が上昇するニュースは、お菓子、ジュース、調味料、日用品などたくさんあるけれど、農産物はちょっと違う。
より深刻な、重要なものとしてニュースになっているように感じる。
この時、農林水産省とかは「・・・が原因で、一時的なもの、しばらくで戻ります」などの説明をする場合が多い。
なぜ、戻る前提で話をしているか? 疑問がわく。
お菓子、ジュースは、「値段が元に戻る」なんてことは誰も言わないし、報道側もそこにメスは入れない。
違和感を感じる理由だ。

ここに農産物価格の問題点がみえてくる。
そう、農家に価格の決定権がないのだ。

農産物はどうやって消費者に届けられるのだろう

農産物の流通を簡単に(野菜や果物の場合)
農家 → JA → 市場 → 仲卸 → 量販店 → 消費者
となる。※量販店=スーパーなど
途中を抜かしたり、加工業者が入ったりと、実際はもっと複雑だけれど。

本来は需要と供給で決まるはず。
市場のセリはその機能を有しているが、近年は量販店が強く、例えば数日前にはチラシを作成し値段を決めていしまっている。セリではなく相対取引が増えている。
※相対取引・・・事前の値決めによって行われる取引

価格は誰が決めるのか?

さらに、多くの農産物は日持ちがしない。数日間で売り切らないといけないのだ。※お米、ジャガイモなどを除く。
量販店が値上げすると一時的には販売量が停滞してしまう。
売れ残りを大量に出しては儲けが出ない。
お菓子や加工食品なら、売れないと困るから内容量を減らす努力もしているが、農産物はこれも難しい。
一部カット野菜など小分けして販売している例はありますが。

そう、実質的に量販店が価格を決定しているのだ。
町の八百屋が減少して、量販店は大型化する。
八百屋だけではない。自転車屋だって本屋だってそうだ。
大型化すると価格決定権も大きくなる。
供給量の増減や他店との価格競争など、量販店も苦労があるとは思うけど。

対策はないのか?

長期的には値上げしかない。
需要と供給による価格形成が卸売市場でなされているのだから仕方がない、ともいわれるが、それはちょっと違う。
消費者の需要と農家の供給の間には多くの流通段階があるため、相対取引や客寄せパンダのように、純粋に消費者と農家の需給バランスではなくなっている。
今年はお米の値段が久しぶりに大幅アップしたけれど、それでも20年前よりも安い。
肥料やガソリンなどの燃料費が高騰している状況で、よく農家は頑張ってきたものだと思う。
農家の反省としては、様々な業界は、コスト計算をしている(あたりまえだけど)けど、農家、特に家族だけで経営している農家は、ドライなコスト計算ができていない。
コスト計算ができていないから価格交渉もできない。

行政の価格補填制度や収入保険制度によって一時的に経営が傾いていないように思えるが、補填制度などはいつまでも続かないし、材料費、燃料費の高騰にまでは対応できない。
長期的に販売単価を上げるしかない。

じゃあ、農家が直接消費者に売ればいいのでは?
そう思うよね。
次回はそのことと考えましょう。

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