富岡上ノ町住宅再訪
都道府県をまたぐ移動自粛が解除になって、帰還困難区域から外れた富岡町を通って宮城県に出かけた。
時折雨がポツポツ落ちてくる曇天を走り、富岡町に入った。国道6号を左折、すぐ左折。ゆるっと上って、右折その左側。三階建ての小さな集合住宅。覆いで囲ってあって、工事車両が停まっている。
工事の邪魔にならないよう、そっと脇に停車して、深呼吸をしながら、悩んでいた。すると建物から工員さんらしき人が出てきた。思い切って声をかけてみた。「改装ですか?取り壊しですか?」答えは改装だった。
30年以上前、まだ東電の社宅だったときに、高校の同級生を訪ねてきたのがこの建物、だと思う。記憶がない。
常磐線の駅から歩いたのか、タクシーに乗ったのか、本当にこの建物だったのか。記憶がない。具合が悪くて臥せっていた友人とどんな話をしたのかあまり覚えていない。すごく具合が悪くなったら、この町には医療機関がない、ようなことを聞いたように思う。
住宅の向こうには、窓ガラスがない学校のような、集合住宅のような建物が見える。
また雨が降ってきた。
国道に戻る。駅は思ったより近くにあった。
わたし、何をしてるんだろう。
ひとつ、肩の荷が降りた。そんな気持ちかもしれない。
日記に書いておこうと思った。