線を引いたら見えたもの
noteを書くことで、自分自身の輪郭をえんぴつでなぞり続けて、はっきりとさせていくような感じがしています。
noteを書くようになる前のわたしはなるべくまわりとぶつかってお互いいたいと思わないで済むように輪郭をあやふやにしていました。
それは悪いことばかりではなかったとおもうのですが、長い目で見るとマイナスのことの方が多かったような気がします。
なぞって、なぞって、段々とはっきりとした自分の輪郭がみえてきたとき、苦しい気持ちも確実に生まれましたが、自分にくっついていた気持ちの悪いものたちにはっきりと気が付けてそれをはずす努力ができるようになりました。
それは痛みも確実に伴っていることでした。
今だって、これからだって、どうなっていくのかわたし自身にも他の人にもわかりません。
けれどもそのままごまかし続けていたとしても、いつかは何かの形で私自身の人生にはっきりと表れてくることなのです。
だから私は今それに気づくことができて、自分なりの行動がとれたことに感謝して、努力しようと思いました。
それは沢山の人たちが助けてくれたおかげでもあります。
だから余計にいい加減な気持ちでいてはいけないと思ってしまうのです。
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今まで知らなかったことばかりの中でも教えてくれて助けてくれる人がいる。 その事実はこんなにも強いものなのだと思うことばかりです。
本当にしあわせなことだと思います。
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機会が与えてもらえることがこんなに自分を変えてくれるなんて、考えてもいませんでした。
そして自分の考えをこうして書いて見せるということもnoteを始める前の自分は考えてもいませんでした。
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忘れていたのですが何年か前、わたしは雑誌の投稿欄に応募して、何回か載せてもらったことがありました。
それは別に特別な考えを書いて送ったわけではなくて、日々の生活で感じた何気ないことを一度たまたま載せてもらえて、うれしくなってまた送ったらまたたまたま載せてもらってということが続いただけのことでしたが、とても楽しかったのと掲載紙とクオカードがもらえるのが嬉しくてやめられなかったということでもあります。
引越しをきっかけに生活が変わってしまったので、いつの間にか送らなくなりました。
たぶん今送ってももうのせてもらえることはないと思います。
それでも楽しいおもいででした。
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わたしが憧れているnoteのクリエイターさんが、江國香織さんの本が好きだったと書いておられたので、図書館で江國さんの本を何冊かかりました。
その中の、『やわらかなレタス』というエッセイをノートに書き写して読み返して勉強しました。
その内容はとても素敵なものでした。
考えようによっては何も特別なことが書いてあるわけではないという人もいるのかも知れませんが、文章の書き方でこんなに可愛らしくそれでいて、女らしく大人っぽい味わいのある文章になるということがわかって、それまでのわたしの知らなかった世界を見せてくれたと思いました。
心の中をていねいにけれども自分というものをはっきりと示しながら、人に伝えることができるということをこの本の中の文章はわたしに教えてくれました。
素直で落ち着いたやわらかい表現で書かれていて、読んでいるだけで豊かな気持ちになることができます。
それを味わうために読者の人はこの本を開くのです。
球技の球をぶつけるような勢いに任せたものを投げつける、そういうかきかたではなくて、ふわっとしたものを優しく手渡されるようなそういう感じを受けました。
そういう語り口なのはこの本だけではなくて、村上春樹さんの『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』という本の語り口もとてもやわらかいもののように感じました。
もっと別の村上さんの本の書き方は同じエッセイでも少し違っていたように感じました。
だからその本を読む読者の人に合わせて変えられているのだと思いました。
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『走ることについて語る時に僕の語ること』という、村上春樹さんの本は、編集者の方が10年かけて村上さんと一緒に作られた本なのだそうです。
10年って、長いですよね。
その間ずっと二人でこの本のためにいろんなことを話し合ったり文章を書いたり」してきたのだと思うとものすごい労力をかけて作られているということと同時にその情熱のようなものに驚きました。
そういうことを考えると、時間をかけることのすごさと何気なく過ごしてしまった自分の時間のもったいなさに気づいて、ため息が出てしまいます。
ひとが自分の人生といわないまでも沢山の時間をかけて大切に作り上げるということの本当の意味を、少しだけのぞかせてくれました。
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話しはまた、江國さんのエッセイ集にもどるのですが、そのなかに描かれているご主人の優しさが江國さんの自由な発想や創作や毎日の生活を支えているということを垣間見ることができました。
すてきだなって、思いました。
ありがとうございます。 嬉しいです。 みなさまにもいいことがたくさんたくさんありますように。