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hiloyuki
静かな夜
夜のニュースで電車の遅延を伝えられる度に、私は激しく落ち込んだ。
大きな何かに、一人の人の人生が、潰されてしまったのかも知れない、と、悲しい気持ちになるのだった。
全体のためなら一人を犠牲にしてもいい。
そういう考え方が許されてしまうことに絶望してしまうのだ。
もしそれが自分にとって大切な人だったら?
一人の人の周囲には、その人を大切に思っている何人もの人たちが確実にいるはずで、犠牲になってもいい人なんて、この世に一人もいないから。
そう思っても世の中に対して何の力も持たない自分にできることなど一つもないとわかるから、心が傷つくだけなのだった。
今夜は雨が降りそうだ。
こどもはお風呂に入っている。
柔らかな鼻歌が微かに聞こえて心地いい。
特別なことなんて何もないけど、なんとなくしあわせな錯覚の中にいられることに静かな気持ちで感謝する。
夫の帰りを待ちながら静かな夜を過ごせることにそっと手を合わせたくなる。
私はは多分しあわせだ。
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