ひな菊のつぶやき
ずっと素敵でいてください。
ひな菊がつぶやいた。
その声が誰かの耳に届いたのかは、多分誰にもわからない。
ひな菊は少女だった。
魔法がかけられたことで、彼女は小さな野の花の姿と命を生きていた。
青い空を見上げて、ひな菊は今日もため息をつく。
そのため息は甘くて少し清らかな気高さも秘めていて、もしも近くに蝶々がいたら、蜜蜂がいたら、.,,。
よく晴れた明るい昼間、ひな菊のため息と小さなつぶやきに気づいたものはどこにもおらず、ひな菊はただ一人静かに陽を浴びて咲いているだけなのだった。
誰に向けて自分が呟いたのかさえ、説明できないひな菊だった。
少女のままで野の花になり、気づいたらここで咲いていた。
風がさやさや吹いている。
草の香り、日向の匂い、ひな菊はそれを吸い込んで、吐き出した。
真っ白なひな菊は陽の光を浴びて、静かに野原で咲いていた。
ありがとうございます。 嬉しいです。 みなさまにもいいことがたくさんたくさんありますように。