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ブレインロットを知っていますか? ─ 無限スクロールがもたらす影響

   2024年、オックスフォード年間単語に選ばれた「ブレインロット」という言葉は、私たちのデジタル生活を鋭く映し出しています。ソーシャルメディアや短尺動画プラットフォームの台頭により、私たちは膨大なコンテンツに触れることが日常化しました。

  しかし、その「無限スクロール」の代償はどれほど大きいのでしょうか?ここでは、「ブレインロット」を引き起こす現代的な事例を通して、この現象の本質を探ってみたいと思います。

1. Skibidi Toilet: 笑えるけれど何が残る?

  「Skibidi Toilet」という短尺動画シリーズは、TikTokやYouTubeで爆発的に人気を集めた現代のバイラルコンテンツの一例です。

  シュールで奇抜な映像とキャッチーな音楽は、視聴者の笑いを誘う一方で、消費後に何も残らない感覚を抱かせます。このようなコンテンツは、創造性の欠如を助長し、深い思考を妨げるという批判を受けています。数秒間の楽しさを追い求める行為が積み重なることで、注意力や記憶力の低下に繋がると指摘する専門家も少なくありません。

2. 「オハイオだけで」ミームの文化

  インターネット上では、「オハイオだけで」というミームが流行し、何でも奇妙で異常なものを「オハイオ州限定」とするジョークが盛んに共有されています。

  このミーム文化は、単純でわかりやすいユーモアが受け入れられやすいことを象徴していますが、その一方で、批判的思考や洞察を必要としない情報が溢れる原因にもなっています。

  こうしたミームの大量消費は、コンテンツを深く考えるよりも表面的な楽しさを優先させ、知的活動を減退させる要因となり得ます。

3. 無限スクロールの罠

  TikTokやInstagramの「無限スクロール」機能は、ユーザーが際限なくコンテンツを視聴し続ける仕組みを意図的に作り出しています。

  これにより、気がつけば数時間が経過し、自分が何を見ていたのかすら思い出せないという状況が珍しくありません。このアルゴリズム主導の設計は、脳を飽和状態にさせると同時に、新しい情報を整理し吸収する能力を低下させると言われています。

4. 影響と懸念

   これらの事例が示すように、私たちは「簡単に消費できるもの」を優先するあまり、「本当に価値のあるもの」を見逃している可能性があります。注意力散漫や集中力の低下だけでなく、精神的な疲労感や自己嫌悪にも繋がるという研究結果もあります。こうしたデジタル依存の状態が、「ブレインロット」という自虐的な言葉を若者たちの間で流行させた要因の一つです。

5. 解決策を模索する

   この問題にどう向き合うべきなのでしょうか?一つのアプローチとして、視聴時間を制限することや、意識的に「価値のあるコンテンツ」を選ぶ習慣を身につけることが挙げられます。また、コンテンツを受動的に消費するのではなく、自ら創造する側に回ることで、「脳を使う」時間を増やすことも有効です。例えば、デジタルデトックスを試みることで、無限スクロールから一時的に離れるのも良いかもしれません。

終わりに

  「ブレインロット」とは、単なる流行語ではなく、現代社会が抱える深刻な課題を象徴する言葉です。私たちはテクノロジーの恩恵を受けつつも、その影響を正しく理解し、コントロールする責任があります。目の前の画面にとらわれるだけでなく、その先にある豊かな思考や創造の世界を取り戻すために、私たちはいま行動を起こすべきではないでしょうか。

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TANOTIN
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