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麻雀、それでも絶対に早く打たなければならない時がある【フリー雀荘】

こんばんは。
場末フリー雀荘出身の田ノ倉です。

少し前に打牌速度について話題になり、
色々な意見が出ていたようですが、
老若男女初心者ベテランどんな人でも、
自らその環境に身をおいたなら、
絶対に早く打たなきゃいけない時ってのがあるって話です。

理屈など関係ありません。
場末雀荘というなかなかアレな環境の中でも、
人と人との関わりの中で、
守らなければいけないラインがあるのです。



場末フリー雀荘において、
もうこれ以上客が来ない時間帯に入ると、
ラス半コールなんてあってないようなもん、という感じになります。

そもそもメンバーが引き止めるし、
客同士で無理やり引き止め合う場合も多々あります。
だいたい場末にいったら、
本当に帰りたい1回前くらいでラス半コールをかけておかないと、
狙い通りの時間には帰れません。




最近は色々厳しいようで、
場末雀荘でも24時間ずっとあいているわけではなく、
営業時間がちゃんと決まっているところが多くなった印象があります。


僕がよく行く場末雀荘もちゃんと閉店時間が決まっているタイプです。

先週のとある平日、
その雀荘で、半荘終了時の時間が23時35分でした。
閉店時間が24時。

普通ならもう次の半荘には入らず終了ですが、
場末なので
メンバー「メンバーいま全入りなので、皆さん全員続行でサクサク打っていただけましたらあと1ゲームいけますよ!」
となるわけです。


ただ、場末でもなぜか電車で来ている人は一定数いて、
卓内のSさんがその一人でした。
「ごめん、あと20分でここ出ないと終電間に合わんわ!」
と言って帰ろうとする。

すると、
ハイパーヨーヨーで一世を風靡した中村名人に似ている常連のオッサンが、
中村名人「大丈夫大丈夫!このメンツだよ!?20分あれば終わるって!!」
Sさん「え~、もし時間になっても終わらなかったら、終局代走になっちゃうよ?」
中村名人「OKOK!終わらせるから!」
といって無理矢理続行。


まあ確かに、いまのこのメンツで全員全速力で打てば、
20分ならなんとかなる。
ネックは中村名人だけでしたが、
そのネックの人が早く打つ気満々なら、まあ大丈夫でしょう。
彼は本来その気になれば20分あれば1半荘回すくらいはできます。
その気になるタイミングが少ないだけで。
今回はさすがにその気になってくれるでしょう。言い出しっぺなんだから。


おそらく中村名人以外の3人は一瞬でそう考え、
制限時間20分のラストゲームを開始することにしました。


確かにそのとき、
「同卓者は全員Sさんの事情を知っているのだから、3秒以内に打牌すること」
みたいな取り決めはしてませんよ、当然。
でも、大人の社交場ですよ、雀荘ってのは。
そんな野暮な取り決め、いちいち必要ですかね?
空気読もうよ、っていう。


Sさんの終電のことを考えみんな全速力で打つ中、
なぜかこともあろうに染め手に走る中村名人。
いつもは適当にどんどん鳴いていくのに、
なぜかこの時は全然鳴かない。

案の定、面前でテンパイしてしまったらしく、
う~んと唸りながら待ちを考えています。

さすがに
「終電!終電!」
と催促のヤジが飛びますが、
「いや、マジで複雑なんだよこれ・・・」
と全然悪びれない中村名人。


結局中村名人はアガれず、
別の人が軽く和了をきめたのですが、
その後も手牌を倒し
「これ、24578m待ちで合ってるよね?」
と聞いてくる始末。

「知るか!」
と速攻で流されてましたが、
これマジで終電間に合わなくなったらどうするつもりなんでしょうか。

たまに、終電にかかるゲームでわざと遅く打って、
「もう終電出ちゃったね~ww」
といって終電組を朝まで引っ張るというワザを使う人もいますが、
残念ながらSさんは“絶対終電で帰るマン”なのでこれは意味がないのです。
中村名人はそれを知っているはずなので、
この遅延はそういう意図ではないのです。
というか、この店自体がもうすぐ閉まるのだから、
こんなの意図してやってたらただの嫌がらせです。

おそらく、めちゃくちゃいい手になっちゃったので、
すべてのあらゆる事情が全部吹っ飛んで、
自分の手だけに夢中になってしまったのでしょう。


実際、メンチンドラ3赤のすごい手だったのですが、
こういう状況では「とにかく早く打つ」ことがすべてに優先されます。

およそ20分で1半荘回す、
ということを全員が了承したうえでこの半荘に臨んでいるはずなので、
遅延行為すべてが悪、
何なら親の1段目謎のダマテン500オールツモすら悪です。
リーチしてツモって自分のコールドを近づけるか、
誰かのトビ終了を近づけるのが最大効率です。

メンチンで悩むなんて最悪の行為で、
そもそも待ちがわからないレベルならメンチンなんか作るな、
とっとと鳴いとけ、
わからないなら悩まないでなんか適当に切れ、
確実に和了だとわかる簡単な牌だけツモ専でアガればいい。

しかも急いで打つからもう1半荘やろうと言った言い出しっぺならなおさらです。

さらにこの状況って、
「メンバー全入り」
って言われてるわけです。

なので、もしタイムリミットが来てしまったら、
Sさんは絶対帰る、
となると終局代走(客がどうしようもない事情で突然抜けて帰らなければいけない時、最後までメンバーが代走すること)となるのですが、
代走してくれるメンバーがすべて本走に入っているので、
他の卓が終わるまで僕達は待たなければいけません。


とにかく、
「なんとしても絶対に早く打たなければいけない」
理由が揃いすぎている。

この状況では、
仮に高め九蓮宝燈多面張の手をテンパイしたとしても、
ノータイムで打牌しなきゃだめです。
バタバタと待ち候補っぽい牌が切られると思いますが、
それでも止まって悩むなんて絶対だめです。
明らかにわかる高め九蓮宝燈の牌だけツモ専で待つ、
そういうことが求められるレベルです。


その後もなぜか中村名人は手が入り続け、
手材料が潤沢すぎてかなり悩むような牌姿が多かったのでしょう。
この状況でも容赦なく少考・長考を繰り返し、
結局タイムリミット到達、
Sさんは帰宅し、終局代走となってしまいました。


代走してくれるメンバーがいないので、
本走でメンバーが入っている卓がどこか終了するまで、
待機時間になります。

残ったのは常連3名ということで、
普段なら談笑して待つのですが、
中村名人の愚行に、
もう一人の同卓者強面くんはブチ切れていて、
僕は僕で上司から「請求書の額間違ってるよ」と怒りの深夜LINEが入っていることに気づき顔面蒼白状態。
地獄のような空気で10分ほど待機となりました。


やっと終局代走のメンバーが来ると
「え!!まだ南1局!???なにこれ全然話違うじゃん!」
とちょいキレ。

強面くんが
「どっかの誰かがわざとらしくトロトロ打つからよ、全然進まねーんだよ」
とブチ切れ。

中村名人も
「あんな手入ったらしょうがねーだろ!じゃあお前あの手でノータイムで打てんのかよ!!」
といよいよ応酬。

個人的には、もうどうでもいいから早く終わらせて請求書を直したい。

しかしそこでメンバーが、
「普通お客さんにそんなことは言わないですけど、これは中村名人が悪いよ。あれだけ引き止めて、こっちもサクサク打つならって条件でもう1ゲーム許可したんだから。メンチンでわかんないなら鳴いちゃうとかいくらでもやりようがあるでしょ?時間気にせずゆっくりやりたいんだったら、そもそももう1ゲームなんてやらなきゃよかったんだよ」
と一喝。


本当にそのとおりですよ。
今回は絶対にスピードが最優先事項だった。
各個人の手牌とか展開とか、
そんなもんは関係ない。



中村名人が
「はいはいわかりましたよ!」
とふてくされ気味の中、
代走のメンバーが入り対局再開。

この時点で店の営業時間は結構過ぎちゃっています。

それでもなお手が入る中村名人。
でもさすがに今回はほぼノータイムで打牌しています。


5巡目くらいで脂っこいところを切り出しはじめ、
8巡目くらいでリーチ。

一発で赤5mをツモり、

「4000オールの3枚・・・・あ!6000オールの4枚だ!急かされるから間違えちゃったよ(煽り顔)」


強面くんの血管が切れそうになっているところに、
すっかり機嫌のなおった中村名人が



「もうどうせ閉店時間過ぎてるし、みんな終電とか関係ないんだから、こっからはのんびり打ってもいいよね??」




強面くんの血管がブチッと切れるより先に、
メンバーからブチ切れられたのは、言うまでもありません。

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