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麻雀業界からアバンストラッシュは消えるか?~先切り十段に代えて~【麻雀・Mリーグ】
こんばんは。
場末フリー雀荘出身の田ノ倉です。
いきなりアバンストラッシュってなんやねん?
という話です。
ひょっとしたら、
若い人や女性の方は知らない人が多いかもしれません。
逆に年配の方もなんのこっちゃ?となっているかもしれません。
その昔、オジサマたちが小学生のころ、
「ダイの大冒険」
という漫画があり、
その主人公の必殺技が
「アバンストラッシュ」
という技なのです。
アバンストラッシュは剣を使って敵を倒す技なんですが、
小学生男子たちは傘を剣に見立て、
朝雨降っていて帰りは止んでいる日なんかは、
登下校中に
「アバンストラッシュ!!」
と言いながら傘を使って友達と攻撃し合っていました。
なんか特殊なビームを出したり飛んだりハネたりする技ではないので、
とにかく真似しやすかったというのが小学生男子たちに大ウケした理由です。
白熱して喧嘩になったり、
ムキになっていたわけではなくても、
傘を振り回すわけで、
けが人が出たりしたので、
「アバンストラッシュ禁止令」
が出た学校もあるとかないとか。
ぼくはぎりぎりアバンストラッシュ世代とそうでない世代との境目くらいの世代です。
ぼくのグループではアバンストラッシュより二重の極みとか鬼斬りとかのほうが流行っていましたが、
違う学校ではアバンストラッシュが流行っているところもあったようです。
さて、そんなアバンストラッシュ世代が、
フリー雀荘でメイン世代になりつつあります。
独断と偏見ではありますが、
アバンストラッシュ世代は必殺技が好きです。
アバンストラッシュ世代の少年心をくすぐることができれば、
フリー雀荘でも一気に覇権をとることができます。
フリー雀荘で覇権を取ることに何の意味があるのかは置いておいて。
ところで以前、こんなnoteを書きました。
なんだか“ここ面白いよ!”みたいなポイントをわざわざ太字にしたりして、
よくがんばっていますね。
当時はほんとうに「先切り十段」が場末フリー雀荘では流行ると思っていたのですが、
どうにも前シーズン、醍醐プロの結果が伴わなかったということもあり、
はっきり言って全然流行りませんでした。
アバンストラッシュは強い技で敵をちゃんと倒すから少年たちが真似たわけであって、
弱い技なら真似されることはなかったわけです。
今季の醍醐プロは前評判どおりに鬼神の如き好成績を残しているのですが、
先切りがもはやあんまり強いイメージがなくなってしまったのと、
そもそも醍醐プロがあまり先切りしないことで結果を出しているので、
もはや「先切り十段」のアバンストラッシュ化は望み薄となっています。
それでは、何がアバンストラッシュ的立ち位置に君臨できるか?
というと、打牌内容に影響するものでいうと、
おそらくそんなものは今後出てくる可能性は低くなっていくのでは?
というのが今回の話です。
というのも、
「M斬る」ずんだもんの話題やら、
打牌批判の話題やら色々ありますが、
打牌内容の是非を問うというか、
重要視する風潮が思ったより強く、
その浸透度が早い印象です。
トップ取りで赤3枚入りのMリーグというフィールドに合ったしっかりとした打牌内容が求められ、
打ち手のキャラクター重視よりも、
最高峰のプロを名乗るのにふさわしい、
ハイレベルな闘牌・・・・というか、
「最低限のところはクリアしてよ」
というところが期待される流れが明らかに強まっています。
おそらくこれは、
Mリーグを見るまでは麻雀知らなかった、
あるいはルールはわかるがほとんど打ったことがなかった、
みたいな層が実際に打ったり、
勉強したりし始めて。
それらの層が
「え、この一打って普通に損じゃないの?」
みたいなことを理解できるようになったことで、
中間層が一気に増えたことによるものではないでしょうか。
最初の頃は
「面前派でここぞというときに高打点決める黒沢プロかっこいい♡」
となっていた人が、
「いやさすがに黒沢さん、これ鳴かなきゃ麻雀にならないのでは・・・・?」
と変わっていったというようなイメージ。
いわゆるボトムアップ(直訳的な意味)がすすんでいると。
こうなってくると、
例えば8枚もあるドラのうち、
使えない1枚をいつまでも「ドラは恋人」といってずっと持っているわけにもいかないし、
「手役派だから」
という理由で受け入れを狭めて三色ばっかり狙っているわけにもいきません。
「先切り十段」とかいって233から3を切り、
あとでまた3を引いてくるなんてことをしていたら、
容赦なくずんだもんに斬られます。
すると、
基本的にはこれまで打ち手のキャラ付けのような意味合いもあったわかりやすい極端な選択というのは淘汰されていき、
大差ない選択部分の嗜好性で打ち手の個性を出していくという流れになっていくのでしょうか。
リーチに対して押し優位かオリ優位か微妙なときに、
押し気味なのか引き気味なのかとか。
鳴いてもスルーでもどっちもあるときに、
鳴き傾向かスルー傾向かとか。
あとは、駆け引きの部分でしょうか。
11月5日、ニ戦目のメンツ
・佐々木寿人プロ
・勝又健志プロ
・猿川真寿プロ
・茅森早香プロ
をみて、解説の朝倉康心プロが語っていたように、
「細かい牌効率の話とかよりも、間合いとか駆け引きが重要になる」
というのがあります。
ただこれも、牌効率がテキトーでいいとかいう話ではなく、
そのへんはクリアしたうえで、
駆け引きを打牌選択の要素に取り入れる度合いを高くする、
という意味だと思います。
そこに、
新規加入や若手インフルエンサー的枠の選手の成長譚だったり、
逆にベテラン勢がMリーグのフィールドに苦悩しながら適応していく様だったり、
黒沢プロのような独自枠の選手がどう立ち回るか、
といった諸々を織り交ぜて各選手の個性を描いていくことになるのでしょう。
大事なのは、Mリーガーの打牌が全体的に平面的に正しいとされる、
期待値が高い方向寄りの選択に傾倒していくことによって、
明らかに損になる可能性のあるような極端な選択が減っていく、
そしてそういう極端な選択は単なる悪手であり、決して個性ではない、
という流れになってくるのではないかということです。
選ばれしプロのみが出場できる最高峰のプロリーグという建付けなので、
それは当然なのですが、
こういう状況になると、
麻雀の内容にたいしてライト勢になればなるほど、
打牌上の選手の個性がわかりにくくなります。
雀力が高い人ならば、
「やっぱここで太は押すよね~」
とか
「これ、先に5p逃がすのが滝沢なんだよな~」
とかわかるんですが、
僕くらいのレベルだとそもそも微妙な選択と大差ある選択の差すらわからなかったりします。
なので、太プロだから押しているのか、
だいたいみんな押すのか、
みたいなことがわからない場合が出てきます。
極端な選択についてであれば、
雀力が低い人でも
「これはまあ普通はこんな打ち方しないだろうけど、このプロだからこんな選択をしたんだな」
というのが簡単にわかるわけです。
Mリーガー全体の平均雀力があがり、
ずんだもんに秒で斬られるような打牌が減ってくる未来を想定すると、
おそらく「先切り十段」は麻雀業界最後のアバンストラッシュ候補だった
ということになるかもしれません。
ずんだもんに斬られる打牌が減ってくる
ではなくて、「秒殺されるような打牌」、
これが減ってくる。
これは十分想定される未来だと思います。
ある程度尺を取ってもらってじっくり斬られるレベルの打牌はアバンストラッシュ問題の観点からはそんなに問題ではありません。
これはそうそう無くなることはないでしょう。
そう考えると今はなつかしい
「カンチャン即リー打法」
は秀逸でしたね。
実践するのがまず簡単で、
現象そのものとはいえなんだか語呂の良い技名っぽい名前がついている。
そして当時の環境で考えると、
真似をするだけでしっかり結果が期待できる。
まさに麻雀業界におけるパラダイムシフトを起こしたというか、
それこそエポックメイキングな打法だったと思います。
完全にアバンストラッシュ世代の心を掴むのに十分な要素を兼ね備えていました。
ちなみに、
「打牌面で真似できるネタがなくなったら、所作とかをネタにする方向に走るんじゃ?」
と思った方もいるかと思いますが、
それはもうまったく少年の心をわかっていないと言わざるを得ません。
それって多分、勝負手が入ったり、
煮詰まった状況で堀慎吾プロばりに苦い表情をしてみたり、
渾身のツモ和了り時に、萩原聖人プロのようにツモ牌を卓の真ん中にスライドさせてみたり、
ってことだと思うんですが。
それはもはやコスプレです。
少年心をくすぐらない。
所作のうちであるとすれば、
佐々木寿人プロの光速点数申告とかですかね。
裏ドラを見るか見ないかのうちに音速で点数申告するアレ。
あれは少年心をくすぐる何かがあります。
Mリーガー全体が技術面で成熟していけばいくほど、
麻雀業界で新たなアバンストラッシュ的なものが生まれる可能性は減っていくのは残念ながら避けられないのかもしれません。
ただそれは同時に、
視聴者側も雀力をつけて、理解できるようになれば、
より高水準の闘牌を堪能できるようになるということにもなります。
そのときはいまよりエンタメ寄り→競技寄りに傾倒していくことになり、
また少し違ったフェーズのMリーグを楽しめるようになるでしょう。