忍田プロ実況で飛び出した“(遠い目”“泡沫テンパイ”とはなにか?【Mリーグ】
こんばんは。
場末フリー雀荘出身の田ノ倉です。
先日、10月4日のMリーグにて。
久しぶりに忍田プロが解説を担当されました。
忍田プロといえば、いわゆるオネエ口調と言われる語り口で小気味よく繰り出されるジョークと、真面目な解説のバランスが秀逸で、
さらに落ち着いた声質ということもあり非常に支持されている解説者の一人です。
ワードチョイスも独特で、
今年のMトーナメントでは
「スリップストリーム」
という単語を麻雀の解説に織り交ぜてきました。
ちなみにこの日の対局については、
22時ごろに上司が帰ってから、
職場で放送を流しながら仕事をしていました。
そのとき、20代後半くらいの後輩も一緒に残業をして放送を見ていたのですが、
1戦目南2局のとあるシーンの忍田解説を聞いて、
「“通り目”ってなんすか?入り目みたいなもんすか?」
と聞いてきました。
何言ってるかわかんなかったので、
巻き戻して聞いてみると、
「・・・遠い目」
と言ってるようでした。
麻雀の解説で「◯◯目」という言葉が出てきたので、
「入り目」
とかそのへんの類似用語と誤認したようですが、
そもそも「遠い目だよ」と説明しても、
「・・・遠い目ってなんすか?」
と理解してもらえませんでした。
もともと、「遠い目」というのは、
過去に思いを馳せるような様子を表現するレトリック(でいいのかな?)の一種です。
あくまでも登場人物の行動に伴う心理描写を行うことを目的として使われるのが主であるため、
特別な目的のある表現を除いて、基本的には体言止め?的に文末で使われることはあまりありませんでした。
ただ、10年くらい前ですかね?
ネットスラングってほどでもないですが、
ネット上の様々なシーンで
「~~(遠い目)」
などと、文末において過去を懐かしむような意味を持たせる表現として使われるようになりました。(顔文字を伴うパターンもあり)
昔からある使い方はこう。
「彼は、“ふっかつのじゅもん”のドラクエを兄と一緒にプレイしていた頃の思い出を、遠い目をしてぽつぽつと語りはじめた」
で、ネット上で広まった使い方はこう。
「“ふっかつのじゅもん”書いたメモなくして、よく兄貴にそこまでやり直してもらったなあ・・・(遠い目)」
実際に使用された場面は、
「この1-4s捕らえられることあったのかな~、難しいなあ~、でもくっつきにしますよね~・・・・・・って 遠い目。」
こんな感じです。
2s残して6mヘッドの1-4s待ちっていう選択肢もあったかな?
そうすればアガれてたけど、どうなんだろう・・・・
と、過去に思いを馳せている。
ただそれだけです。
麻雀用語でこういうアガり逃しの牌を「トオイメ」とかいうわけではありません。
強いて言うなら単なる「裏目」です。
「・・・・遠い目。」
ってどうなんですかね?
意外と対象年齢限られてくるんでしょうか。
少なくとも15年~10年前くらいの時点でネット掲示板やSNS界隈を見ていた人ならわかると思うんですが、
そうすると20代後半~50代くらいがカバーできている年齢層ってことになるんですかね?
試しに身の回りの色々な年齢層の人に聞いてみましたが、
全然知らなくてちょっとびっくりしました。
次に第二戦のこちらも南2局。
佐々木寿人プロのリーチが入った終盤、
仮テンの3m単騎でテンパイしていたヤミテニストの小林プロが、
無スジの9sを引いてきた場面です。
それまではタンヤオで役ありだったため、
仮テンとはいえ出和了可能だったのですが、
この9sを3sと入れ替えたため、
出和了はできないテンパイとなりました。
その時の解説が
「これ、泡沫のテンパイといって、今度は3s切って安全度。役は無くなっちゃいました、このまま逃げ切れたら(テンパイとったまま)ラッキーですけど、ってやつですね。あとニ巡の世界。」
という感じでした。
これに対しても後輩が
「ホーマツ?ってなんすか?終末?的なことすか?あ、それとも流局しそうなときにテンパイ料だけ狙いの役無しテンパイのことすか?」
と聞いてきました。
単純にこれは後輩の日本語力が問題な気がするのですが、
まあMリーグはじめ、麻雀対局の解説では初心者の人たちは馴染みがない単語でも容赦なく登場するので、
「なにかの用語なのかな?」
と思ってしまうのも無理はありません。
これは単純にその単語の意味どおりで、
「泡沫」という言葉のもつ
「すぐに消えてしまう水面の泡にたとえて、消えやすいもの、儚いもののたとえ」
をそのまま当てはめるだけです。
要するに、佐々木プロからリーチが入っており、
安牌が無いため、もう一個危険牌を持ってきたら自分のテンパイなど無視して少しでも危険度の低い牌を切らなければならず、
さらに出和了もできない。ツモろうにも単騎待ち。
したがって小林プロのテンパイ形は形こそテンパイではあるものの、
あとニ巡のうちに無スジを持ってきたらテンパイ形が崩れてしまいそうな、
短命のテンパイ形である
ということです。
(実際には無事にテンパイ維持できたのですが)
忍田プロ解説は独特のワードチョイスと軽妙な語り口が魅力ですが、
ワードチョイスの幅があるだけに人によってはカバーし切れない言葉が出てくる傾向にあります。
前述の「スリップストリーム」なんて最たるものだと思います。
しかしそれではせっかくの忍田語録を聞き漏らしてしまう可能性があるので、
次回も取りこぼしをしないよう、日々アンテナを張って多様な言葉を吸収して過ごしていきたいと強く思っております。
次回も忍田プロネタです。
忍田プロ解説に欠かせない
「は~い♡」
のもたらす素晴らしい効果について考察します。
よろしくお願い申し上げます。