白鳥プロ「今の自分なら止められた」発言から見る演者的自己客観視能力【麻雀・Mリーグ】
こんばんは。
場末フリー雀荘出身の田ノ倉です。
1月16日のMリーグ、
なんだか試合自体は面白かったし、
物足りない感も全然ないのに、
みんなサクサク打たれていたせいかかなり短い放送時間で終わりました。
毎回このくらいだと個人的には非常に見やすい。
すばらしい。
さて、試合内容はというと、
1戦目は松本プロが不運としか思えないどうにもならない開幕5連続放銃をするなど手痛い失点を重ね箱下まで持っていかれる中、
接戦のオーラスを制した鈴木大介プロがトップに。
2戦目は、大三元以降調子が戻ってきた鈴木大介プロと、
1戦目にトップを逃してバーサク化した内川プロの2名同時連投、
そこに絶賛フィーバー中の白鳥プロ、
さらに小林剛プロが加わった卓組。
東1局に白鳥プロがマンガンの出和了で好発進したものの、
そこからは小場となり、
白鳥プロも最初の満貫のリードでなんとか食いつなぎ、
トップではあるものの頭一つ抜け出すということができないままオーラスに。
オーラスの点差はこんな感じ。
ABEMASにとってはラス親であることが災いした形で、
それなりの手を作ってアガらない限り、
かなり高確率で着順ダウンが見える展開が続いてしまいそうな点差。
現時点では余裕で2着順ダウンが見え、
ラス落ちまで十分可能性のあるヤバさ。
結局、内川プロに1000点の放銃で2着となりましたが、
白鳥プロとしては自身以外のアガリの中ではだいぶマシな決着だったと思います。
この点差で赤3枚入りルールなのに放銃して2着終了はかなり耐えた感。
で、この2戦目で非常に印象的だったのが、
解説の土田浩翔プロが白鳥プロのことをべた褒めだったことです。
なんかもうすげー褒めてました。
確かに圧倒的猛追でABEMASのポイントゲッターと化している白鳥プロですが、
打牌内容も同様に素晴らしいものなのかどうかは、
僕の実力ではわかりません。
ただぼくの身の回りにいるMリーグ視聴者たちは、
同様に最近の白鳥プロを絶賛しています。
この人たちがどれくらいの雀力があって、
そのうえで絶賛しているのか、
単なる結果論で言ってるのかはわかりませんが。
そんな中で、試合終了後のインタビュー。
呼ばれたのはトップの内川プロと、
2着に落ちてしまった白鳥プロ。
白鳥プロは南3局の小林プロへの9p放銃について真っ先にコメントされていました。
南3局の9p放銃というのはこのシーンで、
打点こそ1500点ではありましたが、
白鳥プロはこの9pをけっこう悩んだ末に切っていたのです。
リアルタイムで視聴していた知人に聞くと、
ABEMAのコメント欄でもわりとここは盛り上がっていたようで、
・この9pで手が止まるのがまずすごい
・なんでこれで悩めるんだ
といった称賛の声や、
・いや止まっても結局切るなら意味ねーだろ
といった、そりゃまあそうだわな、
という声まで色々と出ていたようです。
こういうのって普通、
ABEMASファンとかが
「こんな9pで悩める白鳥プロすげー!!」
とかいって称賛して、
外野から
「いや結局切るなら意味ねーだろ」
と水をさされるみたいな感じなんですかね?
ただ、いまのポイント状況だと、
ABEMASファンのほうが
「悩むなら止めてけれ!!」
と嘆き、
とくにABEMASファンというわけでもない人が
「はえ~、あの9p悩むんだ、すごいね~」
と気楽にコメントする
みたいな構図も普通にありそうですよね。
どちらにしてもこういう打9pの逡巡みたいなのについては、
もはや白鳥劇場の一部であって、
あの9pを打つか止めるか自信持って予想できた人ってほとんどいないんじゃないでしょうか。
仲林プロなんかは逡巡したという時点で止める寄りな気がするし、
そもそもなんか正解を選びそうって感じがある。
太プロは多少止まってもすぐ打ちそうな感じがします。この牌が当たる日も当たらない日も。
白鳥プロの場合マジでわからなくて、
切る日もあれば止める日もある、
という印象。
ただ最近の雰囲気からすると、
止める寄りなのかな、と思っていましたが、
そこをさらに裏切って普通に切ってました。
ファンからすると、こういう局面は良く言えばスリリングで、
悪く言えば常に不安が伴います。
で、まあ9p切るや止めるやの話は置いておいて、
白鳥プロはインタビューで、この9pについて
「今の自分なら止められたかな、っていう気もしましたけど」
という発言をされました。
麻雀というゲームの性質上、
この9pが放銃になるかそうでないかはいくら突き詰めても確実な答えは出ません。
であるからして、
基本的には
「あとで考えたらやっぱり9pは明確に止め優勢だったと思います。対局時にそこまで思考が至らなかったのが痛かった。稽古し直します」
みたいな話になると思うんですが、
そこをあえて
「今の自分なら止められたかな」
という発言。
このあたり、
まず麻雀のプロである云々の前に、
演者としての感覚が非常に優れているなと思いました。
具体的には、いまの自分がどう映っているかを客観視する能力、
そしてその分析をもとに、
演者として立ち回りや発言を変えていく能力に秀でている。
いくら白鳥プロがたくさんポイントを積み重ねていて、
現状明らかに勢いのある選手だとはいえ、
その結果に対して世間の評価が
「ただ運だけじゃん」
「毎回バカヅキでトップとってうまぶられても」
みたいなものが多数派であれば、
「今の自分なら止められたかな」
なんていう発言は
「勘違いしてんじゃねーよバカ野郎!」
と総攻撃にあう可能性もあります。
なので今回は、
最近の試合は打牌内容が悪くないと自分の中で自信があり、
さらに世間的な評価も悪くない、むしろかなり良い、
そしてそれがかなり周知されてきている。
そう判断してのこの発言内容なのでしょう。
だってこれ、
「今の自分なら」
っていうのも本来はかなり不親切で、
「いや今のお前ってどんなお前よ、知らんわ」
ってなってもおかしくないわけです。
そして白鳥プロってだいたいこういう細かいところ気を遣っていることが多くて、
「最近、読みもかなり冴えていて結果もついてきてるっていうかなり充実した状態なんで、もっと落ち着いてじっくり考えれば止めるという選択をとることもできたかなと」
みたいな話し方をされる印象です。
なのにそこを端折って
「今の自分なら止められたかな」
という表現を使った理由は、
それこそ今の自分ならこういう言い方のほうが映えるな、
とか、
伝わりやすいな、
という演者的感覚によるものなんじゃないかと。
基本的にはこういう発言って、
「今回は惜しくも2着になっちゃったけどまだまだ俺は充実してるぜ!」
とチームのファンを鼓舞したり、
逆に相手チームには、充実して自信持って打牌選択をし得るいい状態が続いていることをアピールするためのものだとは思うんですが、
白鳥プロに関してだけは、
冥府ちゃんという怪しい部分もあるので、
単に厨二病的なことを言いたくなっただけ、
という可能性も存在するところがミソです。
あの発言の前後少しニヤついているように見えたのがちょっと気がかりです。
アヤシイ。
単に厨二病的発言をしたかっただけにしても、
最も厨二病感の出るタイミングとしてかなり秀逸なタイミングであることも間違いないので、
やはりどちらにしても演者力が優れていると言わざるを得ません。
これ以上ポイントを積み重ねすぎてから同じ発言をすると、
さすがに
「うん・・・まあ、確かにそうかも・・・」
みたいな感じになってしまい、
逆なら
「その個人ポイントでよう言えたな!」
となってしまうわけで。
どちらにしても厨二病感はだいぶ薄れてしまいますので、
いまがかなりちょうどいいタイミングです。
まあ結局のところ本人以外はあの発言の真意はわからないわけですが、
のちに堀プロの検討配信で
「なんだよ鳥~、今のお前ならこの3sは止められたよ~」
とか言われたり、
楽屋配信で白鳥プロの試合を観戦している多井プロあたりから
「白鳥!今のお前なら止められる!打つな!」
などと言われたり、
ネタ的なフレーズとして擦られる可能性を感じる発言でもあります。
ただこれは今シーズン、ABEMASがレギュラーを突破したらの話で、
ちゃんと突破できれば、あの時あんなこと言ってたよな
とネタに昇華されるのですが、
ここでレギュラー敗退となってしまうと、
ちょっと触れづらいものとなってしまう気がします。
なので、抜群のタイミングで繰り出した
「今の自分なら止められた」
を今後擦り続けるためにも、
ABEMAS、なんとかレギュラー突破がんばっていただきたいところです。