日吉プロのいう「かかっている」とは何か?【麻雀最強戦・Mリーグ】
こんばんは。
場末フリー雀荘出身の田ノ倉です。
昔通っていた場末雀荘では、
「かかる」
というワードがめちゃくちゃ多用されていました。
最初は当時の店長が「かかり」やすかったのが発端なのですが、
3連ラスを引かされて4戦目顔真っ赤にしていきなり親リーに無スジ全ツッパしてみせ、
「なに?店長かかってんの?」
と常連から煽られる、案の定インパチに刺さる、さらにかかる、みたいな光景は日常茶飯事でした。
そのうち他のメンバー間や常連たちの間でも流行り始め、
主に相手を煽るワードとして猛威を振るったのです。
なかなかこの煽りはたちが悪く、
両面の跳満テンパイでどう転んでも全ツッパの手でリーチに押していても、
リーチ者から
「なに?さっき満貫打ってかかってんの?」
と煽られると、
「こいつには絶対打ちたくねえ」
とヒートアップして普通なら通す牌も止めてしまったり、
「絶対こいつから出和了してやる」
と頭に血が上って残り2巡なのに超危険牌のドラを押して放銃してしまったり。
相手の押し引きを乱す効果的な煽りだったため流行ったのですが、
常連たちがメンバーを煽りすぎて、ブチ切れるメンバーが続出したのと、
当時の店長が完全にキレて煽りまくった常連を1名出禁にするという事件が発生したため、
常連たちは「かかってる?」煽りを封印することとなりました。
その後は、展開が悪く不機嫌になり打牌が強くなったりしている常連たちに対して、
「ちょっとかかり気味じゃないすか?」
とメンバーから主に警告を入れる用語として定着しました。
要するに、これ以上態度悪く打つなら帰れや
という警告か、もしくは
押し引きがめちゃくちゃになってるから一旦頭冷やしに抜けるか帰ったほうがいい、このままだと大負けするぞ、
という警告ということです。
そんな「かかる」というワードですが、
有名どころでいうと実況中に日吉プロがたまに使用します。
昨日の麻雀最強戦2024 読みの真髄 では、
決勝卓の松本プロに対し、副露時の取牌、打牌の動作に力が入っていることを指摘しつつ、
「松本ちょっとかかってません?」
と発言されていました。
そもそも、この「かかる」というのは何なのか?
という話なのですが、
これは麻雀だけでなく他の勝負事でもちらほら出てくるワードでして、
一般的には
1:「肩に力が入って前ががりになってしまっている状態」
みたいなことを指すと思われます。
これについてはゲームの展開とは無関係の、
その勝負自体がプレイヤーにとってどういう位置づけなのか、
といった外的要因も発生原因として含まれます。
10年チャレンジして優勝までまったく手が届かなかった大会で、
ついに決勝まで来ることができた。
このチャンスをなんとか掴みたい!
みたいな状況だと、その想い入れの強さゆえ、
ゲームが展開する前から「かかっている」状態になることがあるというわけです。
ただ、先述の雀荘での使用用途のような事例もあり、
こと麻雀というゲームにおいては、
2:「頭に血が上って正常な判断ができなくなること」
という意味も含まれます。
単純に押し引きが乱れるなどという要素だけでなく、
それを行うことによるメリットは全く無くデメリットだけがある
「強打」
などを平気で行ってしまうといった所作を含めた点でも、
正常な判断力を失って独りよがりのプレイングを重ねてしまう状況となります。
こちらに関しては主にゲームの展開が原因で発生するケースがほとんどで、
ポーカーをプレイする人ならポーカーにおける
「ティルト」
状態とほぼ同義です。
むしろ一般人の麻雀プレイヤーからすると、第2の意味合いで使用される場に出くわすほうが多いかもしれません。
ただぼくの記憶が正しければ、
基本的に日吉プロが実況で使用する際の
「かかっている」
はすべて第1の意味合いで使用されています。
Mリーグでチーム状況が悪く、なんとかトップを掴みたいという状況で前掛かりになってしまっているか?
という指摘や、
今回のように想い入れのある対局でどうしても優勝したいと肩に力が入っているんじゃないか?
という指摘を入れることで、
その対局にかける選手たちの思いの強さを視聴者に伝え、
対局がより盛り上がるものになる目的で使用されていると思われます。
実は昨日の最強戦で日吉プロが「かかっている」発言をしたあと、
前述の雀荘での知人から
「日吉さん、松本プロ煽ってんじゃん笑」
とLINEが来たのですが、
この日吉プロの発言はそういうことではなさそうです。
東2局の時点で、その半荘に選手がどんな強い想い入れをもって挑んでいるかを「かかっている」と端的に示すことで、
最終的な展開は読めないにしろ、その半荘にドラマ性を持たせる余白を作ることが可能だからです。
というか、彼は日吉プロは「日吉さん」と書き、
松本プロは「松本プロ」と書いているのですが、
日吉プロのことを古舘伊知郎さんのような実況者かなにかと思ってるんでしょうか。
ただ、先日の「RAGE麻雀」みたいな対局内容自体はラフなコンテンツで、
日吉プロによる煽りMAX渾身の「かかってる」が聞いてみたいです。
第2の意味での「かかってる」で。
「あ~!!親リーにドラ強打!ノータイム!全然繊細じゃない!松ヶ瀬、素人相手に完全にかかっている!!」
みたいな。
というわけで、個人的な独断と偏見による
「かかっている」
の解説でした。