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ニュー駄菓子屋サンマというお店の紹介

こんにちは。村上てんゆうと申します。

東京都最西端に位置する奥多摩町で「ニュー駄菓子屋サンマ」をオープンし、はや2か月が経ちました。

前回記事で開業の経緯やコンセプトは解説したものの、肝心なお店の紹介ができていませんでした。本記事では、営業をはじめて2か月が経った所感と合わせて、お店について紹介したいと思います。


前回記事はコチラ


お店の紹介

店名「ニュー駄菓子屋サンマ」に込めた想い

「サンマ」の由来は魚ではなく「三間」からきています。

「三間」とは「仲間・空間・時間」の3つを意味する言葉で、現代の子どもには三間がないというような文脈で使われます。子どもたちにとっての三間になれるようにと願い、この店名にしました。

また、何屋を名乗るのかについても結構悩みました。
もともと、地域にやわらかい公共空間をつくりたいという想いがあったので「やわらか公民館サンマ」とか、わくわく感を醸して「東京最果て秘密基地サンマ」という案もありました。

ただ、第一印象で使い方がイメージできないと、なかなか子どもは利用しづらいだろうなと考えて「駄菓子屋」と名乗ることに決めました。

よく聞かれますが、もともと「駄菓子屋をしたい」という夢や目標を持っていたわけではありません。つくりたかったのは「子どもでも気軽に遊びに来られる公共空間」だったので、駄菓子屋をフックに選んだという順序です。(そうした意図から、ただの駄菓子屋ではないぞと「ニュー」を付けました)

さて、オープンから2か月。「サンマ」という愛称で呼んでいただくことが多く、なんだか照れくさい気持ちです。


営業スケジュール

サンマは週四日(火・木・土・日)お店を開放しており、火曜・木曜は14時~18時30分、土曜・日曜は10時~17時と平日・休日で営業時間が異なります。(2024年12月現在)

それぞれの営業時間には理由があって、平日でいえば、小学生が来る前の早い時間帯にも大人にゆっくりしてもらいたいから14時開店にしていたり、帰宅が遅い中高生にも立ち寄ってもらいたいから18時30分閉店にしています。休日でいえば、午前中から友達と遊べるようにとか。そんな風に考えて時間を設定しました。

実際に2か月お店を経営してみて、営業時間をどうしていくかは悩みどころです。来客の実態に即して営業時間を変更するのが効率的かつ効果的な気もしますが、そうでない時間に店舗を開放することで、子どもたちの新しい遊びのリズムをつくれるかもというワクワクもあります。

今後営業時間をどうしていくかは、もう少し冷静に見極めていきたいです。

また、仕事の都合で不定休をいただくこともあります。そういうときはお客さんが困らないよう、ホームページやSNSで周知することを心がけています。


サンマのシステム

サンマには主に4つの機能があります。

①駄菓子・雑貨販売
②カフェ
③子ども無料のサードプレイス
④みんなで運営に携われる参画機能

各機能について、お店の間取り図と合わせて紹介していきます。

店内間取り図

玄関を入ると駄菓子屋スペースがあり、ここでは駄菓子や雑貨、ドリンクを販売しています。

1階の奥には掘りごたつのある個室、2階には10畳程度のみんなのスペースがあります。部屋ごとにテレビゲームやボードゲーム、本や漫画を置いており、子ども(18歳未満)はこれらの空間を無料で利用できます。

大人の方がゆっくりくつろぐ際には、カフェのように1ドリンクオーダーをお願いしています。駄菓子屋スペース、個室、みんなのスペースのどこでゆっくりしていただいても大丈夫です。

また、コンセプトを「みんなで営むパブリック」としているように、希望者はお店の運営に参画できる機能を用意しています。店番ができたり、自分の雑貨等を販売できるスペースを貸し出したり、2階のスペースを貸し出したり。みんなが関わることで子どものサードプレイスを維持する。そんな場所となっていくことが目標です。


運営費用のこと

「この物件は借りているの?」
「助成金を受けているの?」
「駄菓子屋って儲かるの?」

などなど、よくお店運営の費用面について質問を受けますが、物件は月5万円で借りており、公費等の助成は受けていません。現状は100%私費で運営しています。

毎月固定でかかる運営費用は7万円弱で、内訳はこんな感じ。

家賃:5万円
ネット:4千円
電気:7千円
水道:2千円
その他消耗品等:5千円

この2か月の売り上げは平均8万5千円くらい。原価等を引いた粗利が4万程度なので、大体毎月3万円支払って、サンマを運営しているような状況です。
この施設は運営費用を自分で稼げる、自走できる公共空間を目指しているのですが、まだまだ達成できそうにはありません。

素直な感想として「まあ最初はこんなもんだろう」と感じています。
当初から想定していましたが、子どもに駄菓子を販売しても上がりはほとんどありませんので、大人へのドリンク提供等で利益を出していくしかありません。そういう意味では、大人への訴えかけが全く足りていないことを自覚しています。

月に1回でもサンマに遊びに来ていただき、コーヒーやお酒を飲んでいただくことで、人口減少が進む奥多摩町でも公費等かけずに子どものサードプレイスを維持することができます。実際にそんなことができたらすごいことだと思っています。

店内カフェメニュー
奥多摩のクラフトビールVERTERE

そのためには、もっとエシカル消費という文脈でサンマの魅力を訴求してゆかねばと感じています。


2か月営業して感じたこと

サードプレイスを巧みに使いこなす

少しずつではありますが、サンマを巧みに使う子どもたちが現れてきたことを実感しています。

例えば、放課後にお迎えの親御さんを待つ場所にサンマを使う児童がいます。小学校内にも放課後の居場所機能(学童や放課後子ども教室)はありますが、もしかするとそういった場があまり好きではないのかもしれません。サンマをサードプレイスとして、上手に使ってくれているように感じます。

また、企画を持ち込んでくれる児童も現れはじめました。店内での射的ゲームを提案してくれたり、クリスマス会を提案してくれたり。子ども発信で企画が始動するまでには、まだまだ時間がかかるだろうと勝手に思っていましたが、そんなことはありませんでした。
やわらかい公共空間と、子どもの意見に耳を傾ける体制があれば、子どもの主体性は発揮されるのかもしれません。


保護者需要もある

子どもが自発的にお店に来てくれるケースがある一方で、保護者の方が乳幼児を連れてきてくれるケースも多いように感じています。

「子連れで行ける場所がなかった」
という声をよく耳にします。

子どもが楽しめるコンテンツがあること、店内で子どもを好きに遊ばせられるという点が、保護者需要につながっているのかもしれません。


とはいえ、まだまだこれから

お店に遊びにきてくれる皆さんのおかげで、毎日とてもたのしくやらせてもらっています。

だからこそ、いつ来ても、何歳になっても、たのしい場所であり続けられるようにサンマをブラッシュアップし続けていかねばと感じています。ソフト版サクラダファミリアとして、意思を持ってめちゃくちゃにしていけたらいいなと。

というわけで、今回はお店のことを紹介してみました。
興味を持っていただけたら、ぜひお店にいらしてください。東京最西端のまち奥多摩にてお待ちしています!

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