社員を鞣し工場見学に連れて行った話
こんにちは!川田です。
今週の初めにスタッフ30名以上を、いつもお世話になっている鞣し工場へ見学に連れて行きました。本日はその話を書いていきたいと思います。
工場見学に行こうと思ったきっかけ
先日、普段はやらないのですが社内でいろんなことが重なって、職人全員と個人面談をしました。色々と質問したのですが、僕が聞きたかったのは「今後、仕事を良くしていくにはどうすればいいか」という質問に対しての考えです。
回答範囲は特に限定せず”何でもいいよ〜”としたので、「バスケットコートを駐車場に作れば、社員のやる気が出ると思います」という回答から「◯◯という機械を導入すればいいと思います」という回答まで様々ありました。(笑)
いろんな回答がある中で、「革の品質がもっと安定すれば、私達の苦労が減って効率良くなります。」みたいな回答が何件かありました。
これを聞いた時に、「僕やマネージャーは何度も鞣し工場へ足を運んでいるが、職人達は鞣しとはどのようなことで、どのような工場で、どのような人たちが働いているか一度も見たことがないんじゃないか…」と思いました。
僕は、皮を鞣すという仕事がどれだけ大変な仕事か理解できています。特にモンゴルは遊牧文化で、肉を沢山食べるので、遊牧民達が自分で家畜を捌くことが多いです。そうするとものすごく丁寧に捌かない限り、皮に傷が付いてしまいます。
また、遊牧によって家畜達は自由に草原を駆け回るので、自然と生前の傷が多いのもモンゴルレザーの特徴です。
特にHushTugの工場で働いてくれている職人は未経験者がほとんどなので、このような現状を知らないという人が多かったのでした。そこで、みんなで鞣し工場見学をすることで、モンゴルレザーへの理解、鞣し工場の大変さ、どんな会社と協力してやっているのか…などを学んでもらおうと思いつきました。
鞣し工場の社長にお願いしてみる
(一緒にランチした時の写真)
と言えども、こっちは見学する立場なので特に準備や心配することはありませんが、あっちからしたら不都合なこともあるかもしれないので「断られるだろうなぁ」と思いながらお願いしてみました。
特に生産工場とかだと、見せたがらない企業がほとんどです。技術を真似される心配や、SNSで悪評を拡散される心配(モンゴルの噂のパワーは日本より強い)をするからです。実際、2年前に僕が初めて工場に行ったときも、しぶしぶ見学させてもらうことが出来たレベルです。
それで社長からの返事は「OK、じゃあ2日後に来て」とのことでした。「OKなのは嬉しいけど、2日後って(笑)」なんて思いながら、生産スケジュールの調整をして、見学に行くことになりました。
工場見学当日
(半裁の革を見ながら説明を受ける職人たち)
そこからとてもスピーディーにいろいろ準備してくれました。「いつもの仕事もこのくらいでやって欲しいんだけど…」と思ってしまったのは内緒ですが(笑)
工場長、マネージャー、社長、技術担当と役員総出で案内してくれました。また、モンゴルレザーの特徴、鞣しの流れ、特にHushTugの革がどのように作られているかを中心に話してくれたと思います。(モンゴル語の壁があるのであくまで予想です)
職人達は、初めて見る鞣し工場に興奮しているようでした。自分たちがいつも使っているミシンとか機械とは比べ物にならないほと大きい機械を使うので、迫力は満点です。
説明を聞かずにいろんな機械のところに行ってスマホで写真を撮る、という自由さもモンゴルらしいかったです(笑)
終了後
(モンゴルレザーの特徴をスライドで説明)
見学会が終わった後、社長達に部屋に呼ばれとても感謝されました。僕は「いやいや、逆にこちらが感謝ですよ」という感じだったのですが、話を聞くと納得がいきました。
僕らHushTugはこの鞣し工場さんとは2年ほどの付き合いになります。”モンゴルの革を買いたい”とたくさんの工場を訪問しましたが、誰にも相手にされないところからスタートしました。その中で唯一、相手にしてくれたのが今の鞣し工場さんです。
2年が経ち、今でこそHushTugはこの鞣し工場さんの売上ランキング2位のブランドとなりましたが、1位のブランドさんとはHushTugとは比べられないほど、長い期間付き合いがあるそうです。
しかし、工場見学に来たいと言われたことは一度もないとのことでした。その中で、2年しか付き合ってないHushTugの職人が見学に来ることになって、とても嬉しかったと言っていました。ちなみに、付き合いのあるブランドさんで工場見学に来た会社は一社も無いとのことでした。
見学に来たいと言われたことがまずとても嬉しくて、とても張り切ってしまったとのことでした(笑)
最後に
(一番前に座らされ、カメラ目線の俺)
職人達にとっては、初めて見る機械や規模感に圧倒されたんじゃないかなと思います。同時に、皮を鞣すということがどういうことかも理解出来たんじゃないかなと思います。
また、鞣し工場の社長をはじめ、マネージャーさん達がとても楽しそうに説明してくれ、とても感謝されました。これは僕にとってはとても予想外です。
僕は思いつきでお願いしただけなので本当に予想外でしたが、仕事をしていたらこのように上手くタイミングが噛み合うことがあるんだろうなぁと感じました。
おそらく次は、鞣し工場のスタッフが見学に来ると思うので、それまでに引っ越ししたてのオフィスをキレイにして置かなければなぁと感じています(笑)
そして、工場見学に協力してくれた鞣し工場の皆さん本当にありがとうございました。
では今日はこの辺で!