高校生活動レポート 「地域間の“本に触れる格差”に取り組んだ事例」編
盛岡という星でBASE STATIONでは、探究活動支援の一環として、高校生や大学生をはじめとする若者と、地域とのマッチングに取り組んでいます。
前回の記事では、マラウイの子どもたちの給食支援に取り組む高校生が、川徳で実施したコーヒー販売会の様子や販売会までのプロセスをご紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
さて、今回ご紹介するのは「地域間の本に触れる機会の格差」に取り組む盛岡第一高等学校の4名です。2023年2月、さわや書店にご協力いただき読書会を開催しました。この記事では、これまでの活動の様子や読書会を開催することになった経緯などをご紹介します。
テーマ「地域間の本に触れる機会の格差」の背景
テーマの背景には、この活動を始めた2名のメンバーがそれぞれの出身市町村と盛岡を比較したことにあります。高校進学を機に盛岡で過ごす時間が増えた2人は、盛岡の図書館が充実していることや書店がたくさんあること、周りで本を読んでいる生徒が多いと気づいたことをきっかけに、このテーマで探究を進めることに決めたそうです。
また、「図書館を通した地域の活性化」をテーマに活動していきたいと考えているグループが同時期にBASE STATION相談に訪れていたことをきっかけに、一緒に活動に取り組みはじめ現在は4名で活動しています。
これまでの活動を振り返り、より効果的なアクションを
今回、さわや書店にご協力いただいた読書会は、実は4回目の読書会で、すでに3回読書会を開催しています。1回目はBASE STATIONで、2回目、3回目はメンバーの出身地での開催でした。読書会を実際に開催してみて、読書会やその場で紹介しあった本の良さが今後広がっていく様子が想像できず、影響力も限られていると感じたそうです。そこで、本の魅力をより多くの人たちに広げるために、さわや書店とコラボした読書会を検討。BASE STATIONで以前相談をしていた栗澤さんへプレゼンテーションをすることに。
イベントを開催して終わりではなく、しっかりメンバー全員で振り返って、次のアクションを検討する、当たり前のようで難しい、いわゆるPDCAのプロセスを丁寧に積み重ねる彼女たちには驚きました。本当に本が好きで、地域格差をなくしたいと、テーマに対して真摯に向き合う姿勢には、我々も感銘を受け、取り組みの展開を楽しみにしていました。
コラボ読書会の開催に向けて
栗澤さんへのプレゼンでは、取り組みの背景やこれまでの活動など、思う存分伝えてくれました。1年以上前から活動をサポートしていたこともあり、立派にプレゼンする姿に思わず涙がこぼれるのを必死でこらえたほどです。栗澤さんも趣旨に賛同いただき、ご快諾いただいたことから、読書会の実現となりました。
また、読書会に向けて実施した栗澤さんとのブレストでは、高校生からも積極的に提案する姿が見られ、前向きな取り組み姿勢がうかがえました。
読書会当日の様子
さわや書店での読書会はこれまでにない新しいスタイルでの実施となりました。せっかくさわや書店を会場にするのだからと、店内で書棚の本の中からおすすめしたい本を選び、さわや書店2階の喫茶店「オンディーヌ」で本を紹介しあいました。この日紹介された本は現在1枚のポスターにまとめられ、さわや書店に配架されています。
さわや書店で本を選び、選んだ本についてさわや書店で発信するという新たな形の読書会。彼女たちの本が好きという気持ち、読書を楽しんで欲しいという気持ち、そして取り組みを常に振り返ることのできた姿勢がこの取り組みを成功させたのだと感じています。
これまで高校生をサポートしてくださったみなさん
●株式会社さわや書店 栗澤さん
●読書朝食会“Reading-Lab” 岩手 主宰 小笠原康人さん 純子さん
課題解決のためのアクションを模索中に相談に乗ってくださいました
※小笠原さんは第一回のBASE STATIONでのマンガ読書会にも駆けつけてくださいました!
●ダ・ヴィンチ編集長 川戸さん
アイデアの検討に参加してくださり、さわや書店での読書会にも参加してくれました
初めてお会いした時に、誰かと協力してアクションを起こしたいと話していた彼女たちが、こうして目標を達成できたこと、その達成をサポートできたことをとても嬉しく思います。
地域の人を紹介したことで、高校生が活動の幅を広げることができるよう、これからも高校生が地域とつながるきっかけを提供できるようサポートを続けていきます。