思い出した昔の記憶。おっきなあいつのはなし。
ふと、また顔を出してくれた。
最近忘れてて、今思い出したから書いとこうと思う。
小さい頃も内側に怖いものを飼ってたことがある。
今回のは溢れる感じだけど、
昔飼ってたのは押しつぶされる感じで、
膨張して今にも張り裂けそうな、ゴムみたいなおっきな玉みたいな何かが私の前にそびえ立っていて、質量的な圧で、圧倒してくる。
真っ黒でおっきいから怖くて、私のことを押し潰してきそうで、怖くて私は一生懸命逃げる。
走って逃げるんだけど、転がって追いかけてくるの。
どこまで行っても転がってくる。
熱が出てる時には必ず追いかけられる夢を見た。
でも、私もだんだん機転をきかせるようになって。
走って逃げる時に、急に方向転換したら転がってるこいつは追いかけて来れないんじゃないかと思って。
実際やってみたら倒せるの。でもね、地面にめり込んで動かなくなったそいつはちょっと怖いけど可哀想で、倒したら大体目が覚めるんだけど、あまり後味が良くない。
熱が出たらよく、そんな夢を見た。
寝込んでないときも、なんかいっぱいいっぱいになったらちょくちょくそいつの存在を心のどこかで感じてた。
あるんだよね。いるんだよね。どっか。私の内側。お花畑みたいな綺麗な場所に、そこに似つかない真っ黒な膨張したゴムみたいな玉。
小学生くらいの頃はよく感じてたし、怖かった。
中学上がる頃……いや、小学校終わる頃かな?には、
なんだか怖くなくなってた。
倒した時可哀想だったのもあると思うけど、
なんだろう。次第に、逃げなきゃ追いかけてこないような気がして。
近づいて触ってみたら、別に動き出したりしないことが分かって。
なんだろうね。ものすごく妄想じみてるんだけどね。
逃げなければ追いかけてこないことがわかったから、
全然怖くなくなって。
それと同時にあんまりそいつは出てこなくなっちゃった。
さっきね、久しぶりに顔を出してくれたの。
またあえたね、ひさしぶり。げんきそうだね。
別に話してくれるわけじゃないんだけどね。
ぎゅってしたら、改めておっきいなあって思った。
そりゃあ、
こいつが転がって追っかけてきたら怖いなあ、とも。
冷静になってみたら、
直径が、私の2.5人分くらいはあったかな。
たぶん、本当は大きさの概念は無い。
こいつの大きさが固定なんじゃなくて、私から見あげた時の景色で固定されてるから、私が小さくなってるのか、こいつが大きくなってるのかはちょっとわかんない。でも、どちらにしろ、
私は近づいても半分にも届かない。
おっきくて大人しい。もうこいつは敵じゃない。
久しぶりに顔を出してくれて、今となっては嬉しかった。
もう会えないかと思ってたけどまたあえた。
もしかしたら今回の溢れるくん(?)も、
どっかで怖くなくなるかもしれないね。
物は言いよう、捉えようなのかもしれない。
そんなふうに思った、寝不足の朝。
寝ろって言いに来てくれたのかな。
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