エンジニアからPMに転換した際にハマったこと・感じたこと
最初に
周りに結構「今エンジニアやってるけど、将来的にPMになりたい」や、「今学生でエンジニア目指してるけど、いつかPMになる気がする」といった方が多い(自分も昔そうだった)一方、PMをやったことがない人からすると結構どういった仕事をするのかイメージしづらいものかと思います。そういった方向けに、エンジニアとプロダクトマネージャーの役割の違いや、働く上での違いを書いていこうと思います。
補足ですが、ここでいうPMの定義はProject Managerではなく、Product Managerです(PdMと略す方も増えてきています)。この2つは結構混同されがちなのですが(後で触れますが、自分も最初混同していた)、完全に別な役割だと思っています。(これに関しては@kyosu_keさんがこの記事でかなり分かりやすくまとめてらっしゃいます。)
エンジニアからPMになるまでの話
元々情報科学にあまり興味なかったのですが、総合職(営業職)に就職する学生が多い文系の大学に通っていて、自分は「総合職」はあまり肌に合わないと強く感じていたので、逃げ道としてプログラミング・情報科学を学び始めた覚えがあります。
米国に一年間交換留学行ってた際に主にComputer scienceの授業を履修していたのですが(Data structures and Algorithms、Computer organizationなど)、それと共にビジネススクールの授業も受けていました。
その一つの授業のうちの一つが「Intro to entrepreneurship」(起業入門)という授業でめちゃくちゃおもしろそうだったので受けてみました。授業の中でMVP(Minimal Viable Product)を作成したり、ピッチを練習したり、様々なフレームワーク(Business model canvasなど)や概念(Product market fitなど)を学ぶことができ、かなりおもしろい授業でした。この時にPMっぽいことにはじめて触れました。
その授業の流れで留学中に起業したいという思いが強くなり、ネパールでオフショア開発・プログラミング教育事業を立ち上げることを決めて、一年間休学してやってました。売上は一定額たってたものの、あまりスケールする事業(超労働集約でつらたんだった)ではなかったので、もっとスケーラブルなビジネスモデルを持った事業に携わりたいと思い、メルカリに入社させていただくことになりました。
エンジニアとプロダクトマネージャー両職種とも内定いただいていたものの、どっちをやりたいか結構迷っていました。最終的には大規模なコードベースの中で実装した経験がなかったので、エンジニアとして経験を積むという選択肢を取りました。
実際にエンジニアとして働いてみると機能をリリースしたりするのは好きだった一方、技術自体にはそこまで興味持てないことに気づきました。また、技術自体が好きなエンジニアは勝てないとも感じ、個としての競争優位性があまりないなーと感じていました。そこでちょうど所属してたチームにPMがいなかったこともあり、PMっぽい動きをさせていただくことになり、いずれPM職に振り切るという選択肢を取ることにしました。
HowからWhat、Why、Whenへ
エンジニアのときは「何が、どれぐらいの期間で、どのようにできるか」みたいな思考回路だったので、PMになりたてのころもその思考回路でずっと仕事をしていたのを覚えています。
また、プロダクトマネージャーの仕事はものごとを円滑に進めることだと思っていました(開発ディレクションのイメージが強かった)。まさに、Project managerとProduct managerの役割を混同してしまっていました。
(@kyosu_keさんの図解を引用させていただきます・元記事)
プロジェクトマネージャーの役割 = プロダクトマネージャーの役割と思い込んでしまっていたわけです。なので、スコーピング・フェージング・工数見積、開発管理、調整等に多くの時間を費やしていました。なんせ、エンジニア出身だとここらへんが割とやりやすいし、得意分野になりやすいのです。
@kyosu_keさんの資料の通り、PjM思考からPdM思考へ転向する必要がありました。
Asking the right questions - 適切な質問をする
その時にメンターしてくださっていた方(元Google/Youtube Product Manager)に、毎日どういったことを考えながら仕事をされてるか、ざっくり伺った覚えがあります。こんな感じのやり取りでした↓
僕:As a PM, what do you ask yourself every day?(PMとして毎日どのような質問を自分に問いてますか?)
メンター:I constantly ask myself "Am I working on the right problems?"(常に、正しい問題を解決しようとしているかどうか自分に問いただしている)
「常に、正しい問題を解決しようとしているかどうか自分に問いただしている」とのことでした。(このときかなり納得した覚えがあります。)
その際にどのように正しいことを行っているか判断するのか気になったので聞きました。
僕:How do you know you are working on the right things?(どのように正しいことを行っているか判断していますか?)
メンター:I spend a vast amount of my time digging through data and user feedback.(データとユーザーフィードバックを見ることに多くの時間を費やしている)
「データとユーザーフィードバックを見ることに多くの時間を費やしている」とのことでした。ここで自分の時間の使い方はプロダクトマネージャーとしてあまり最適化されてないことが理解できました。
メンターの話を伺ううちに、PMの価値の発揮の仕方は、プロジェクトを円滑に進めることはもちろん、最も重要な問題を発見し、正しい解決方法を導き、優先順位をつけて実行していくことによって発揮できるものだと学びました。
PMとエンジニアでの仕事のレバレッジの効き方の違い
PMやエンジニアは両職種ともかなりレバレッジの効く仕事だと思っています。ただ、レバレッジの効き方が結構違うなーと感じます。
人によって解釈は違うかと思いますが、個人的には以下のように感じています↓
【PM】最も重要な問題を発見し、正しい解決方法を導き、正しい優先順位で実行していくことによって、有限リソースのアウトプットを最大化することができる
【エンジニア】よりscalableでreusableなコードを効率よく書くことによって長期的にコードベースおよびユーザーに対する価値を最大化することができる
PMになりたての頃は、いかに効率よく仕事をこなすか、効率よくプロジェクトを回すかが重要だと考えていましたが、次第にあまり自分の時間にレバレッジ効いてないことに気づきました。
それよりも、チーム・事業・会社を正しい方向に導く努力の方が圧倒的にレバレッジの効く時間の使い方だと感じます。
一方、間違った方向性を提示してしまうとネガティブなレバレッジの効き方をしてしまうので、プレッシャーもその分かなり感じます。
Think from the bigger picture
問題を細分化し、単純化し、解いていく能力はエンジニアに結構求められるかと思います。
ただし、PMの場合、それ以前に問題を発見する必要があります。最も重要な問題を探す際に、大事なのが「Think from the bigger picture」(全体像から考える)という考え方だなーとつくづく感じます。
いくら大きな事業でも、まずは「勝つためにはどうするか?」、「勝つとはどういう状態か?」などの質問から考え始めることが大事だと感じています。そうすることによって小さく縮こまることを避けることができ、より成功へ導くことができるのかなーと思います。
エンジニアだとして働いていた頃は業務の中でそこまで考える機会もなかったので、結構慣れるのに時間がかかりました。また、全体像から考えることが習慣になるまでそれなりに時間がかかったように思います。
PMとエンジニアでの時間の使い方の違い
結構エンジニアの頃イメージしづらかったのが、PMの時間の使い方だったので、ここで軽く触れておきます。
人・会社によって違うかと思いますが、エンジニアだとこんな感じの時間の使い方かと思います↓
・実装
・コードレビュー
・たまにミーティング
・技術調査
・工数見積
PMになってからこのようなことに時間を使うようになりました↓
・データ分析(クエリ叩いたり、Looker・GAなどでデータを見たり)
・エビデンス集め(User interview・ネット上でのフィードバックを見るなど)
・Ideation (アイデアを出しまくる)
・Prioritization(結構ここ大事)
・仕様策定(Spec書いたり、モックを作ったり)
・資料作成(ピッチ用・様々なコミュニケーション用に)
・ミーティング(調整・ピッチ・状況確認など)
結構日によるし、プロジェクトにもよるのですが、大体こんな感じのことに時間を使ってる気がします。全然異なる時間の使い方だったので、かなり最初はつまづいた覚えがあります。(特に、いつ、どのようなタイミングで、どういう時間配分が適切なのか分かりづらかったです。)
最後に
あくまで個人的な感想にすぎないのですが、誰かの参考になれば幸いです。個人的にはPM転換したのは自分にとって正しい選択だったと思っています。もう少し技術力を磨いてからでもよかったかもと思うこともありますが、かなり自分にフィットしてる職種だなと感じています。
また、今現在エンジニアでPM転換されたい方、学生で将来的にPMになりたいかもという方いらっしゃれば気軽にDMしていただければと思います。
おすすめの本やコンテンツ
最後に、個人的にPMになった際に参考になったものを掲載しておきます。
- INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
- イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」
- HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント
- ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム
- ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか
- プロダクトマネージャーの3つの役割とは?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?