生成AIがもたらす近未来のユートピア-週半休制・UBI

2024年9月1日 23:50

生成AIの急速な発展は、私たちの働き方や社会構造に大きな変革をもたらそうとしています。特にホワイトカラーの仕事が減少することは広く予想されています。
この記事では、生成AIがもたらす可能性のある、近未来の社会について、特に労働形態の変化とユニバーサル・ベーシックインカム（UBI）の観点から考察します。

実際には、不確定な要素も多く、ユートピアにもディストピアにもなり得ると考えています。ただ、暗い未来を妄想してもどうしようもないので、比較的明るい未来を考えてみます。

週休3日制の先にある、週半休制

近年、働き方改革の一環として週休3日制を導入する企業が増えています。例えば、日本のユニクロやみずほフィナンシャルグループは、週休3日制の試験的導入を始めています。この潮流が進展すると、さらに革新的な「週半休制」が一般化する可能性があります。

週半休制とは、平日に半日だけ働くことが標準となる労働形態です。これが実現可能となる背景には、生成AIによる業務の大幅な効率化があるためです。特に以下の職種で顕著な変化が予想されます：

クリエイティブ職：デザインや広告制作の一部をAIが担当
IT系エンジニア：コーディングの補助やデバッグをAIが支援
マーケティング職：データ分析や戦略立案にAIを活用
研究職：文献調査や実験データの解析にAIを利用

しかし、この変化は必ずしも大規模な失業を意味するわけではありません。特に日本では、雇用維持を重視する傾向が強いため、政府や企業が新たな形の雇用を創出する可能性が高いでしょう。

週半休制の導入により、基本給は現在の50%〜67%程度に減少する可能性（※）がありますが、それを補完する仕組みとしてUBIの導入が検討されるでしょう。

※実際には、大幅に給与が減ることはなく、業務が減ったが給与は横ばいになる、が多くの企業で確認される事象だと思います。これが実質的に、各企業で個別に行うUBIになるとも考えます。（大企業が概ねこうなるかと。）

UBI（ユニバーサル・ベーシックインカム）の可能性

UBIとは、すべての市民に対して、一定額の現金を定期的かつ無条件で給付する制度です。生成AIの時代におけるUBIは、AIによって生み出された富を再分配する手段として機能する可能性があります。

UBIの具体的な実装方法については議論の余地がありますが、以下のようなアプローチが考えられます：

政府主導型：従来の社会保障制度を再編し、AIによる税収増を原資としてUBIを実施 → 従来の生活保護を拡張することも検討できます。
官民連携型：AIを開発・運用する大手IT企業が基金を設立し、政府と協力してUBIを運営 → 生成AIの基盤を持つテック企業が主導することも検討できます。
分散型：ブロックチェーン技術を活用し、透明性の高い分散型UBIシステムを構築→上記の1.2.を「UBICoin」として分散管理する。

実際に、フィンランドやカナダのオンタリオ州では、小規模なUBI実験がすでに行われています。これらの実験結果を踏まえつつ、AIの発展に合わせた新たなUBIモデルの検討が必要でしょう。

フィンランドの実験（2017-2018年）
- 結果：雇用への影響は限定的だが、受給者の幸福度と生活満足度が向上
カナダ・オンタリオ州の実験（2017-2019年）
- 結果：健康状態の改善や食生活の質の向上が報告されたが、政権交代により中止
アメリカ・ストックトン市の実験（2019-2021年）
- 結果：フルタイム雇用の増加、精神衛生の改善、金融の安定性向上が観察された

暇な午後をどう過ごすか

週半休制が実現すれば、人々は午後の時間を自由に使えるようになります。この「暇な午後」の過ごし方は、個人の価値観や興味に応じて多様化すると予想されます：

創造的活動：芸術、音楽、執筆などのクリエイティブな活動に従事
学習と自己啓発：オンライン講座や新しいスキルの習得
副業（複業）：別の分野での仕事や起業活動
社会貢献：ボランティア活動やコミュニティ支援
趣味と娯楽：読書、ゲーム、スポーツなどの余暇活動

この自由時間の増加は、個人の幸福度向上だけでなく、社会全体のイノベーションや文化の発展にもつながる可能性があります。

特に注目すべきは、これまで仕事で忙殺されていた人々が、新たな時間的余裕を得ることで、新しいチャレンジに挑戦できるようになる点です。この「暇な午後」は、潜在的な才能を開花させる機会となり、個人の成長だけでなく、社会全体に新たな価値をもたらす可能性を秘めています。例えば、長年温めていたビジネスアイデアを実現したり、地域の課題解決に取り組んだり、あるいは全く新しい芸術表現を生み出したりする機会が生まれるかもしれません。

この変化は、単なる労働時間の短縮以上の意味を持ちます。それは、人々が自己実現や社会貢献に向けて時間とエネルギーを投資できる、新たな社会モデルの始まりを意味するのです。

結論：変化と適応の時代

生成AIの発展は、確かに大きな社会変革をもたらす可能性がありますが、それは必ずしもディストピア的な未来を意味するわけではありません。週半休制やUBIの導入は、人々により多くの自由と安定をもたらす可能性があります。

一方で、これらの変化には課題も伴います。例えば、AIによる失業のリスクや、UBIの財源確保、新しい労働形態への適応などが挙げられます。これらの課題に対処するためには、政府、企業、そして市民社会が協力して、柔軟かつ創造的な解決策を見出していく必要があります。

生成AIの時代は、確かに不確実性を伴いますが、同時に新たな可能性に満ちています。私たちには、この技術革新を人間中心の社会発展につなげていく責任があります。未来は私たち一人一人の選択と行動によって形作られるのです。