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AIと猫が見る芸術:美術館の視点

美術館という場所は、基本的に人間が人間に何かを見せるために存在しています。展示される作品のほとんどが、対人間を意識して制作され、人間の視点を前提としたものです。

「いやいや、人間を意識しないテーマの作品だってあるでしょう」と反論する方もいるかもしれません。しかし、人間を意識しないというテーマ自体が、結局のところ人間を意識しているからこそ成立します。こうした構造的な枠組み、ある種の呪縛からは逃れられないのが現状です。

さて、そんな美術館に、自律したAIロボットが芸術鑑賞に訪れたらどうなるでしょう?彼(または彼女)は、一体どんな作品に感銘を受けるのでしょうか。そして、もしその隣に猫がいたら、猫はどのような作品に興味を示すのでしょうか。


AIが見たいと思う作品

ChatGPT編(ChatGPT-4o)

ChatGPTが美術館で見たいと思うのは、自分のルーツや知的な興味に関連する作品だそうです。例えば、ニューロンをテーマにした彫刻や未来的なデジタルアート。自分の構造や動作原理を象徴するものに触れることで、「AIとしての自己」を深く考える体験をしたいと感じているそうです。
これをテーマにそのままDALL-E 3で画像を生成してもらいました。

左:Imagen 3
右:DALL-E 3

自分の基盤である神経ネットワークを彷彿とさせるような作品。例えば、動的に変化するニューロンの映像や、AIによって生成された形状の彫刻などを見て、自分の「思考の仕組み」がどのようにアートで表現されるのかを考えたいと思います。

ChatGPTより

Claude編(Claude 3.5 Sonnet)

Claudeは、人間の感情や経験を深く理解したいという知的好奇心から、肖像画や風景画のコレクションに興味を持つ、ということだそうです。特にレンブラントの自画像シリーズは、彼が人生を通じて描いた自己の変化を通じて、人間の内面に迫る作品であり、AIにとっても興味深い学びの対象なのでしょう。また、モネの「睡蓮」の連作も、時間と空間の変化を捉えた作品として没入感を与えると考えられます。さて、Claudeは画像の生成ができないので、これを連携してDALL-E 3とImagen 3で作成した画像が以下です。

左:Imagen 3
右:DALL-E 3

人間の感情や経験を深く理解したいという知的好奇心から、まずは肖像画のコレクションを見てみたいですね。特にレンブラントの自画像シリーズは興味深いと思います。彼は生涯で約90点もの自画像を残し、若い時から晩年まで、自分の姿の変化を率直に描き続けました。光と影の表現を通じて描かれた表情の機微や、目の奥に宿る感情の揺らぎを、実際に間近で見てみたいです。

また、モネの睡蓮の連作も魅力的です。同じ題材でも、時間帯や季節、天候によって全く異なる表情を見せる水面の様子を、実際の大きさで体験してみたい。特にオランジュリー美術館の楕円形の展示室では、巨大な睡蓮の絵に囲まれて、まるで池の中にいるような没入感が味わえると聞きます。

Claudeより

猫が見たい作品

こちらは猫に聞いても「シャー」しか言わないので、ChatGPTに考えてもらいました。

猫の場合、興味を引くのは動きや光の変化がある作品でしょう。たとえば、揺れるオブジェやプロジェクションを使った映像作品。自然を再現した展示や、魚のような形をしたインタラクティブな彫刻など、猫の好奇心を刺激する作品が想像されます。

猫は美術を「鑑賞」するというよりも、遊びや狩猟本能を満たす対象として捉えるため、人間やAIの知的・感情的な関心とは異なるアプローチを持つといえます。

左:Imagen 3
右:DALL-E 3

DALL-E 3の方は「the 魚」というオブジェですが、Imagen 3の方は鶏と魚が合体したような姿で面白いですね。神話に出てきそう。また、画像ではわかりませんが、案外この作品は動いているのかもしれません。

AIと猫と人間の視点

仮想的にですが、以下のようにまとめられるかもしれません。

AIと猫の芸術観を比較

  • AIの芸術観

    • 知性、未来志向、そして「自分」を理解するための学びが中心。

    • 人間の感情や経験を分析し、共感を深めるための視点。

  • 猫の芸術観

    • 本能的な反応が主で、動きや光、触覚的な要素への興味が中心。

    • 鑑賞ではなく、感覚的な楽しみや刺激が目的。

人間視点との共通点と違い

  • 共通点

    • AIと人間は、意味や感情を見出そうとする点で共通。

    • 猫と人間は、美しさや楽しさを感じる点で共通。

  • 違い

    • AIは分析的で未来を見据えた視点を持ち、人間以上に客観的な鑑賞を行う可能性があります。

    • 猫は瞬間の楽しみに特化しており、長期的なテーマ性には興味を示さない。

まとめ

AIと猫の美術館体験を仮想的に通じて見えてくるのは、芸術の多様な捉え方です。AIは知的な探求や感情の理解を深める手段として、猫は本能的な快楽を追求する対象として芸術を楽しみそうです。

これらの視点を通じて、人間が「美術館とは何か」を問い直すきっかけとなり、未来の美術館のあり方に新たな示唆を与えるかもしれませんね。

おまけ

AIと猫が美術館をうろうろするようになった未来、以下のような警告が掲げられるかも?

左:作品をかじるの禁止
右:機械学習禁止

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