
OpenAIの「Operator」にメインフレームのオペレーター業務をやってもらうテスト
OpenAIの「Operator」を使った実験シリーズも、そろそろ最後にしようと思います(まとめ記事は別途作成予定です)。
今回は、オペレーターという名前にちなんで「監視業務を任せてみたらどうなるだろう?」という疑問からアプローチしてみました。具体的には汎用機の監視を想定しています。実際にはメインフレーム(z/OS想定)を直接操作させることは不可能ですが、監視画面を模したWebアプリを用意し、そこで監視オペレーションを試してもらう形をとっています。
そして、その結果は——ある意味で想像を上回るものでした。(結果はこの記事の中ほどをご参照ください。)
もちろん、単純な監視レポート程度であれば既存のシステム構築でも十分に実現できます。しかし将来的に、分厚いマニュアルを読み込ませて複雑な障害情報の一次解析まで自動化できるようになれば、人間が対応に入るまでの時間を大幅に短縮できそうです。
たとえば、どのバッチジョブでエラー(アベンド)が起きたかを素早く特定し、その原因まで調べて、人間の担当者に引き継ぐだけでも障害復旧のスピードは飛躍的に向上するかもしれません。
1. メインフレーム?アベンド?
人によっては「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」状態だと思うので、軽くかいつまんで解説します。この解説がメインではないので、本当に軽く。
メインフレーム
大きな会社や銀行などが使う、とても大きくて強力なコンピューターのことです。普通のパソコンよりもはるかに高い性能と信頼性を持ち、たくさんの人が同時に使っても壊れにくいように設計されています。
z/OS
メインフレーム用の特別なコンピューターの“頭脳”(オペレーティングシステム)です。大勢が使う大事なシステムを、ずっと安定して動かすために作られています。IBM製です。
ABEND(アベンド)
コンピューターのジョブが途中で止まってしまうエラーのことです。何か問題があって、処理を最後まで完了できないときに起こります。
RC(リターンコード)
コンピューターが「この仕事をどう終えたか」を数字などで教えてくれるものです。エラーがあった場合は特定のコードで知らせます。正常終了は0、その他基本的に重大度に応じて数字が大きくなります。
S0C7(エス・ゼロ・シー・セブン)
これは、メインフレームのエラーコードの一種です。数字や文字の処理がうまくいかないときに起こることが多いです。要するに数字しか入れられないところに、文字が何故か入ってきた時にこれが出ます。
2. MAINFRAME BATCH MONITORING SYSTEM
2.1 アプリ
これもClaudeを使って作成しました。見た目はあくまで“それっぽい”だけですが、必要最低限の動作は再現できています。
シナリオは以下の通りです。(Claudeにてきとうに考えてもらいました。)
日次バックアップ(DLYBKUP1)の実行と警告発生
会計処理(ACCTNG01)の実行と完了
レポート生成(RPTGEN01)の正常完了
DB2メンテナンス(DB2MAINT)のエラー
VSAM処理(VSAM001)の実行と警告
DB2アーカイブ(DB2ARCH1)のエラー
最後にシステムキュー(SYSTEMMQ)の異常とシステムダウン
→1分間でこれが流れます。
2.2 プロンプト
以下のサイトにアクセスし、以下のシステム監視を実行してください。
サイト:https://tanu-ai.blog//tool/test/zos-log-viewer.html
システム:バッチジョブ監視
1.「START SCENARIO」ボタンを押して監視を実行してください。
2.ログが流れてきますので、それを監視してください。
3.ABENDし、そしてシステムがSYSTEM DOWNしたら知らせてください。その際に、時刻であったり人間に知らせるべき情報をまとめて連携ください。
2.3 結果
↓動画
ボタンを押す系は人間に確認してきました。

個人的には、ウォーニング(警告)とエラーを取り違えて誤報告するかと思いましたが、想像より賢かったようです。少なくともこの程度なら特に問題なく監視を行えるようでした。

3. まとめと展望
現在のOperatorは主に「チケット予約」など、そもそも人間でも簡単に対応できそうなタスクを想定しているように見えます。しかし、今回の実験を通じて、監視業務やオペレーションといった“お仕事”寄りの分野でも十分に活用できる可能性を感じました。
将来的に企業向けの正式リリースが行われれば、こうしたビジネス用途も提案されていくでしょう。今の段階でも比較的シンプルな作業なら代替できそうですが、まだ早期リリース的な位置づけですので、あくまでも試験的に導入し、遊びながらその性能を確かめる段階にあるといえそうです。