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note×Google資本業務提携について思う事
noteからの引越しを検討した方が賢明かもしれませんね。
下記にあるように、本日noteはGoogleとの資本提携を発表しました。
本記事ではこの懸念をいくつかあげて、まとめたいと思います。
1. Googleとの資本業務提携で何が変わるのか
今回、noteはGoogleとの資本業務提携を結び、Googleが約4.9億円を投資して6.01%の議決権を取得しました。これに伴い、noteはGoogleのAIモデル「Gemini」を活用した新機能を順次リリースすると発表しています。具体的には、記事作成のアシスト機能や炎上防止ツール、コンテンツの分類・リコメンドツールなど、多彩な機能を提供する予定で、クリエイターから企業まで幅広く活用できるようになる見込みです。
一方で、世界的テック企業であるGoogleが出資・協業するとなると、「Google社の意にそぐわないコンテンツはどう扱われるのか?」という懸念がついて回ります。特に「Google社は悪である」と論じるような批判的投稿が、いわゆるシャドウバン(X(旧Twitter)のように、検索結果やフィードでの表示をひそかに制限する手法)の対象にならないか——これが大きな不安点のひとつです。
2. クリエイター向け新機能のメリットとリスク
まだリリースされていないので試しようがありませんが、いくつかメリット、リスクは考えられます。
2-1.メリット
記事編集アシスト
Geminiが文章の構成や要約、より適切なキーワードや表現を提案する。これにより執筆ハードルは下がり、クリエイターはアイデアやコンテンツそのものにより集中できる。誤字脱字・文法チェック
チェック機能により、細かなミスを減らしてクオリティを向上させることが可能。
2-2.リスク
創作の個性が損なわれる可能性
AIが提案する“無難な表現”を採用し続けると、文章や内容が画一化され、クリエイター独自の持ち味が失われる恐れがある。アルゴリズムの優先度
AIの提案や推奨が優先される過程で、ある種の「書きやすさ」や「受けの良さ」が重要視され、批判的・ニッチな意見が埋もれてしまう懸念もある。
特にGeminiが書いたと判断できるものを、優位にするアルゴリズムが働く場合、極めて危険だと考えます。
3. 企業向けツールと「炎上防止」の境界線
企業向けには、Geminiを用いた炎上防止ツールが注目をされます。投稿内容をAIが事前チェックし、過激すぎたり誤解を招きそうな表現を修正・提案してくれるという点で、企業リスク管理の観点からは非常に魅力的でしょう。
しかし、この仕組みが行き過ぎると、表現全体のトーンがマイルドになり、社会的・政治的に刺激的なテーマや批判的意見が排除されやすくなる懸念があります(もっとも企業が発信する前提であれば、あまり問題では無いとは思いますが)。
また、Googleがこうした炎上防止ツールのアルゴリズム開発を主導している場合、「Google社の利益と合致しない内容」は暗黙のうちにスコアを下げられ、結果として拡散されにくくなる——いわゆる“グーグル八分”のリスクが指摘されるわけです。
まあ、現代においてはGoogle検索自体がもはや時代錯誤だとは思いますが、これをいまだに使っている人も多いわけで、やはりフォロワーを集めたい、広く読んで欲しいと切に願うクリエーターにとっては死活問題です。
4. グーグル八分とシャドウバンの行方
過去には、Google検索結果から特定のサイトを事実上排除する「グーグル八分」や、X(旧Twitter)上での「シャドウバン」が問題視されてきました(こちらはGoogle関係ありませんが)。ユーザー自身は投稿を続けているつもりでも、その裏でアルゴリズムが“露出制限”をかけ、閲覧者から見えない状態が作られることがあるのです。
今回のnote・Google提携でも、将来同様の事態が発生しないとは言い切れません。特に「Googleは悪だ」というような批判的主張が、いつの間にか一覧、検索結果から消えやすくなる可能性は否定できないでしょう。現時点では大きな介入は見られないとしても、今後何らかの方針転換や追加出資などが行われれば、未来が暗い方向へ進むシナリオも考えられます。
5. 透明性と自衛手段
このような不透明性が漂う中、私たちができることは以下のような対策や意識です。
プラットフォームの利用規約・ポリシーの確認
新機能の追加や規約の改定時に、何か変更がないか逐一チェックすることで、自分が書いたコンテンツの扱いを把握しやすくなります。例えば今後無条件でGeminiの機械学習に使用できる、といった一文が追加されないとも限りません。分散的な発信を心がける
noteのみならず、ブログや他SNS、独自サイトなど複数の媒体を使い分け、万が一プラットフォームが規制を強化した場合でも言論の場を確保する。今時点でnote一本のみで活動している方は、あまりいないと思いますが、何かの備えはしておいた方が良いでしょう。運営の透明性を求める声を上げる
ユーザーコミュニティやSNSで声を上げ、何が制限されているのかを監視・検証し続ける。やはり「変だ」「おかしい」と思うことがあれば、どんな些細なことでも発信すべきです。もっとも、それが徒労に終わる可能性もありますが、しないよりマシです。
こうした自衛手段を講じながら、AI技術の進化によるメリットは享受しつつも、プラットフォームへの過度な依存を避けることが重要でしょう。
6.まとめ
本日の発表を受け、早くも「noteから引越しをした方が良いかも」という声が上がるのは決して大げさな話ではありません。自分はそう思いました。現在はまだ大きな介入や“闇”は見えなくても、Googleが今後どこまでnoteに影響力を行使するかは不透明です。
クリエイターとしては、AI技術や大手企業の資本をうまく活用して創作の幅を広げる一方で、いつどんな理由でシャドウバンやグーグル八分的な整理の対象になるか分からないリスクは覚えておく必要があります。
したがって、日頃から複数の発信チャネルを確保したり、プラットフォームの運営方針や機能追加の情報収集をこまめに行ったりすることが肝要です。「いつかは来るかもしれない暗い未来」を想定したうえで、今はまだ恩恵を享受しつつ、備えだけはしっかりと固めておきましょう。
7.余談
現在、自分は情報発信や創作(※1)をnote一本で行っており、noteプレミアムも引き続き利用する予定です。上記で別のチャネルの活用について触れましたが、現時点ではnoteと同等の水準で投稿するアカウントを新たに開設する予定はありません。もしそのような変更を行う場合は、必ずこちらで告知いたします。
正直なところ、引っ越しを考えているわけではありません。noteを利用し続けながら、今後もGoogleおよびnoteの動向を注視し、気になることがあれば迅速に発信していきたいと考えています。
※1:厳密にはpixivアカウントもあります。