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コーヒーについて語ろうか。 その2

はじめに


 「コーヒーは何のために飲みますか?」と聞かれると、「目を覚ますため」、「健康のため」、「集中するため」など様々な種類の回答が得られるだろう。では「コーヒーってどんな味?」と聞くとどうか。十中八九「苦い」と回答が得られるだろう。

 コーヒーの効能としては、「覚醒作用」「利尿作用」「抗がん作用」が成分的にはっきりわかっており、日常的に3〜4杯飲む人はそうでない人と比べて〜などの効能はよく聞くことだろう。では、味についてはどうだろう。

 我々が感じる苦味成分のほとんどは元々コーヒー豆に含まれていない成分であることをご存知だろうか。酸味は低品質であるからと勘違いしていないだろうか。そして、ブラックコーヒーを飲んで「甘い」と感想を覚える人もたまにいるが、コーヒーの成分に「甘味成分」に該当する成分を含んでいることが研究で証明されていないことをご存知だろうか。

 コーヒーというものは日常生活では身近な存在にも関わらず、いざ向き合ってみると、意外にわからないことだらけであることにハッとしていただけたなら、このnoteの7割は伝わったと言えよう(だからと言ってブラウザバックしてはいけませんよ)。

 

 こちらの投稿は前作の「コーヒーについて語ろうか。その1」の続編です。前作では、苦いだけの得体の知れないものであったコーヒーを根元からみていった感じでした。業界の闇を少しだけ触れつつ笑

 今作は、コーヒーの苦味成分はどこから来るのか等、色々な発見があると思いますのでぜひ最後まで見ていってください。


精選について

 前作で記載した通り、コーヒーはコーヒーノキから採れる果実の種子から抽出されたものです。果実の形はさくらんぼに似ていることから、コーヒーノキの果実は「コーヒーチェリー」とも呼ばれます。

 ちょうどいいのでさくらんぼを頭の中に浮かべてみてください。さくらんぼを剥いてタネを取り出してみましょう。まずは少し爪を立ててハリのある皮を破り果肉を剥いで、最後にタネの周りにこびりついた果肉を取り除く。これがタネをとる過程となります。この過程のことを精選と言います。

 ではこの過程をコーヒーチェリーでやってみましょう。ところで、何億個のコーヒーチェリーを手で剥きたいと思いますか?それは効率的だと思いますか?思いませんよね。コーヒーチェリーから種子を取り出す作業は工業化され、効率的に行われています。精選方法は大きく分けると「ウォシュド」、「ナチュラル」に分類され、面白いことに、方法によって同じ豆でも味が変化します。

 まず、ナチュラルから話していきます。この方法は採取したコーヒーチェリーを全て天日干しにし、果肉を乾燥させた後、機械によって種子以外全て剥がしていくという作業です。この方法は広大な土地を用意でき、かつ乾季のある場所、例えばブラジルなどで採用されています。大量生産に向いており、精選するコーヒー豆に対しての機械の利用が少ないため、コストがかかりにくい特徴があります。デメリットについては、天候に左右されるのももちろんですが、機械で茎などまとめてガッツリ収穫したものをそのまんままとめて乾燥させることから、たまに銃弾など不純物が精選したコーヒー豆に混ざっていることがあります(もちろん出荷前に取り除く工程があります)。また、梅干しを食べたあと、種子に果肉がこびりついて剥がしきれないことと同じように、この精選方法で仕上がったコーヒー豆には多少果肉がのこることがあり、それがのちの口当たりにも影響していきます(飲みごたえのある味わいになるなど)。

 次にウォッシュドです。これは水洗式とも呼ばれます。この方法は採取したコーヒーチェリーを全て発酵液に漬けこみ発酵させ、種子のまわりがブヨブヨの状態になったら水で洗い流して種子だけを取り出すという作業です。この方法はナチュラルと比較して作業工程が多く、また、機械や設備を必要とするためコストがかかります。一方で天候や場所に左右されない精選方法であることから、コロンビアのような高山帯や日照時間の少ない場所、そして広大な敷地が確保できない国において採用されております。種子の周りの果肉やミューシレージ(膜のようなもの)を綺麗さっぱり取り除けることから、この精選方法で仕上がったコーヒー豆はクリアな口当たりになる傾向があります。

 そしていいとこ取りのスマトラ式というものもあります。これはインドネシアで採用されている精選方法で、発酵槽に漬けたあと天日干しにしてから種子を取り出すという作業です。この方法は天日干しに向いていない、雨季の多いインドネシアで効果的に生産するために生まれた方法です。この方法で精選すると、「eathry(地球のような)」つまり土くさい、独特のコーヒーが出来上がります。ちなみに筆者はマンデリンの中煎りが好みです。

 最近はより高品質なコーヒーを求めようといううごきがあり、その運動は伝統的な精選方法をさらに複雑化させていきました。例えば、ナチュラルで生鮮してきた豆をウォッシュドで生鮮したり、ウォッシュドの発酵時間をすくなくして不純物がおおくこびりついている状態で次の工程に進むとか。コーヒーマニアの探求はまだ続きます。



焙煎について

 直火式焙煎と熱風焙煎に大きく分けられます。直火焙煎はその名の通り直火で焙煎する方法、熱風焙煎は熱源から離して熱源から生まれた高温の熱風で焙煎を行う方法です。精選工程と焙煎工程はコーヒーの味を後天的に変化させる重要な要素です。

 焙煎方法のシェアとしましては、熱風焙煎が多いかなと思います。理由としては、熱風焙煎は大量生産ができること、焙煎状態のコントロールが直火式焙煎より優れていることが挙げられます。直火式焙煎でこれをやると熱源を増やして豆に火を当てる面積を増やさないといけないためコストが爆増します。さらに、風より範囲が狭く、豆ごとのムラも発生してしまうため、一定の品質を保った豆を作る手間もかなり変化します。Dがつく企業は直火式焙煎にこだわっていることは有名な話です。現に直火で煎ることによって得られる香ばしさは熱風焙煎では得られないものがあります。しかし、焙煎者は熱風焙煎に変えたいと言っているとか。


コーヒーが苦い理由

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