【全文無料公開】この目で見た #Colabo問題 都庁前抗議運動ルポ。ネット越しでないリアルな彼女たちと歌舞伎町。
「なんだよ! ちかよんなよ。このババア!」
ネットで迷惑系と言われている男が、Colabo関係者の女性を怒鳴りつけている。その怒声の中、夕暮れにまぎれて見ざる言わざる聞かざるで黙々と退勤していく都庁の人々。都庁のガードマンは離れて見ているだけ。
日本やのぉ……。
少し遡るが2023年3月21日。
東京都庁前で、Colaboを支援する会と仁藤夢乃さんたちの抗議集会があった。
今回の発端はみなさんもご存知の経費問題。実は経費は問題はなかったのだが、ネット特有の”印象””リツイート”でことが大きくなった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/34db0ce31354a9eca1b2cb2f41080cdb30338840
都庁は彼女たちの運動を「利用者の安全が保障できないから」と中止した。Colaboコラボ側(の支援者たち)はそれに対して抗議運動をすると告知した。
そしてちょうど東京にいた私は現場に行って見てきた。
なぜかというと、皆さんもそうだろうが私も彼女たちの運動をネット越しに知った。すべての情報はネット越しでしか見ていない。
Colaboの彼女たちって本当はどうなの?
と思ったからである。
文筆業をしてもう30年になるが、大抵の人や物事は”媒体”(ネット、テレビ、雑誌、記事、本……)を通すとかなり印象が変わるんですね。
本体は毒が満載でも媒体を通すと非常にいい人に見えたり、またはその逆だったり。いわゆる有名人は毒気がある人も多いが、そのぐらいのほうがメディアを通すとちょうどよくなる。インタビューもされたりしたりだが知性派俳優で売っている人が実際会うと本当に頭空っぽだったり。その逆も多い。ちなみに私はリアルは大変よいひとです。ホント。
で、仁藤夢乃さんですが映像越しに拝見する彼女は私の印象ではちょっと軽く見えた。
本当はどうだったか!
後で書きますね。
Twitterの告知では集会は夜の7時からである。
6時40分には都庁の二階の玄関前に男性が一人、スマホスタンドを立てて陣取り、やたら誰かと電話をしている。
後で知ったが彼はネットでは有名なColaboのじゃましー(迷惑系)らしい。
そしてColaboの抗議場所の連絡を受けた彼は、その都庁職員の退勤出口へと移動していった。彼の後をついていく。
そもそもなぜColaboがここを抗議場所に選んだかというと、今回初めて都庁に行って知ったけれど、
都庁は最初から正面で効果的な抗議活動ができない設計にしてある!
メインの2階入口前はすぐ大きな道路。大規模運動は無理。
1階は地下のピロティ状の設計になっており、何か運動をやっても都庁の人々からも一般の人々からもほぼ見えない。運動を見かけて集まってくるということもできない。そして人の多い新宿駅からは遠い。便利な場所にいくらでも都庁の建築用地は確保できただろうに……。
いや、すごいわ。日本。問題を解決するのではなく、とにかく問題を消す構造。
ちなみに北京の日本大使館も、その全身が「オレ(役人)の任期中に問題を起こすな!」設計である。大使館というのは治外法権で独裁国などで外国人が駆け込むと亡命できるのだが、それが絶対できないようになっている。
他の国の大使館ってもっと明るいで。
亡命者も定期的におるで。
で、その都庁職員の出口付近にColabo関係者や支援者が来て抗議運動の準備をしているのだけど、迷惑系が大声で怒鳴って威嚇をしている。
……はっきりいっていわゆるキンピラですな。これは。
ほら、あのお弁当のおかずについている茶色いやつ。
やがて彼らのお仲間も何名か来て、同じように騒ぎ立てる。
途中から警察が来てやっと多少静かになった。彼らにも自分たちがやっていることは犯罪ということはわかっている。接近禁止命令も出されたし。
そのうちに仁藤夢乃さんがあのピンクのバスでやってきた。
マイクをもち、「今回の件は、まだ絶望が足りなかったのかと思った…」などとスピーチしている。リアルで見たその印象は、
まじめな熱い人。
ネットやテレビではだいぶ損をしている。
そうじゃなきゃ10年はやれんわな。
あと支援者は女性が多い。年配の女性もけっこういる。軽くて自分の人気取りでやるようなタイプに女性の同性はついていかない。
やがて共産党の議員もやってきた。
なるほどこれが政治利用ってやつ? と思ったが基本議員たちは女性で、
スピーチを聞いても、
100%女性の立場からのもの。
私ももし議員なら何党でもいくと思う。都庁に話を聞いてもらうのにも議員は必要でしょう。だから言われるような政治利用ではないと思う、というか、女性支援の草の根組織がなぜ政党や政治とかかわっちゃダメなの?
そもそも今回、直接見て強く思ったのは、
正直Colaboの運動自体は非常に小さなもの。いわゆる正真正銘の草の根運動。
そしてその妨害も誤解を恐れず言えば基本的にはとても小さなもの。
いわゆるヤクザがとりかこむなどではなく、1,2名の迷惑系が近くをうろうろして怒鳴る。警察が来たらせこく黙る。別に”怖い人”たちでもない。
バスカフェの間だけ、歌舞伎町警察が一名でも立つなど巡回を強化すれば十分に防げるレベル。
しかし都庁は自分たちが委託した事業にそれをしない。理解不能ですな。そもそも歌舞伎町ってかなり危険な場所なわけで、そこで腕力の弱い人々が女性支援の仕事をしていたら普通に危ない。
そして都庁の中止に対する彼女たちの抗議運動もまた小さなもの。
すべてのことは7,80メートル離れてしまえばもう存在しないと同じ。
渋谷のケンカのほうがまだ耳目を集めるかもしれない。日本における社会運動の弱さを感じた。都庁の女性職員も基本ゼロ参加。
問題はそれがネットで拡散されていること。
迷惑系や彼ら周辺はよくわかっている。
日本のお役所やお役所思考の人々は異様なまでに事なかれ主義なこと。
そして
”正しいか正しくないか”ではなく何か騒ぎになりそうと思ったら、すぐに正統な方を大慌てで切り捨てる。
つまり因縁を付けたほうが勝ち、という歪んだ世界。
現在東京地裁で裁判中の、ダイヤモンド・オンラインの元編集長の麻生祐司は、私が異様に儲けさせた過去分についてボーナスの有無を聞いたときに、聞いただけで「何か問題を起こすかもしれない」という奇妙な正当性のない理由で連載を突然中止したがそれと同じパターンである。
また都庁自体もけっこう闇が深い。
お役所は本来まじめな固い仕事のはずだが、建築を含む様々な認可、行政、差別、特殊枠採用、生活保護など実は闇にハマってしまう落とし穴が沢山ある。ましてや所在地が新宿。
まだ東京にいた頃、都庁の某局長を非公式で取材したことがあったが、お話は大変ディープだった。
彼曰く、都庁やそのエリアの管轄の警察は、新宿黒社会とある程度仲良くなければやっていけないと。
もちろん大阪もで、地元だから”なかのひと”からいろいろ聞くがひどい。
そしてこの都庁の人を紹介してくれたのは、高校のかなり年の離れた後輩で準ミス早稲田でもあった女性である。東京にいた頃、高校全体の東京の同窓会で知り合ったのだが当時都庁の職員で親が政治家だった。
政治家になりたいと言っていたのが印象的で、のちに本当に立候補するために退職した。その後は私は中国へ行ったのでよく状況は知らないのだが、結局立候補はしなかったと思う。そして議員と結婚するのだが、最終的に30代で自殺している。
別に私の後輩は殺されたわけではないだろうが(たぶん)、私は、仁藤夢乃さんが大変だろうが目立ったほうがいいと思うのは、少なくとも殺されにくくなる。
そもそも歌舞伎町があんなにも堂々と存在すること自体が、法律無視で、法律はあるけれどいろいろ理由をつけて事実上許可してしまう日本を象徴している。
オランダ等、買春街が存在する国はある。けれどそれは買春自体が合法国だから。
買春合法の国はけっこう多くて、台湾、オランダ、デンマーク、フランス、スイス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、ギリシャ、ハンガリー、チェコなどがある。うち一部は斡旋業も合法。
買春が合法化されていいことかどうか、というのはひとまずおいておこう。こういうのは成人していれば最終は本人の判断だろう(その状況が自己責任という意味ではなく)。
しかしColaboが救おうとしているのは、買春が非合法の国、日本でよく事情も知らずその世界に落ちそうになる
10代の女性である。
彼女たちを守れ。
彼女たちを救うのは、結局、サリンジャーのライ麦畑で捕まえて、の主人公が望んだように、世界の端にいて落ちそうになる子供を捕まえるしかない……というのが仁藤さんの考えだと私は理解しているが(一応、ご著書2冊読みました。違っていたら教えて)、私も異論はない。
効果的なひとつのやり方だと思う。
生活保護を出しても、児童保護法を強化しても、ひどい親は消えないし、街へ流れる未成年の女性も彼女たちを餌食にする人々もなくならない。
未成年に買春をさせるという二重に法律違反なことをしていても警察も国も取り締まらない。きっと本には書いていないいろんなことも見ているだろう。大人になってから自分の意思で風俗で働くのはまた別の話。
仁藤さんは自分が東京の夜の街をさまよっていた時代、親や誰かに助けてほしかったのではないか。
(行った時はまさに多忙なわけでインタビューは遠慮したけれどまた機会があればお話を伺いたい)。
未成年は保護せよ。
Colaboの集会を見たあと、夜の歌舞伎町へ行った。
ちょっと歩いたぐらいでこの地のことは何もわからないだろう。それでもあきらかに10代の少女たちが猫耳をつけて風俗店の呼び込みをしている。
で、歌舞伎町となりの新宿ゴールデン街にいくと、道も店の中も外国人だらけだった。この奇妙な、貧乏臭い、軒の低い、古ぼけた昭和なストリートはさぞ興味深いと思う。外国人が喰いつくのは凝縮された”日本”である。
彼らに歌舞伎町横の公園で、ガイドが、OTOSHI(お通し)の説明をしていた。それをうけて輪になった外国人たちが一斉に、
「OTOSHI,Please!」
と叫んでいた。
日本はこういう国になったのである。
国が消えないためには女性を大切にしてほしい。
今はなんとか自主事業として再開できたようで本当に良かった。加油!
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谷崎光のインサイド・アジア
日本がどこか窮屈な人の為のマガジン。マスコミの伝えない中国ディープ生情報と、誰も知らないリアル中国人をお伝えします。中国ビジネス経験者×作…
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