夢見が悪いから床で寝るようになった女の話
眠ることが下手なのだ。
このブログを始めるにあたって、プロフィール欄を記入する際、私を構成するものとして何を書き込むか少しだけ迷った。
好きな物は多い。
けれど嫌いな物も多い。
じゃあシンプルにこのブログ始めるに至った諸悪の根源(これは本当に諸悪なのだ)を書けばいいじゃーんと経緯をひとり遡ると、「眠れないこと」にたどり着いた。私は元来のネガティブな性格を、眠れずに過ごす長い夜にこじらせにこじらせて、ひとり持て余しているのだ。
ただただ、眠ることが下手なのである。
一時期、全く夜に眠れなくなった。
というのも、ベッドで眠ると必ず怖い思いをするのである。金縛りにあって、まるで椎名林檎のMVに出てきそうなミニスカートのナース服を着たお姉さん2人に馬乗りになられながら「検温しますねー」と淡々と仕事をされたり、耳元でずっと黒電話がなっていたりしたこともある。夢見が悪くて、夢の中で爆発魔に追いかけられたり永遠に皿洗いをさせられたりもした。
きっと枕が合わないとか眠る直前に見たテレビのせいだとか、色々なことを調べては試して、心の中に「眠れない=悪いこと」という刷り込みが完了しつつあったある夜、そこまでの万全の対策をしてベッドで眠ることに疲れた私はふと、本当にただの思いつきで、床で眠ることにした。
これが存外良かったのである。
その日は夢すらも全く見ることなく、朝までぐっすり眠ることができた。起きてすぐ、長年無実の罪で服役させられた主人公が脱獄に成功したあのシーンのようなポーズをとった。床で寝たせいで体はバキバキで、実際は、あのシーンのように腕を高くあげることはできなかった。
この方法に味をしめた私は「床で眠ると体が痛い」と至極当然のことを言いながら後輩に車を出させ、柔らかいラグとクッションを買いに行った。(彼らは彼らで「酔って雑魚寝するとき自分達もお世話になるから」となぜか真剣にラグに顔を当てながら柔らかさがどうの手触りがどうのと言っていた)
そんなこんなで、かれこれ半年近く私は床で寝ている。相変わらず体がバキバキになること以外特にデメリットは見つからない。
はずだった。
また最近、夢見が悪い。
この間は夢の中で、延々と嘔吐し続け某元医者アイドルに背中をさすられ続けたし、その次の日は延々と百人一首をさせられた。そして今朝は親戚の手術に付き添った帰り道、父と喧嘩をする夢(ここだけ妙にリアルに嫌なシチュエーションである)を見たし、起きる寸前にはとった電話の向こうでずっと女が「助けてください!信じてください!」とこれっぽちも助けても信じても欲しくなさそうな声音でひたすら叫んでいる夢を見た。(一晩で複数の夢を見るのだ)
夢占い的には、どれも「精神不安定」「強いストレス」「悪い夢は吉夢の証!何かいいことあるよ!」ということらしい。最後のやつだけふわっとしているが、字面だけ見るとただのメンヘラクソ女である。救いようがない。
せめてひとりで過ごす長い夜に心から信頼し合える相手がいたら寂しくないのかな、なんて最近は「夢を見ないで朝まで眠ること」という選択肢を放棄した。まあ、そんな相手がいたらきっと、そもそも、こんなことにはなっていない。
相手がいない(男運が壊滅的に悪い)話はまた今度。
今夜は試しに浴槽の中で眠ってみようか。