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福島旅行(鳩皿猫ラーメン競馬肉)

旅の始まり

旅はなんとなくのきっかけから始まるもので、なんとなく福島競馬場に行きたくなってそのことを4月前半くらいにTwitterに書いたら、それを見た福島住みのフォロワーから福島のラーメン屋にも行きましょうという提案があり、共通フォロワーにも声をかけて男3人の1泊2日の福島旅行計画がふわっと立ち上がった。
福島は震災があった2011年の夏頃に行ったのが最後だった。その時は、震災で半壊するも一部のみを開放して馬券を買えるようになっていた福島競馬場で札幌記念を観戦するくらいのことしかしなかったし、朝に寄ったコンビニで傘を盗まれた記憶が色濃く残っており、正直福島にあまりいい印象はなかった。
そんなわけで今回の旅は「美味しいラーメンを食べる」と「福島競馬場へ行く」という2つの大きなテーマの裏に自身の福島のイメージを改善したいという個人的な目標も持って臨んだ旅でもあった。

出発までのお気持ち表明

出発の2週間前くらいに具体的な行動計画を同行者2人に立ててもらった。福島のことをあまり知らない自分としてはラーメンと福島競馬場という大きな目標がクリアできればよかったので、細かい予定まで組み立ててもらったのはとても助かった。
今回一緒に旅をしたのは鳩さん、皿屋敷さんというTwitterのフォロワー。皿屋敷さんは4年くらい前から相互で2年前に一度関東で顔を合わせていたが、鳩さんはここ1年くらいの相互で会ったこともない人だった。しかし、初対面で一緒に旅をしても何ら問題はないだろうという確信はあった。
彼がTLに流してくれる女性の写真はいずれも自分の魂に響くものばかりで、女性の趣味が合う=良好な関係を築けるということは呪術廻戦の東堂も言っている通り。

全体的に細い女が好みです

頼りきりの立場で言うのもなんだが、予定を立てる段階でこの2人と旅をすることに対しては安心感しかなかった。
細かい旅程が出来上がったことで、個人的な問題として挙がってきたのは旅費。翌週に札幌でのマラソン遠征が控えていることもあり、5月は色々と出費が嵩むため、抑えられるところは抑えたかった。過剰に値が張る旅程でもないのに、何故金銭面が問題になってくるのかはこれまでのnoteを見てもらえればなんとなく分かると思います!
福島までの往復手段を新幹線ではなく高速バスにしたことも「節約」が目的だったが、4月の給料日から福島行くまでの間に競馬で負けた分を考えれば普通に新幹線で行けました。悲しいね。
旅はめっちゃ楽しみたい!!!という気持ちと金がない!!!という漠然とした不安を抱きながら福島旅行までの日々を過ごしていった。
出発の前日に船橋競馬場、出発日のバスに乗る前に新宿でWINSに寄るなどして最後まであがいた結果、新幹線片道くらいのお金がなくなった。悲しいね。

一日目前半(新宿~郡山ホテル)

手元のお金は少なくなったがゼロではないし、まぁなんとかなるだろうという気持ちを持っていざ福島。
新宿バスタからの出発だったが、5年ぶりくらいに訪れたバスタで自分が乗るバスがどこから出るか分からず迷った。最初に電光掲示板の案内を見れば良かったのだが、直前にWINSで負けたことを引きずっておりフラフラとバスタ内をさまよっていた。4階のフロアを一周したあたりで券売機の上にあった掲示板の存在に気が付いて、乗り場を理解した。どんなに負けてても上を向いて歩こう。(教訓)
高速バスに乗るのも数年ぶりで移動時間を快適に過ごせるかの鍵になる隣席が不安だったが、予約時はいっぱいだったにも関わらず何故か無人という状態で特に問題なかった。
東京から福島までのバス4時間を長いと取るか、短いと取るかはそれぞれだけど、今回はラジオ聴いて過ごした。関東エリアで聴けるNACK5は旅のお供に最適!バカボン鬼塚最高!!ラジオの思い出を語りだすと長くなるので書かないけど、このMCは自分が高校生の時からずっと変わらずにいてすごい人だと思う。途中で少し寝たりもしていたら、気が付けば福島に入っていた。新幹線だと東京から1時間くらいで着いてしまうのでラジオ聴いてゆっくり過ごしたり、寝たりする時間もないから高速バスで良かったと思う。本当に。うん。
郡山駅でバスを降りて鳩さんの待つホテルへ向かった。郡山は初めて来たけど、東北で二番目に人口が多い都市(鳩さんから後で聞いた)とは思えないくらいに人が少なかった。GW中ということもあったかもしれないが、街自体が少し寂しい気がした。事前情報で「郡山はチンピラと悪徳宗教が跋扈する悪鬼羅刹も裸足で逃げだす様な街(誇張)」と聞いていたので少し肩透かしを食らったような感じでもあった。

平和な街並み

駅前のフロンティア通りという開拓者精神溢れる通りを抜けて、ホテルへ到着。先にチェックインを済ませている鳩さんがフロントに事前に話を通してくれていたため、スムーズに案内してもらえた。旅慣れしている人の細かな気遣いが嬉しい。
8階の部屋へ向かってブザーを鳴らすと鳩さんが扉を開けてくれた。鳩さんはTwitterでも顔出しをしているので初めて見るわけではなかったが、写真から受ける印象とは違った感じだった。部屋で少し会話した後、オフの回数だけは人並み以上に多い自分の経験と知識からこの人は大丈夫、この旅は俺の金以外は何の問題もないだろうという確信に至った。
バスの席はお世辞にも座り心地がいいわけではなかったので、部屋で少し休ませてもらった。先に市内を巡遊していた鳩さんが凍天(しみてん)を買ってくれていて、美味しくいただいた。もちもちの生地によもぎ餅が入っており3つのもちによる相乗効果で人気があるんですね!!と叫んだ(叫んでない)。

一日目後半(郡山市街)

合流後はサウナ→居酒屋で食事→ホテルで飲みながらスペースの予定としていたので、30分程ホテルで過ごして、駅前のサウナへ向かった。
サウナまでの道中、改めて郡山の街を少し見ていたが夕飯時の時間でも人の少なさは変わらずだった。特に治安が悪いような感じも見受けられなかったが、サウナでその片鱗を感じることになる。
サウナの施設自体はそこまで大きいわけでもない駅前によくある感じのサウナだった。強いて気になったところを挙げれば、脱衣所に明らかに誰か個人のモノと思われるタオル、歯ブラシが置いてあったくらい。24時間営業なのだから、ここに半分暮らしているような人もいるのかもしれない。
髪を洗い、身体を洗い、温泉効果がありそうな色をしている湯に入り、サウナルームへ。久しぶりのサウナであまり長くはいられなかったが、サウナ→外気浴(風呂場内にそれっぽい椅子があるだけ)は気持ちいい。あまり得意ではない水風呂も試してみたが、サウナとの温度差はちょうどよかった気がする。少し施設の古さと知らぬおじさんのプライベート感は気になったが、サウナ自体はとても良かった。でも、それで終わらないのが郡山だった。

強気の案内看板

入り口には↑の画像の看板が置かれていて、まぁそうだよねというぐらいで最初は見ていた。
しかし、いざ浴場に入ってしばらくすると客のほとんどが入れ墨アリ。タトゥーなんてかわいいものではなく、ガッツリ背中に龍やら虎やらがいる。事前の話はなるほどそういうことかとも思ったが、チンピラというよりはもっと本職的な感じの見映えがする方々ではあった。実際のところは分からないけど、サウナで聞こえてくる会話自体は別に平穏なものだし、何かされたわけでもない。サウナの常連がその辺の爺さんか、背中に入れ墨を背負っている人たちかの違いだけ。入口の看板が飾りだったということだけ。郡山はきっとそういう街なのだ。東京で同じような状況を見たらもう少し警戒してもいいのかもしれないが、ここは福島の郡山。何も怖いことはない。

サウナを出て、行くと決めていた居酒屋を目指す。最初は赤ちょうちん(店前には緑ちょうちんが出されていた)のお店に行く予定だったが、訪れると満席ということで断念。二軒目に行く予定だったお店へ。スナックしかないと思われたビルの一フロアすべてが一つのお店になっているお店で立地に少しビビりつつも、エレベーターでお店のフロアまで上がると、入り口には待っている人が数人。入ったタイミングで先頭の人が案内されたので行けそうと判断して、待つことにした。鳩さんとサウナの話や千葉の話をしながら少し待っていたが、何組か客は出て行くも一向に店員から案内はされない。待っているのが自分たちだけになって30分くらいしたところで、店員が店を出ていく客を入店する客と間違えて声をかけたタイミングでこちらから店員へ声掛け。ガタイのいい福島訛りが強い女性店員から片づければ入れると回答を貰えたので待ちの姿勢ではなく、客から攻めていかないといけないタイプの店だったのかもしれない。
少し入るのに手間取りはしたが、料理とお酒は最高のお店だった。色々食べて、色々飲んだけど全部良かった。特にうねめ牛の石焼が最高だった。味噌カツも食べたのだが、名古屋のとは違って辛めの味噌でこれもよかった。一人6000円くらいでとても満足度の高い食事ができた。

1本350円だけど、1000円でもいいくらいの質

程よく飲んで程よく食べて、先ほど行けなかった一軒目のお店で軽く飲もうかという話にもなって再訪してみるも、30秒早ければ入れたということを言われて結局入れず。よくある断り文句ということではなく、実際に直前に2人組の客は入っていたので本当なんだと思う。店を移動する途中にいたそこまで圧の強くないキャッチに気を取られていなければ間に合った可能性はあった。
お店で飲むことは諦めて、コンビニで酒とつまみを購入。鳩さんが買ってきてくれていたガラナサワーを飲みながらスペース開始。スペースの録音はこちら。
https://twitter.com/i/spaces/1lDGLPrbPaQGm

途中から酔いが急に来てそんなに上手く喋れていない気がする。2時間程なので長いけど、暇な時に聞いてね!
翌朝は5時起きなので、0時にはスペースを終えて就寝。福島にいたのは半日もなかったけど、いい一日だったという気持ちで眠れた。

二日目朝(郡山出発~朝ラーメン)

酒を飲んでそのまま寝た時にはありがちなことで3時半頃に目が覚めた。トイレへ行って、もう一度寝直そうかと思ったけど完全に寝付くことはできなかった。30分おきくらいに目が覚めて、5時までに寝続けることはできず中途半端な睡眠になってしまった。
鳩さんも5時には起きたので、そのまま出発の準備を始める。前日に買っておいた酪王コーヒーを飲み、頭をスッキリさせた。酔いはほぼ残っておらず、前日飲んだ酒が悪い酒ではなかったことを実感した。
6時前にはホテルを出て外も薄ら明るかったが夜と変わらず人はほぼいなかった。鳩さんの車に乗る前に近くのファミマに行ったけど、客もゼロだったが店員もいなかった。流石にレジへ行けばバックヤードから出てくると思ったが、一切出てくる気配はなかった。セルフレジで会計は済ませたが、レジにポケモンカードも置いてあって、よく分からないところで治安の良さを感じた。郡山という街を出る直前まで理解できなかった。

郡山から目指すは会津の皿屋敷さんの自宅。車で高速を使って1時間程だったが朝というのもあり道路は空いていた。向かう道中は田舎によくある大きい道路のサイドに色々なチェーン店があるタイプの道で良かった(記事のヘッダー画像)。時間的なこともあってほとんどの店は開店前だったのだが、山岡家だけは開いていて駐車場にたくさん車も停まっていて根強い人気を感じられた。
福島へ向かうバスではほとんど景色を見ることはなかったが、会津へ向かう道で見た景色は「山」一色だった。今の時期は緑と茶色で埋め尽くされていてそこまで見映えするものではなかったが、紅葉の季節であればすごくいい景色だと聞いて秋に来てみたくなった。

いつか二人で行きたいね 雪が積もる頃に

皿屋敷さんの自宅へ近づいて行くと景色はいつか見た母方の実家の宮崎で見た景色に似ていて懐かしさを感じた。皿屋敷さんの自宅前の駐車場へ行って、2年ぶりに皿屋敷さんと再会。網戸を挟んで窓際に佇む飼い猫(キジトラ)にも挨拶したが、威嚇されてしまった。ごめんて。
皿屋敷さんの車へ乗り換えて、いざ朝ラーメン。ナビなしでラーメン屋まで向かえるのは流石地元民と感じた。ここから3人になったので自分は後部座席に座っていたのだが、窓の上部にある取っ手の意味をこのタイミングで理解できた。握っていることで身体も安定するし、なんとなく酔わなくなるような感覚になれた。結局、この後山道に負けてしまうのだけど、この取っ手のおかげで吐くまでの時間を引っ張れたような気がした。
もし空いていたら行こうとしていたラーメン屋の近くの駐車場に車を停めて徒歩で向かったが、ビックリするくらい並んでいた。朝5時くらいから並ばないと朝ラーメンと言える時間には食べられないんじゃないかという長さ。

混みすぎ!!バカモン!!

その店は早々に見切って、徒歩で行ける別の店へ向かう。そちらの店もなかなか混んではいたが、並んでも1時間はかからないだろうという程度の込み具合。以前、皿屋敷さんにここのラーメン屋のお土産をいただいたこともあり、自宅で作ったレベルでも十分美味しかったので、店で食べた時にはどれくらい美味しいのかが気になっていた。
待っている途中でちょうどケンタッキーダービーの発走時間にもなり、朝のラーメン屋の前で観戦した。グリーンチャンネルの音声を朝から垂れ流しながら、フォーエバーヤングの勝ちそうな勢いに声を上げる3人組はそれなりに異様に映ったに違いない。
40分程の待ち時間で入店。帆立ラーメンも気になったが、初回なので一番スタンダードな塩ラーメンと味玉トッピングを注文。スープもチャーシューも麺も全部美味しかった。チャーシューが何枚食べてもどんどん出て来る。色々と気にしてラーメンのスープを完飲することは少ないけど、あっさりした味にスープを飲む手は止まることなく完飲。ありがとうございました。

最高のラーメン屋
天才
完璧

二日目午前(皿屋敷家~昼ラーメン)

最高のラーメンを食した後、駐車場まで戻る道で周囲の景色を楽しみながら歩いた。車道から見る景色もそうだったが、車が一台通れるかどうかの道でも宮崎を感じることができた。同じような幅の道は関東にもあるが、何かが違う気がする。周りの建物だけではなく、街全体の雰囲気がそのように感じさせるような気もした。郷愁と言っていいか分からない懐かしい気持ちが湧きあがってきて、テンションが上がって踊りだしたくなった。今いる二人なら急に踊りだしても受け入れてくれたとは思うけど、朝なので抑えておいた。
少し歩くと味のある廃ビルが見えてきたので、駐車場へ向かう道から外れてそちらへ向かった。その途中にあった小さい居酒屋の看板に「宴会・無尽」と書かれていたのを見つけて「あ、無尽!!」と思わず口に出すと、皿屋敷さんから「無尽を知っている!?」と反応があった。ウシジマくんの作中でも屈指の惨いエピソードである「洗脳くん編」に無尽の話は出て来る。特段キーポイントとなるネタでもないけど、柄崎が高田に説明するシーンが何故か印象に残って覚えていた。ドラマ版の「洗脳くん編」は光宗薫がかわいいのでオススメ。
いかにもな感じの廃ビルは朝の明るい時間でも異様な雰囲気を醸し出しており、入れば間違いなく何か物語が始まるような気がしたが、みんな大人なので写真を撮るだけに留めておいた。

バイオハザードOUTBREAKを思い出す
入れる隙間があるのが怖い

駐車場へ戻る際に見切った店の列を見たが、相変わらずの並び具合であり、少し歩けば最高の店があるのにとも思ったが、どうやら喜多方ラーメンと言えばこの店というくらい有名らしく、異常に混むのも納得はできた。混まない時期があるのかは分からないが、一度は行ってみてもいいのかもしれない。

車で皿屋敷さんの自宅へ戻る。行きの道とは違う道を通ってくれるルート選びがニクい。震災後に作られたという道路を進み、踏切まで来るとここで昔事故があったという話が鳩さんから出る。その話は最初は皿屋敷さんから聞いた話なのだろうけど、その場所に来るとちゃんと話を出せる鳩さんも素晴らしい。二人の交友がどの程度かは知らなかったが、このことから浅からぬ関係性ではないということを勝手に汲み取った。
皿屋敷家に到着すると、お母様とお父様と猫(ヨシカゲ、茶々)が出迎えてくれた。実家ってこんな感じだよなぁということを思いながら、かわいい猫二匹と触れ合う。ヨシカゲの方は近づいてきてくれたが、茶々の方は一定の距離を保って付かず離れずという感じだった。
皿屋敷さんが出してくれたお茶を飲み、猫を愛でて、ご両親と世間話をして楽しい時間を過ごした。20分程しかいなかったが、いつかまた来たいと思うくらいには楽しかった。お土産のKALDIパンダセットがお口に合うことを願っている。

ヨシカゲはかわいいね
茶々もかわいいね

鳩さんの車に乗り換えて、昼食のラーメン屋へ移動を開始。当日メインのNHKマイルカップに向けてコース傾向などを把握するために皿屋敷さんのipadを渡されてレース映像を見ていた。車でずっと画面を見ていると高確率で酔うため、チラチラ見る程度にしておいたが、もしネットで馬券を買えるようにしていたらずっと見ていたと思う。もし当たりでもすれば、酔いより興奮が勝って道中一番騒がしかったかもしれない。
車が山中へ入っていくと電波も弱くなり、映像も途切れ途切れになってきた。画面より景色を見ている方がいいと判断して、ドア上の取っ手を掴みながら外の景色を眺めていたが、このままではいずれ山道に負けそうな気がしていた。吐く前に寝てしまった方がいいと思い、ラーメン屋までの道は半分くらい寝ていた。途中で道を間違えたようなこともあった気がするけど、半分くらいうとうとしていたので状況をよく理解していなかった。
なんとか目的地にまで到着したが、ラーメン屋はなかなかの混み具合。90分待ちとのことだったが、後の予定も考えると見切った方がいいだろうと三人で判断。店の中のお土産コーナーで飴を皿屋敷さんに買ってもらい、トイレだけ借りて店を出た。店前の湖を少し眺めて、福島競馬場へ向けて出発。
このラーメン屋が当初の目的だったということもあるので、次回は必ず食べたい。次回は猪苗代湖、磐梯山メインで福島を楽しみのもアリかもしれない。

冬は凍った湖面でワカサギ釣りもできるとのこと

二日目午後(磐梯山〜福島競馬場)

山を上がってラーメン屋に来たということは、福島競馬場へ行くためには山を同じだけ下る必要があるということ。少し寝たとはいえ、酔いのダメージが残っている状況での山道。改めて寝られたら良かったのだが、眠気は一切なく、その代わりにカーブの連続に気持ち悪さが少しずつ混みあがってくる。
三月に群馬の山奥へ行ったときにも同じような状況があった。その時は登りだったが続く山道のカーブに30分も耐えられず吐いた。気持ち悪いなー、吐きそうだなーと感じてから吐くまでに1分もなかった。直前に声をかけて車を停めてもらい、まだ雪が残る山道の路肩にその日食べた蕎麦を撒いた。来年の今頃には蕎麦の実がその地にはできているのでしょうか。
酔いやすいのは昔からで、以前は気持ち悪さを感じてから吐くまでには結構時間があったが、直近でこのようなことがあったため、この時も少し警戒をしていた。気持ち悪いという状態が少し続いたが、朝以来何も食べていなかった状況なので吐き気はすぐに来なかった。しかし、ここで油断すると最悪車内を終わらせてしまう可能性があるため気を抜かない。しばらくすると吐き気が胃の奥から一瞬上がってきた。ここだ!!!と思い、皿屋敷さんと楽しそうな会話をしている鳩さんに声をかけて、車を停めてもらった。幸い道は空いていたのですんなり路肩に寄せることができた。サッと降りて、最高のラーメンと評したモノを吐き出す。群馬での経験が生きた瞬間だった。人は学習する生き物なんだということを吐きながら思った。
ひとしきり吐いて一息つくと湖が良く見える場所だということに気が付いた。自然の素晴らしさと口の中に残る胃液を噛み締めながら車内へ戻ると、皿屋敷さんが「よく申告した」と褒めてくれた。万が一車内で吐いていたら旅は台無しになっていただろうとのことだったが、その際は死んで詫びるしかなかったと思う。たに死。
一度吐けばしばらくは大丈夫なもので続く山道は問題なかった。途中でコンビニに寄って、そこで皿屋敷さんが購入したアイスを分けてくれようとしたが吐いて間もないタイミングでアイスはなかなかヘビーなので断っておいた。
出し切った後でもすぐに体調は回復せずにぐったりしていた。そのまま寝てしまっていて、気がついた時には福島市に入っていた。10年以上前に来た時からは変わっているような変わっていないような景色を見ていると、福島競馬場へ到着した。外に出たというのもあるが、競馬をするとなれば急に元気になるのがわたし。前回福島競馬場に来た時は震災で半壊していた時に来て、トーセンジョーダンが勝った札幌記念を見た話を皿屋敷さんにすると「何故そんなことを...」と言われた。確かに今思えば意味が分からない行為な気もしたが、その時の薄っすらとした記憶を持って今回復旧した競馬場を13年ぶりに見れたのは少し感慨深いものがあった。

何故か一番福島っぽいと思って撮った写真

その日は福島は開催場ではなかったが、G1デーということもあり場内はそれなりに賑わっていた。無料の給茶機でほうじ茶を飲み完全に体調は回復。朝ラーメン以来何も食べておらず、何なら一度吐いてしまっているのでお腹が空いてしまっていた。売店でソフトクリームを買って、外のスタンド席へ向かう。風は少し強いけど暑すぎもせず過ごしやすい天候。とりあえず旅費の全回収とまでは言わずとも、半分くらいは回収するつもりでレースへ臨んだ。
それなりに競馬をやってる大人3人なら、競馬場では各々は好きなように過ごし、好きなように馬券を買う。自分としては本当はめっちゃ金持ってきてめっちゃ賭けたかったけど、色々あってそれは叶わず。
ちまちま買ってプラス100円程度でメインレースを迎えた。今思えば予想は3人の中でも割と一致していたのでもっと強気にいけば良かったのだが、日和って三連複を軽く買う程度に留めてしまった。当たるには当たったが、またもやプラス数百円のレベル。穴人気していた戸崎がそれしかないという形でレースをしてくれて、しっかりと持ってきたことは嬉しかった。戸崎はそういう騎手だよね。オークス、ダービーで一番人気背負って勝てるタイプではないよね。まだ早い。

もっと買え!!!

当然、数百円のプラスで満足するわけがなく残った最終の3レースで勝負。新潟の最終で少しプラスを重ねて、京都の最終で一番大きく金額(3000円)を張ったが、最後の直線を伸びてこれず不的中。一応直線では「団野!!!」とその日一番の声を出した。
残りは東京の最終レース。皿屋敷さんは東京のダート戦ということもあり、時間をかけて考えている様子。鳩さんは早々に馬券を購入していた。そして、その横でどうしたら取り戻せるかを必死に考えるわたし。人気していたのは武豊と横山武史。そういうところからは買わずに中穴からのワイドで何とかしようと試みる。
後方からの差し馬に乗っている武史には飛んで欲しかったので、そんな話を皿屋敷さんにすると何かの発想に繋がったようで良い反応が返ってきた。この時に皿屋敷さんが何を買うかを少しでも聞いておけば良かったのだが、もう自分が買う馬以外のことは考えられずにそのまま馬券を購入。締切が近いこともあり、皿屋敷さんもマークシートを忙しなく塗っていた。
人がマークシート塗ってる姿っていいよね。頭を抱えながら、ああでもないこうでもないと書き直したり、力強く塗っている姿がわたしは好きです。
レースが始まり、道中は逃げる吉田豊を武豊がマークして、先行して前にいないと展開的には苦しい感じだった。自分が買っていた馬は中団に位置付けていたが、これは来ないだろうなというお気持ち。直線に入っても案の定、後ろから伸びてくる馬はおらず、前に行ったダブル豊がかなりのリードを保っている形。
3着争いがどうなるかというラスト200mの辺りで鳩さんが立ち上がりコース前まで走って行った。皿屋敷さんも何やらえらく興奮している。どうやらインベタしている田辺が来ると激アツらしい。福島競馬場に来て田辺をアツく応援できるなんて素晴らしい展開。後方にいるままの俺の馬なんがどうでもよくなって、田辺を必死に応援する。一瞬手応えが怪しくなり差されそうになりながらも、なんとか耐えられそうな田辺を見て「田辺!いける!!大丈夫!」と叫んだ。買ってない馬をこんなに気持ちを込めて応援するのはいつぶりだろうか。結果的に田辺は15番人気という圧倒的人気薄ながらクビ差で3着に残してくれた。これだから田辺は福島県民に広く愛されているのだろう。鳩さんはワイドでその日のマイナス分を一気に回収。皿屋敷さんは6万配当の三連複を2枚持っており、12万回収。
競馬には夢があるんです!ロマンがあるんです!とマキバオーでも歌われていたが、出来すぎた話ってくらいに出来すぎた最終レースでの大まくり。来て良かったよね、本当に。まぁ、わたし自身は5000円負けたのですが。
夕飯はなんとなく競馬場の近くでカレーでも食べようかと話していたが、12万当てた人がいるなら話は違う。気前良くご馳走してくれるという皿屋敷さんに甘えて、夕飯を焼肉へ切り替える。誰かと競馬することの楽しみを大いに味わいつつ、人の金で食べる焼肉というこの世における屈指の喜ばしい状況に興奮しながら駐車場へ向かって行った。

二日目夜(福島市~郡山市)

いざ焼肉とは言っても行く店がないのでは意味がない。会津に最高の焼肉屋もあるとのことだったが時間的に厳しかったため、まずは市内でということになった。お店を決めるべく色々と車内で会話したが、福島出身のフォロワーが地元に帰ってきたときに行っているというお店に行って、そのフォロワーに一泡吹かせてやろう(彼は何も悪いことをしていない)と話し合いその店へ向かった。車で20分程度で到着して、まだ17時過ぎだし何とかなるだろうという気持ちでお店に入ると、予約いっぱいでNG。一泡吹かせることはできず、どこか他のお店を探さないといけなくなり食べログを検索。
皿屋敷さんと自分で検索しながら、星3.5以上で良さそうな焼肉屋に予約取れるかを電話しまくる。食べログでも評価の高いお店はやはりどこも予約でいっぱい。21時くらいにならないと空いていないと言われてしまう。少しずつ評価の基準を落として電話をするも変わらずダメ。福島市内のめぼしいお店が全部NGとなり、この際チェーン店の高いメニュー食べるというのでもいいんじゃないかという話も挙がりかけたが鳩さんの強い意志により却下。戻る形にはなるが郡山の駅前まで行こうということで話がまとまった。
高速で郡山へ向かっている途中も駅周辺のお店へひたすら電話。前日に鳩さんと行ったお店に電話するもやはりNG。このお店には皿屋敷さんが電話した後に、さらに自分からも電話するというややもすれば迷惑行為になりそうな架電アタックをキメた。ごめんね、恰幅のいい女性店員…。
どこに電話しても全く予約が取れない状況に車内の雰囲気は少し悪くなるも、とりあえず駅前まで行って探すか、案外予約なしでも突撃すれば入れるかもしれないという前向きな気持ちに切り替えた。
おじさん3人がその日の夕飯をどうするかを話し合い、でもうまく決められず、少しずつテンションが下がっていくこの様子、ものすごくハンチョウっぽさがあって良かった。誰がハンチョウで沼川で石和なのかということもないが、当事者でありながらもすごく既視感のある展開がとても良かった。その場に女性がいたのでは絶対に出ない雰囲気。いい歳のおじさんが3人集まってぼんやりと先が見えない状況で少しお互いに遠慮して煮え切らない状況だけが生み出せる雰囲気。今思えばここが旅のピークだったのではないかとすら思う。
郡山駅前へ着いて、朝停めていた駐車場に再度駐車。繁華街の方へ向かうことにはしたが、鳩さんと自分は既に通っている道だったので、別の路地を通って駅前へ行こうという話になった。たまたまではあるが、タイミングよく猫が前を歩いていて、猫が進んだ路地の方へ足を進めた。メインの通りではなかったが、何やら良い感じのお店があってそこまで混んでいない様子。一度は通り過ぎたが、店の前に出ていた旗の内容とそこで調べた食べログの評価からしてもハズレではなさそうと3人で合意。入れるかを確認すると、すぐに席へ案内してもらえた。
福島競馬場から色々と苦労して辿り着いた状況から、もし不味いお店だったらすべてが無になってしまうこともあり得たけど、むしろこの店に来るためにこれまでの流れがあったのではないかと言ってもいいくらいの良い店だった。出てきた肉は全部美味しかったし、個人的にはレモンサワーの種類が豊富なのも良かった。やっぱり焼肉にはレモンサワーですよ。3人でその日を振り返りながら美味い肉を食べる。締めの食事としては大満足だった。

食べログのメニュー写真にもあるけど、ロング牛タンがおススメ。牛タンの部位(舌先と根元)を一度に味わえる焼肉屋はなかなかないと思う。郡山へ行ったときは候補の一つに入れてもいいと思うので是非!

食事を終え、皿屋敷さんに支払っていただき、お別れの時間。皿屋敷さんは鳩さんが会津まで車で送り、自分はバスが出る福島駅まで電車で移動。駅前まで見送ってくれて、またいつか福島へ来ることを約束して解散。
最初は一人で行こうと思っていた旅だったが、旅程を考えてくれて車も出してくれて色んな場所に行けて最高の旅にしてくれた2人には改めてこの場でも感謝の気持ちを伝えたい。ありがとうございました。
郡山駅から福島駅までは電車で1時間くらいで出発まで30分くらい時間はあったが、既に電車はホームに停まっていた。30分おきくらいしかないのでこういうこともできるのかとありがたく思い、慣れないボックス席で最後の素敵な出会いに期待しながら座っていると、いい感じのジジイがスッと入ってきて俺の旅は終わった。寝ていると福島駅まではあっという間だった。
駅に着いてからもバスが来るまでに1時間くらい時間が空いていたので、13年前の記憶を思い出しながら駅周辺をうろついた。

人いなすぎ
3つも蛇口いる?

あまりの人の少なさに少し怯えながらも時間を何とか潰してバスへ乗車。福島駅出発なら何人か乗ってくるだろうと思ってたけど、他に誰も乗って来ず、これはこれで結構怖かった。バスに客が自分一人の状況って多分普通のバスでもなんか怖い。
ルートを自分がよく分かってなかったのだけど、福島駅出発して郡山駅を経由して東京へ帰るバスだったので完全に電車賃が無駄だった。郡山駅ではある程度人が乗ってきたので安心してそこで就寝。夜行バス久しぶりだし途中で起きるかと思ったけど、特に起きることなく次に目覚めたのは朝の新宿に着いたタイミングだった。イヤホンして寝てたけど起きたら片方なくなっていた。旅の最後に失くしものをしてしまったが、これも旅の醍醐味だと割り切って探すのは諦めた。そして、新宿から電車に乗って無事帰宅。

お疲れ様でした!

旅の終わり

旅の記録的に書いた記事だったけど、今までの記事で最高文字数になるくらいには充実した旅だった。こんなに楽しめたのは同行した2人のおかげでもあるし、最初に繋がりを作った場であるTwitterのおかげでもある。Twitter(現 X)最高!!
一人旅は安全な道を渡って冒険しない無難な行程になりがちだけど、数人でする旅は色々と提案もしてもらえるし、一人では行きづらいところにも一緒に行けるし、退屈することがない上にとんでもない展開になる可能性もあり得る。そんなことを30代後半になってからようやく実感できた。この歳だからこそ感じられる気持ちなのかもしれないけど、今後もこういう経験は重ねていきたい。
あと、お金は余裕持って行きたい。どうせ旅先で競馬場行くならめっちゃ競馬したい。勝ったら豪遊、負けたら…。次回はその辺頑張ります。よろしくお願いします。

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