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今までブログ、Twitter、Facebookといろいろやってきましたが、noteというものがおもしろそうなのでやってみることにしました。

 昭和56年、1981年4月1日、吉本興業株式会社という会社に入社しました。それから丸39年、大学卒業以来一筋にお世話になってきた会社を3月いっぱいで辞めました。
 このnoteでは、ぼくがよしもとの39年で出会った様々な芸人さんのすてきな話、おもしろい話、悲しい話、くやしい話……いろいろなことを書いていこうと思っています。

 さて、第一発目ですが、序章としまして、吉本の同期入社の面々のことを書きたいと思います。
 ぼくらが入社した1981年は日本中に漫才ブームが吹き荒れていました。
テレビをひねるとどのチャンネルにも漫才師が出まくっておりました。
やすし・きよしを筆頭にB&B、ザ・ぼんち、紳助・竜介、ツービート、サブロー・シロー、のりお・よしお、ヒップアップ、やすこ・けいこなどが「THE MANZAI」に、やすし・きよし、セント・ルイス、阪神・巨人、いくよ・くるよ、コント赤信号などが「花王名人劇場」に出ていました。
 そんな中、吉本の歴史始まって以来というものすごい数の学生が押し寄せた81年の吉本興業の入社試験を勝ち抜いたのはぼくを含む5人の男でした。
 その5人はひとりも欠けることなく30年間活躍?を続けたのですが、30年目に一人目がやめ、5年前に二人がやめ、ついに残っていたぼくともう一人もこの3月でやめて全員いなくなったのです。
 吉本興業はぼくらの頃は毎年採用がひとり~4人ぐらいで、5人は当時としては多い方でした。その5人が欠けることなく続いているのは驚かれました。
現にぼくらのあとの世代は、2人→0人、4→2、1→0、3→0となっています。
30年近くひとりも欠けることなく続いたのは奇跡に近かったのです。
ただ、現会長と社長の世代は両方とも同期が男3人なのだが、3人とも残っているのが偶然とは言え不思議です。

 さて、先日、同期のうち4人が集まって食事をしたのですが、驚いたのはそのうちのひとりがまた就職したという報告をしたことです。
 彼はフリーで本を出版したりしてきわめて順調にやっていて、わざわざまた会社に入ることはないのにとも思ったが、これは今はある程度納得できます。
 マズローの要求段階という有名なのがあって、人間の欲求には5つの段階があるという心理学の理論らしいのですが、それは
1.生理的欲求:食欲、睡眠欲、排泄欲など生存に関わる基本的欲求
2.安全・安定の欲求
3.社会的欲求:集団に属したり、仲間に受け入れられたりすること
4.自我・自尊の欲求:尊敬されたい、名声を得たいなど
5.自己実現の欲求:自己の能力を発揮して目標を達成すること
6.自己超越の欲求:現状の自己の限界を超える
という5段階と、その上に6つ目の欲求も入れて6つの段階があります。
人間は最終的に5や6の段階を目指すべきなのでしょうが、この3番目の社会的欲求というのが今日のテーマ?です。
 さて、ぼくはこの4月から会社を辞めて全くのフリーになったわけです。毎日何をしてもいい、何もしなくてもいい、晴れてこういう自由な身分を手に入れたわけですが、この自由な生活も3ヶ月目に入った頃から少し様子が変わってきました。
 ぼくは今、まったく何者にも制約されない、嫌いなことはしない、嫌いな人とは会わなくてもいい、というように、まったく自由です。
 ところが、これには実は自己管理と強い意志が必要だとわかってきました。何事も自分で考え、決断し、行動しないといけないからです。
人のせい、会社のせいには出来ません。すべて自分で決めることなのですから。
 考えたら、小学校から中学、高校、大学の児童、生徒、学生として、そして社会人になったら会社の、ぼくの場合ですと吉本興業の、社員として行動してきたわけです。
 50数年間、常に何かに所属している谷良一だったわけです。
 時には会社を代表して外部と折衝しました。でもそれは、あくまで吉本興業の社員という属性があってのことでした。谷良一という個人ではありません。
 今まで、給料をもらう換わりに、吉本興業の社員という様々な制約を受け、言動を制限されていたわけですが、考えようによっては、判断を会社に委ねて自分でする必要はなかったわけです。窮屈だけどある意味で楽な身分であったわけです。
 ところが今度はそういう身分がなくなった。単なる谷良一という一個人になってしまったわけです。社員という鎧も、役員という武器も何にも持たない裸の個人です。
 所属する集団がなくなってしまったわけです。これは非常に不安な状態です。受け入れてくれる仲間も明確にはどこにいるのかわからない。はたしているのだろうか?それもわからない。
 これはえらいことになったと思いました。安易に考えすぎていました。
 永年フリーでやっている人たちはなんて偉いのだと思いました。
 だから自由に気楽にやっていると思っていた同期が、あっさり社員となった、その理由も今だからこそわかる気がします。
 彼も、ほぼ5年間、個人でやってきて、所属のない不安を常に感じていたのかもしれません。
 社会的欲求か自由か、どちらを取るか、これはとても難しいところです。

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