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ispec の目指す医療システムの技術レイヤー集約と、必要な3つのロール

こんにちは。ispec CEO の谷村です。

この記事は、株式会社ispec Advent Calendar 2024 の13日目として執筆しています。
エンジニアの会社ということもあり、技術よりのことが多いのですが、私からは ispec が今月から8期目に入ったということもあり、ispec がこれから何を目指し、どう進んでいくのか、のアプローチと組織戦略 についてお話をしたいと思います。


ispec のこれまでの変遷

これから、を説明する前に、ispec という会社がどういう会社なのか、を知ってもらった方が納得感があると思うので、まずはispec のこれまでの変遷について、簡単に触れたいと思います。

私自身の大学入学から今に至るまでの話は、以下の note で触れたので、ここでは割愛させていただきます。

慶應SFC3人で創業

ispec は、慶應SFCのエンジニア3人が創業した会社です。
私とCTOの山田は、慶應SFCで 同じ AI系の研究室に所属しておりました。その研究の技術をもとに、、、

と、言いたいところなのですが、私も山田も創業者ではありません。。
1年目は開発支援の事業をやりつつ、自社のプロダクトや事業を考えて作って、というのを繰り返していたそうです。(その頃は私はおらず、、人伝に聞いた程度の解像度しかありません。。)

スタートアップのプロダクト立ちげを中心に開発支援

2年目以降は、受託開発に切り替えて早期での売却等を考えていたそうです。(ここにも私はいません、、)

創業から2年半くらいして私はエンジニアの業務委託としてジョインするのですが、そのころもスタートアップ企業さんを中心にプロダクトの受託開発をやっていました。

同時並行で数社のスタートアップでエンジニアとして働いてる、みたいな経験をさせていただき、とても勉強になりました。
(前回の note でも書いた通り、それが魅力で ispec に入りました)

自社でも新規事業にチャレンジし、失敗し続ける

ジョインから1年くらいして、私は執行役員になり、そのタイミングから新規事業をどんどん立ち上げるフェーズに入りました。

正直、立ち上げる、と言えるところまでできてないのが実情ですが、特に領域問わず、自分たちが作りたい世界観のプロダクトを作る、ということをやっていました。

その活動自体は非常に楽しかったですが、結局「まああったらいいよね」の域を出ない夢想のようなものだったな、と今振り返ると思います。

そのようなことをしていたら、業績が当然のように悪化し、ギリギリのところで開発の案件などをいただけて存続できましたが、社員含め不安を与えてしまったりなどしたのは申し訳なかったと思っています。

それでもついてきてくれている社員のみんなには頭が上がりません。。もちろん適当にやっていたわけではないですが、事業というものの本質を見誤った無知なものたちの戯れであったな、と「今振り返ると」と思います。

ただそれらがあったからこそ、今の ispec は強くなっているとも思うので、必要な経験だった、とまでは言いませんが、全く無駄ではなかったと思っています。

メンタルヘルス領域をやるため開発支援を医療へ特化

その後、当時の代表の思いがあってメンタルヘルスの領域で事業をやろうということで、受託開発の領域も医療業界に入り込んでいくことになります。(この頃も新規のプロダクトを作ろう、というテンションで会ったのは変わりませんが、非常に慎重にはなっていました)
この頃に私は取締役COOになりました(2022年の夏頃)

メンタルヘルス領域でもビジネスとして行うことの難易度の高さなどがあり、プライマリケアの領域に行こうという話になり、別の会社と協業で新規事業立ち上げを進めたりなどをしていました。

詳しくは申し上げられないのですが、それらも軒並みうまく行かず、結果としてかなりの損失を出してしまいました。

そのような中で、私が代表を変わることになりました。詳しくは、以前の代表変更の note を見ていただければと思います。

自分たちにできることで医療業界に貢献する

いわゆるスタートアップだと、何も持ってないんだから、とにかく強い課題を見つけて手段にこだわらず、新しい価値を作る、みたいなことを考えると思います。

ただ私たちには、7年やってそれなりに積み上げてきたものがありました。新規のプロダクトを開発するにも多少の完成時期のずれなどはあれど、ほとんど最初の計画通りに開発することもでき、事前に実現可能性等も考慮して不確実要素のハンドリングをすることもできるようにはなっていました。

加えて、大変お世話になっているレスコさんや、募集の紹介をいただいて応募させていただき採択いただいたデジタル庁の標準型電子カルテ事業のPWGなど、実績や病院・医療業界に対するドメイン知識も多くたまってきていました。

そして、私は実際に病院で勤務させていただいた経験を通して、多くの業務非効率な点や、その原因がシステムやネットワークなどの技術的な問題によって解決できない、進化しない現場に直面してきました。

それらを踏まえて、ispec は、自分たちにできること(技術しかない)から始めて、医療業界に少しでも貢献していこう、と決めました。

医療業界の課題については、以下の note で私がわかる範囲で詳しく書いています。

ispec は、「医療業界のイノベーションを加速させる技術者集団」

我々が何を目指すか、というよりは、今の社会、医療業界、それが抱える課題に対して、どういう立ち回りをしたら、最大限社会を良くするために自分たちの能力を活かせるか、を言語化したらこうなりました。

誤解のないように一応付け加えると、決して新しい治療法を開発するなどの、医療そのものに対する話ではありません。デジタルな領域でのイノベーションを起こせたらと思ってます。もっとシンプルに、技術が正しく使われ、その価値が正しく届く状態にしたいと思っています。

最初から大それたことをしたいわけではなく、まずは他の業界と同じように、サクッとSaaSを契約できて無駄な業務が減り、データが集まることでさらに新しいサービスや機能が出て、このサイクルが加速する、というごく当たり前に他の業界で起きてることを医療業界でもできるようにしたいだけです。
まずは、そこが全てのスタートラインだと思っています。

メイン顧客は医療システムベンダー

私たちのメインの顧客は、現状は特に病院へ医療システムを提供しているベンダー企業様です。

医療機関向けにSaaSなどを作って直接提供していく、ということは今のところ考えておりません。(3ステップ先のものしては考えてます)

理由は2つあります。1つ目は、医療機関、とくに病院のようなところにサービスを提供するとなると、営業組織もそうですがその中の政治的なところにも介入していかざるを得ません。これだけでも相当な体力が必要になります。

2つ目は、1つ目にも通ずるのですが、直接サービスを作って提供するとなると医療システムはとても複雑なので、1つやるのにも相当な時間と経営資源を必要とします。そうすると、特定のシステム領域に対してのみしかアプローチできず、医療システム全体に対してアプローチすることは難しいだろうと考えました。

医療システムを技術レイヤーで集約する

そこで我々は、医療システムの技術レイヤーに特化して、そこの集約をすることで医療業界のイノベーションを加速させる、を実現します。

業務フローが複雑かつ、医療従事者以外には理解が難しく、UXに関してもガイドライン等が明確に存在しており、そうすることで医療事故が起こりにくいという効果が論文によって示されている、というのが医療システムの領域です。
もちろんそこに、人の人体・生命に関するデータを扱っており、治療に利用する業務システムであるため、高いセキュリティ・可用性等が必要とされています。

これらの一部を現在はオンプレのシステムとして病院に設置していて病院側に継続的な保守であったりセキュリティの担保が最終責任として求められています。
これは規模の大きい病院であっても限界が来ています。

まずは、病院の医療システムをクラウド化することによって、インフラのレイヤーから医療機関を解放するのがファーストステップだと思っています。

その次に考えているのが、医療システムの複雑さへのアプローチです。
限られた国家予算の中で、医療システムの質を落とさずに提供をし続けるためには、技術的なレイヤーで集約が必要だと考えています。
細かい業務フローに合わせた機能は作れつつ、セキュリティや担保しなければならないラインはレイヤー側で担う、ということ状態を実現していきたいと考えています。

LLM の活用は、Cursor のような開発者個人の能力を拡張するようなツールとしての可能性はもちろんですが、開発体験全体に埋め込むことも可能だと考えており、仕様やテストレベルのところからアプローチをしつつ構築を進めています。

具体的な取り組みについては、またどこかでお話しできればとおもいます。

ispec の組織戦略

医療システムを提供するベンダーさんと協業をしてプロダクトを開発していくことは、ispec の事業の中心にあります。
それが医療業界のイノベーションを実際に推進していく部分になっています。

この推進を加速させるために技術レイヤーを集約していくことで、加速器のようなものを作っていく、というのが必要になってきます。

このようなモデルの事業を作り、運営していく上で、シンプルにすると組織には3つのロールが必要だと考えています。(現状の課題を踏まえて、ボトムアップで考えている部分もありますが)

技術開発、事業開発、組織開発

  1. 技術開発 : 技術の集約により、イノベーションを加速させられる新たな技術資産を生み出す

  2. 事業開発 : 顧客・社会と向き合い、イノベーションの推進・加速に足りてないパーツを特定する

  3. 組織開発 : イノベーションの推進・加速のサイクルを加速させるための会社としての基盤を作る

この3つのロールごとに、Qごとに理想状態を定義して(ここはトップダウンが強め)、それに基づいて1か月ごとのアクションプランを策定して、週1のタクティカルミーティングで状況を共有してレビューをする、ということを実践しています。

各ロール募集中

実際にはロール単位で募集というわけではないのですが、基本的に全ロールで募集しております。

事業機会を探索・開発し、イネーブラー的な社会的役割で、社会、医療業界にインパクトを残したい方、
難易度の高いシステムの領域で技術の集約をするというのは、集約するポイントのセンスもそうですが、実現するためには高い技術力が求められるので、そういった挑戦に興味がある方、
バックオフィスという形で固定化した役割ではなく、多岐にわたる会社の基盤としての組織・財務・採用等に幅広区関わりたい方、

など、もし弊社に興味を持っていただけましたら、Wantedlyの募集か、私のXアカウントまでDM等をいただけますと嬉しいです!

医療システムを効率的に開発したい企業様、医療法人様

技術集約したものを製品としてパブリックに公開するタイミングは今のところ未定ですが、実際に弊社の中には、さまざまな技術集約レイヤーが溜まってきています。
それらを利用して、

  • 質を落とさず効率的に医療システムの立ち上げをしたい

  • 現状のオンプレの医療システムをクラウドネイティブ化したい

など、がありましたらぜひお声がけいただけますと幸いです。
会社の問い合わせからでも構いませんし、私のXのDM等でも大歓迎です。

近年は、医療法人さんの方から、AIを活用した医療システムのアシスト機能等の開発や、その法人の業務フローに特化したシステムを部分的に開発するなどのお声がけもいただいております。

ぜひお困りのことがあればご相談いただければとおもいます。


次のアドベントカレンダーもお楽しみに!!!


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