
「いつか」が「いま」になったから
「いつかは地元に貢献できることがしたい」
そんなことを思い始めたのは、上京してしばらく経った大学生2年生の頃だった。
全校生徒100人にも満たない小さい学区の小学校から、中学、高校、大学と、(意識していたわけではないが)外に外に目が向いていた自分にとって、新潟を出て全国・世界から人が集まる環境に身を置くことは、かえって地元を見直す機会にもなっていた。
大学生の時に、地域で活躍するいわゆる「プレイヤー」と呼ばれる人たちや、地域を盛り上げようと奮闘している市役所職員の方々とお会いすることができたことは今でも大きな財産となっていた。その人たちが向き合っている課題が地元である新潟や小千谷にも共通している課題だったこともあり、自分も地元でできることがあるのでは、と強く感じ始めた。
それから約10年が経ち、僕は縁あって小千谷市に「企業連携型地域おこし協力隊」として 戻ってきた 。
小千谷市について
僕の地元・新潟県小千谷市は「小さい千の谷」と書いて「おぢや」と読む。有名な長岡花火がある長岡市のお隣にあり、花火や織物などの伝統産業が残っている地域で、近年は海外輸出などで錦鯉も有名だ。
最近の大きなトピックとしては、今年9月に図書館機能なども入った、ひと・まち・文化共創拠点「ホントカ。」ができ、街なかのにぎわいも出てきている。
地域おこし協力隊の活動
現在、小千谷市が2022年に立ち上げた「テレワークステーションおぢや」の運営をメインに、セミナーやイベントの企画・運営などを行っている。
【現在の主な活動】
・施設運営、管理(認知拡大/利用者促進施策なども実施)
・商店街イベント企画、運営
・市内企業のICT化、IT人材育成を目的としたセミナーの企画、実施
・企業の視察対応、企業連携
などなど…
筆者プロフィール

新潟県小千谷市出身
広告やWEB・アプリ制作のディレクターやコワーキングスペースの運営等の経験を経て、2022年8月より企業連携型地域おこし協力隊として株式会社あわえに入社し、新潟県小千谷市にUターン。「テレワークステーションおぢや」コミュニティマネージャーとして従事。
マルシェイベントを立ち上げた経緯
活動の中で個人的に思い入れがある取り組みが、中心市街地にある商店街で、空き店舗・空きスペースを活用して飲食、雑貨等の店舗が出店するマルシェ「Holiday Popup Shop」だ。
小千谷市に戻ってきた2年前、商店街は周辺市町村と比較して新しい出店がない状況で、新設の図書館ができることは決まっていた。そうした施設ができること自体はいいことだったが、商店街に何も動きがないままでは、新しい施設ができてもただの点となってしまい、そこから街が活性化する動きができるのか、とても不安に感じたのが正直な感想だった。

そこで、商店街の中の空きスペースや 空き店舗を活用し、1日限定のマルシェを開催することで、少しでも新しいお店ができるイメージを地域の人が描いたり、出店者の中から空き店舗に出店する流れができないかと思い、マルシェの企画を始めた。僕自身初めて行うような取り組みで、場所の確保や出店者集め、飲食提供に伴う臨時営業許可などわからないことばかりだった。動き始めてから、友人や出店者の方の協力もいただき、商店街組合や町内会長の方々にも掛け合い、、第1回の開催を無事に行うことができた。Uターンした年の暮れ、もうすぐ雪が降るかもしれない、冬の入りの頃だった。


初めての取り組みで、告知もそこまで十分ではなかったが、親子連れの方、地域の方など幅広い年代の方々が来場してくれて、商店街のアーケードを人々が歩く景色を見ることができた。
回を重ねて、ついに「ホントカ。」のオープンに合わせて開催
それまでこの商店街や中心市街地では、人が多く集まるイベントは夏に行われるお祭りぐらいが主だった。昔は商店街主催のイベントもあったそうだが、そうしたイベントもなくなった中での開催となり、地域の方や来場してくださった方からも「是非今後も開催してほしい」という ありがたいお言葉をいただいた。それが励みとなり、初回開催後は半年に一度のペースで開催を続けていき、2024年9月、「ホントカ。」のオープンに合わせた5回目のイベントも開催し、過去最多の来場があり多くの方でにぎわった。





マルシェイベントを始めたことでの周囲への影響
今年度に入ってから、中心市街地では空き店舗の活用の動きも出ているらしく、空き家調査などを進める際、イベントの効果もあったようで商店街の方々の店舗や空きスペースの貸し出しについてのハードルはかなり低くなっているようだった。
また、企画当初は市内の出店者が多かったものの、現在では市外からの出店者も非常に多く、来場される方も市外の方が増えてきた。これまでになかった形で、来場者や出店者に小千谷を知ってもらう機会をつくることができ、出店者の方々が小千谷での他のイベントに出店する姿も増えてきたのも意外な効果だった。
私のこうした取り組みも、U ターンをした"ただの一市民"では始めることもなかなか難しかったかもしれない。地域おこし協力隊として活動していることで、企画したイベントを小千谷市の主催という形にすることができ、商店街の中にある銀行の方々に会場利用の相談をするときも「市が主催なら」ということで会場としての貸し出しにご協力いただけた。
他の協力隊の方々や 協力隊のOB・OGの方々にも出店者として、もしくは運営側としても手伝ってもらえたこともとても大きかった。協力隊同士の横のつながりだけでなく、縦のつながりが自分自身にとっても大きな存在となっている。

地域おこし協力隊として活動できたから、今がある
協力隊として現在3年目を迎え、任期がまもなく終わりを迎えようとしている。これまで取り組んできたマルシェやそのほかの企画を今後どう継続させていくか、というところが個人的な課題であり、小千谷に戻ってきたからこその使命だと感じている。
せっかく自分が主体となって始めた企画なので、簡単には終わらせたくないし、継続していくことが地域への恩返しだと考えている。
都心部で行っているものであれば、もしかするとこうして始めた企画もとりあえずやってみて、その後どうするかを考えるということもちろんあると思いますが、地域での取り組みとして考えると「始めたからにはどう継続するか」を考える点も重要だ。そのぐらい真剣に取り組めるのも、地域で活動していく面白さでもありますし、やりがいにもなっている。
また私自身、マルシェイベントを企画・運営したのはU ターンしてからが初めてで、それまでここまでの規模のイベントを開催したことはなかった。都心部ではこうした企画をする上では場所にかかる費用や運営費で始めるまでのハードルが少し高いかもしれない。地域でやる際にはそこまでのハードルは高くはなく、その分「集客をどうするか」「継続して運営するにはどうするか」といった課題も出てくるが、新しいことにチャレンジできるというのは面白さの一つだ。
地元に戻り、何か地元に貢献できるようなことがしたいと思っていた、学生時代からの思いを地域おこし協力隊を通じて、自分なりに1つの形にすることができてきたのかなと感じている。まだ任期は残っているが、任期が終わった後も地元である小千谷市に関わっていきたいと思っている。
「いつか、いつか」と考えている方が「いま」挑戦できる環境として、地域おこし協力隊をぜひ選択肢の一つとして考えてほしい。
にいがた地域おこし協力隊 合同説明会開催!

新潟県の地域おこし協力隊に関心のある方、新潟移住に関心のある方、新潟県内の地域おこし協力隊の最新情報が手に入るオンラインイベントが開催されます!是非とも、この機会にご参加ください!
\このイベントで聞けること/
・具体的にどんなお仕事を協力隊はするのか
・どこの市町村が協力隊を募集してるのか
・お給料や待遇はどんな感じか
・協力隊員はどんなことにやりがいを感じるのか
【日時】
令和7年2月19日(水) 19:00-21:00
【参加方法】
オンライン開催(バーチャルプレイス「ovice(オヴィス)」を使用)
【対象者】
地域おこし協力隊の活動に興味のある方、応募を考えている方、
新潟県への移住を検討している方 など
【申込等について】
・参加無料です。
・事前申込が必要ですので、2/18(火)までに下記のフォームからお申込みください。
<参加申込フォーム>
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdqTNW58C2h1jhGQDLkqj8ckhfUfoVMF-r1Vu9tSEHOgtG-5A/viewform
・申込いただいた方には、開催前に参加方法等をお知らせします。