伊礼智の住宅設計作法を読んで
伊礼智さんについて・・・
沖縄生まれで東京芸術大学大学院を卒業後、丸谷博男+エーアンドエーを経て伊礼智設計室を開設されている、住まい設計を主にする建築家です。
本やネットからの情報で勝手に書きますが、建築の標準化を始めとして住まい手にも作り手にも無駄のない自然な住まいを設計されている方だと思います。
今回も私なりに要点を3つに絞りまとめてみます。
①ヒアリングは設計の手がかりを探す
以前、ヒアリングについても記事にしましたが、今回紹介する本から共感した部分をまとめさせて頂いておりました。
設計をすることは建築に絡む色々な要素を整理していくことが、伊礼智さんの考えだと思います。整理するときの指針となる部分を探すことがヒアリングであって、手がかりを探すことでもあるという事です。無闇に色々な要素を足して実現ができるかどうかで判断するのではなく、住まいづくりという船旅のコンパスになるような物を定めること。
②空間の心地良さを言語化する
心地が良い、センスが良い、デザインが良い。このように感覚で物事を捉える時に必要なことは日ごろの知識の集積と、その扱い方だと私は思っています。知識を集積するには自分の感覚と指標をリンクさせておくことが必要だと思います。
この本ではそのトレーニングの方法が具体的に書かれているようにも思いました。今まで読んだセンスやデザインを扱う本の中でも同じようなことが書かれていたので、芸術の分野が絡む職業には必要なトレーニングなんだと思います。
例えば、空間の心地良さを要素で分けてそれぞれが再現できるように言語化してみたり、ワインの味を端的にまとめるのではなく〇〇のような等自分の味覚と結びつくように言語化してみたり等だと思います。
③スケッチは実測スケッチも活用する
大学の4年に入るまで、スケッチというものが私自身も苦手だと思っていました。天性の才能のような物がある人だけが扱える物のような捉え方をしていました。そんな時に友人や教授から、物事は練習しなければ上達することはないし、出来上がっている作品の良し悪しを感じることも出来ないと教えてもらいました。
このようにスケッチというのは1回目よりも2回目の方が上手く描けますし、そのように経験を積み重ねながら上達するものだと思います。
この本で紹介されている実測スケッチというのは、スケッチを更に身近なものにしてくれますし、空間の気持ち良さを数字として自分の中に落とし込むことも出来る、設計者にとっては素晴らしい方法だと思います。
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