心地よさをカタチにする
空気の容積は大きく設計すること
容積の大きい空間は、温度、湿度の変化が小さく(空気は断熱材)、酸素の量も多く、熱、匂い、湿度、二酸化炭素などを拡散させ、それらの影響を最小限にします。
①人は一時間当たりどれだけの空気量が必要なのか。
人間が事務作業程度の活動状態の二酸化炭素(炭酸ガス)発生量は、1人当たり20リットル/時(0.02㎥/h)室内の炭酸ガスの許容濃度を許容濃度は1000ppm屋外の空気のCO2は350ppmなので下記が1人当たりの必要新鮮空気です。
「0.02(㎥/h・人)÷(0.001-0.00035)(㎥/㎥)≒30㎥/h・人」
(法律上は20㎥/h・人であり、これは人が安静にしている状態での目安です)
ちなみに・・・
建築基準法でいうと24時間換気の、換気回数0.5回/hの根拠は下記です。
1人あたりに必要な空気の量が30㎥/hを基準に
4人家族で30坪の家に住むことを仮定すると
4人分の換気量=「30㎥/h×4人=120㎥/h」となります。
30坪程度の住宅の容積は「30坪=100㎡であり100㎡×2.4m(天高)=240㎥」
換気回数=必要新鮮空気/住宅の気積=120(㎥/h)/240㎥=0.5/h=0.5回/時
②空気は優れた断熱材
空気は動かなければ良い断熱材です。毛糸のセーターや羽毛のジャケットが温かいのはそのためです。空気は動かなければ、金属に比べて1万倍もの断熱性能を持っています。
しかし、空気は動くことで熱を運ぶこともできます。ほかの熱の伝わり方に比べ早く熱を運ぶこともできます。ストーブ(輻射熱)や床暖房(伝導熱)に比べ、エアコン(対流熱)が部屋全体を温めやすいのはこのためです。
動かない空気は優れた断熱材ですが、空気がこもる場所を作ると、寒いところはいつまでも寒く、暑いところはいつまでも暑くなります。このため、空気は動き、流れる様に設計したいものです。
③部屋の広さと、天井の高さの相関関係
部屋の広さと天井の高さの関係には、昔から大工さんのバランス感覚や経験に基づいた技術として、ル・コルビュジエのモデュロールに似た方程式があります。
「座敷の天井高さ=内法高さ(5尺8寸の固定寸法)+鴨居の上の小壁の高さ(畳の畳数×3寸)」
例として・・・
6畳間=1757mm(5尺8寸)+6×91mm(3寸)=2303mm
上記のように日本古来から、部屋の広さと天井の高さには美しいと感じることができる関係性がありました。