新曲「飛行機雲」公開によせて
新曲「飛行機雲」を8月20日 0:00に公開します。
これは、僕が新卒で入った会社の、一番仲の良かった同期に捧げる歌です。
(ユーミンのカバーじゃありません。)
描いているのは、わずか1年2か月で会社を辞めてしまった同期の彼と、それをただ送り出す僕。
扱っているテーマや心境は、同僚の転職という意味で「ミライ」と似ているかもしれません。ですが、「飛行機雲」で描いているのは「特定の人物と、相対する自分」で、「ミライ」で描いていたのはどちらかというと「空気感と、その中にいる自分」という違いがあります。
どっちにしろ自意識の歌なのですが、向き合うものが違う分、感情の振れ幅と深さにちょっとずつ違いがあるように思います。
さて、そんな同期の彼は「この仕事は向いてない」とつねづね言っていました。
確かに、圧倒的な頻度で細かいミスを連発してはいた。けれど、細やかな気配りだったり学生時代のインターンで培ったビジネススキルで成果も残していて、それなりに周りからは認められていました。
そのことを本人も分かっていたと思うし、何より「向いていないからこそ挑戦している」とも言っていて、仕事に夢と目標も持っていた。
だから、「あぁ、彼はこの会社で上を目指していくんだろうなぁ」と思っていました。
一方で、ほぼ同じ頻度で大きいミスを連発する僕は(頻度は同じだけど大きさが違った)、当然のこと周りから全く認められていませんでした。
そんな僕にも彼は一人の友人として接してくれていて、周りが全員敵に見える中で、彼の存在だけが救いでした。
(その後、バンド活動という新たな活路を見出すのですが、この時は何もなかった。)
けれど、入社翌年の6月、彼は糸が切れたように会社を辞めてしまいました。
糸が切れたように見えていただけで、実際は積もり積もってのことだったのかも知れませんが。いつしか彼の中で「挑戦」の比重よりも「向いてない」の比重が上回ってしまったようです。
最後の1か月、ずっと一生懸命だった彼の「こなしてる」ところを見るのはちょっと辛いものがありました。
そして彼は「もっと向いている場所で働く」ために島根を去りました。
一番近くで支えてくれた同期がいなくなって、それでも会社を辞めなかった僕は、居場所が作れたということなのでしょうか。
それか、本当に居るべき場所を見つけることを先延ばしにしただけなのか。
これは後者だったんだと思います。
だから、旅立った彼と残った僕の対比は、「決めた人」と「決められなかった人」の対比です。
選ばないことを選んでしまった、どこか他力本願な自分。彼との別れは、そんな自分の煮え切らなさを突き付けられてしまう時間でした。
「君へかけた最後の言葉」の中には、羨望、嫉妬はもちろん入っていたし、一方で同情、もしくは哀れみに似た感情もあった。もちろん感謝もしている、けれど自分への失望や不安、怒りなんかもあったんじゃないか・・・。
その心のモヤモヤがクリアになるには、自分で覚悟を決めて選ぶしかないんだろうけど、その頃の自分から何一つ変わっていないから、今になって、こんな歌を作ってしまうんでしょうね。
・・・
MVの舞台は、彼が飛び立って行った出雲空港で撮影しました。僕が撮れる最高画質(4K)で用意したので、ぜひテレビの大画面に映して、いやそこまでするほどのMVじゃないかもだけど、ぜひ高画質で見てやってください。
いつもきれいにお使い頂きありがとうございます。 素晴らしい音楽を作るための費用に使います。